平成29年−労基法問5−エ「公民権行使の保障」

  • 2017.11.24 Friday
  • 05:00

今回は、平成29年−労基法問5−エ「公民権行使の保障」です。

 


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労働者(従業員)が「公職に就任することが会社業務の逐行を著しく阻害する虞れの
ある場合においても、普通解雇に附するは格別、同条項〔当該会社の就業規則に
おける従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の条項〕
を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されないものといわなければなら
ない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 


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「公民権行使の保障」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 23−1−C 】

 

公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者
を懲戒解雇に付する旨の就業規則条項は、公民権行使の保障を定めた労働基準法
第7条の趣旨に反し、無効のものと解すべきであるとするのが最高裁判所の判例
である。

 


【 16−1−D 】

 

公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害するおそれのある場合においては、
公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を
懲戒解雇に付する旨の就業規則の条項を適用して従業員を懲戒解雇に付することも
許されるとするのが最高裁の判例である。

 


【 9−2−B 】

 

「市議会議員をはじめとする公職に就任しようとするときは、会社の承認を受け
なければならず、これに反して承認を得ずに公職に就任した者は懲戒解雇に付する」
旨の就業規則の規定は、労働基準法第7条の趣旨に反し、無効である。

 


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これらは「公民権行使の保障」に関する最高裁判所の判例からの出題です。

労働基準法、選択式も含めて、判例がかなり出題されています。


しかも、1度出題された判例から繰り返し出題されている、っていうものが
いくつもあります。

 

で、この「公民権行使の保障」に関する判例、ご覧のとおり何度も出題されています。
いずれも択一式からの出題ですが。

 

労働基準法7条で、
「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、
又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んでは
ならない。ただし、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された
時刻を変更することができる」
と規定しています。

 

この規定は、労働時間中の公民権行使及び公の職務の執行を保障したものです。
ですので、公職の就任を使用者の承認によること、すなわち、承認なくして公職に
就任した者を一種の制裁罰である懲戒解雇にするなんていうのは、この規定の趣旨
から考えて、認めるわけにはいきません。

 

ということで、そのような条項は無効となり、その条項を適用して従業員を懲戒解雇
に付することは許されません。

 

【 16−1−D 】は誤りで、そのほかの3問は正しいです。

 

この判例、今後も、繰り返し出題される可能性、高いですから、しっかりと確認
しておきましょう。

 

 

 

平成29年−労基法問2−エ「労働者」

  • 2017.11.17 Friday
  • 05:00

今回は、平成29年−労基法問2−エ「労働者」です。

 


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株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、
部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条
に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。

 


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「労働者」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 28−労災1−B 】

 

法人のいわゆる重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職
にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて労災保険法が適用される。

 


【 19−労基1−B 】

 

労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用
される者で賃金を支払われる者をいい、法人のいわゆる重役で業務執行権又は
代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、その
限りにおいて同法第9条に規定する労働者である。

 


【 13−労基1−C 】

 

労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず事業又は事務所に使用
される者で賃金を支払われる者をいい、株式会社の取締役である者は労働者に
該当することはない。

 


【 17−雇保1−A 】

 

株式会社の取締役は、同時に会社の従業員としての身分を有している場合で
あっても、役員報酬を支払われている限り委任関係とみなされ、被保険者と
なることはない。

 


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労働基準法の「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、
賃金を支払われる者です。


で、労災保険は、労働基準法の災害補償を保険制度化したものですから、その
適用を受ける労働者の範囲は、労働基準法と同じです。


つまり、労働基準法の労働者であれば、労災保険法が適用されるということです。

 

そこで、
法人の代表者等で、事業主体との関係において使用従属の関係に立たないものに
ついては、使用されるものではありませんから、労働者とはなりません。
これに対して、重役等で、業務執行権又は代表権を持たず、工場長や部長等の職
にあって賃金を受ける者は、その限りにおいて、労働基準法の「労働者」に該当
します。

 

ですので、【 29−労基2−エ 】【 28−労災1−B 】【 19−労基1−B 】は
正しいです。

 

【 13−労基1−C 】では
「株式会社の取締役である者は労働者に該当することはない」
としています。前述のとおり、労働者に該当することがあるので、誤りです。

 

それと、雇用保険でも、基本的な考え方は同じです。
従業員としての身分を有しており、報酬支払等の面から労働者的性格が強い者
であって、雇用関係があると認められる者は、雇用保険法が適用されます。
つまり、被保険者となります。
ですので、【 17−雇保1−A 】は誤りです。

 

ということで、取締役が労働者として適用されるかどうかという点については、
横断的に押さえておきましょう。

 

平成29年−労基法問5−ア「均等待遇」

  • 2017.11.08 Wednesday
  • 05:00

今回は、平成29年−労基法問5−ア「均等待遇」です。

 


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労働基準法第3条は、使用者は、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由
として、労働条件について差別的取扱をすることを禁じている。

 


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「均等待遇」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 25−5−D 】

 

労働基準法第3条は、すべての労働条件について差別待遇を禁止しているが、
いかなる理由に基づくものもすべてこれを禁止しているわけではなく、同条で
限定的に列挙している国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみを禁じて
いる。

 


【 23−1−A 】

 

