平成28年−労災法問1−B「労災保険法の適用」

  • 2016.11.25 Friday
  • 05:00

今回は、平成28年−労災法問1−B「労災保険法の適用」です。

 


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法人のいわゆる重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の
職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて労災保険法が適用される。

 


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「労災保険法の適用」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 19−労基1−B 】

 

労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所
に使用される者で賃金を支払われる者をいい、法人のいわゆる重役で業務
執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける
場合は、その限りにおいて同法第9条に規定する労働者である。

 


【 13−労基1−C 】

 

労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず事業又は事務所に使用
される者で賃金を支払われる者をいい、株式会社の取締役である者は労働者に
該当することはない。

 


【 17−雇保1−A 】

 

株式会社の取締役は、同時に会社の従業員としての身分を有している場合で
あっても、役員報酬を支払われている限り委任関係とみなされ、被保険者と
なることはない。

 


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労働基準法の労働者とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を
支払われる者です。

で、労災保険は、労働基準法の災害補償を保険制度化したものですから、
その適用を受ける労働者の範囲は、労働基準法と同じです。
つまり、労働基準法の労働者であれば、労災保険法が適用されるということです。

 

そこで、
法人の代表者等で、事業主体との関係において使用従属の関係に立たないもの
については、使用されるものではありませんから、労働者とはなりません。

 

これに対して、重役等で、業務執行権又は代表権を持たず、工場長や部長等の職に
あって賃金を受ける者は、その限りにおいて、労働基準法の「労働者」に該当します。

 

ですので、【 28−労災1−B 】と【 19−労基1−B 】は正しいです。

【 13−労基1−C 】では
「株式会社の取締役である者は労働者に該当