労働基準法第3条は、法の下の平等を定めた日本国憲法第14条と同じ事由で、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地を理由とした労働条件の差別的取扱を
禁止している。

 


【 19−1−E 】

 

均等待遇を定めた労働基準法第3条では、労働者の国籍、信条、性別又は社会的
身分を理由として賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをする
ことは禁止されている。

 


【 14−1−A 】

 

均等待遇を定めた労働基準法第3条では、労働者の国籍、信条又は社会的身分を
理由として賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱をすることは
禁止されているが、性別を理由とする労働条件についての差別的取扱は禁止され
ていない。

 

 

【 61−記述 】

 

使用者は、労働者の( B )、信条又は社会的身分を理由として、賃金、
労働時間その他の( C )について、差別的取扱いをしてはならない。

 

 

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「均等待遇」に関する問題です。

 

労働基準法3条では、
「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間
その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」
と規定しています。

 

で、ここで挙げた問題は、どのようなことを理由とした差別が禁止なのかを論点
としたものです。


差別を禁止しているのは、「国籍、信条又は社会的身分」だけですね。
労働基準法の制定当時、これらについての差別が多々あったので、
この3つを掲げています。


そこで、
【 25−5−D 】では、「国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみ」
としていますが、これらに限定されているので、正しいです。

 

【 23−1−A 】では、「人種、性別又は門地」という記述が入っています。
これらについては、対象ではありませんから、誤りです。
それと、「国籍」が入っていないという点でも誤りです。

 

【 19−1−E 】と【 29−5−ア 】には、「性別」が入っているので、
やはり誤りです。

 

【 14−1−A 】は、
「性別を理由とする労働条件についての差別的取扱は禁止されていない」
とありますが、そのとおりなので、正しいです。

 

【 61−記述 】の答えは、
B:国籍 C:労働条件
です。

 

ちなみに、職業安定法において、
「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の
組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を
受けることがない」
という規定がありますが、これと混同しないようにしましょう。


それと、「均等待遇」は、この論点のほか、
差別禁止の対象となる「労働条件」に含まれるものは何か?というのを論点に
してくることもあるので、その点もしっかりと確認しておきましょう。

 

 

平成29年−労基法問1−D「休日」

  • 2017.11.03 Friday
  • 05:00

今回は、平成29年−労基法問1−D「休日」です。

 


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労働基準法第35条に定める「一回の休日」は、24時間継続して労働義務から解放
するものであれば、起算時点は問わないのが原則である。

 


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「休日」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 24−5−C 】

 

労働基準法第35条に定める休日は、原則として暦日を意味するものと解されて
おり、例えば、午前8時から翌日の午前8時までの労働と、同じく午前8時から
翌日の午前8時までの非番とを繰り返す一昼夜交代勤務の場合に、非番の継続24
時間の間労働義務がないとしても、同条の休日を与えたものとは認められない。

 


【 21−6−D 】

 

1)番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度
として運用されていること、及び2)各番方の交替が規則的に定められている
ものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないことの要件を
満たす8時間3交替制勤務の事業場において、使用者が暦日ではない、継続24
時間の休息を与えても、労働基準法第35条の休日を与えたことにはならない。

 

【 13−7−B 】

 

労働基準法上使用者が労働者に与えるべき休日は、午前零時から午後12時までの
暦日でなければならず、どのような場合であっても、2暦日にまたがる連続24時間
を休日とすることは認められていない。

 

 

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「休日の付与」に関する問題です。

 

労働基準法において、使用者が労働者に与えるべき休日は、
原則として「午前0時から午後12時までの暦日」でなければなりません。


ただ、絶対に暦日で与えなければならないことになると、うまく与えることが
できなくなってしまうってことが起き得ます!?


8時間3交替で操業しているような場合で、たとえば、A班、B班、C班という
3つのグループが、週ごとに、就業時間を入れ替えて操業をするようなとき、
週休制ですと、どうしてもバランスよく暦日による休日を確保できないところが
出てくるってことがあり得るのです。


ですので、
● 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度
として運用されていること
● 各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその
都度設定されるものではないこと
という要件を満たす8時間3交替制勤務の事業場においては、暦日ではない、継続
24時間の休息を与えれば、休日を与えたこととするようにしています。


【 21−6−D 】は、この点を出題しており、
「与えたことにはならない」とあるので、誤りです。

 

【 13−7−B 】は、「どのような場合であっても、2暦日にまたがる連続24時間
を休日とすることは認められていない」とあるので、誤りですね。

 

【 29−1−D 】では、「24時間継続して労働義務から解放するものであれば、起算
時点は問わない」とありますが、休日は、原則として午前0時を起算点とする「暦日」
でなければならないので、やはり、誤りです。

 

【 24−5−C 】は、「一昼夜交代勤務」に関する内容ですが、
これは、前述の「8時間3交替制勤務」とは異なります。
そのため、「非番の継続24時間の間労働義務がない」ということでは、休日を与えた
ものとは認められません。正しいです。

 


「交替制勤務の場合の休日」については、
このような具体的な内容で、複雑な部分がありますが・・・出題実績があるので、
基本的な考え方はつかんでおいたほうがよいでしょう。

 

 

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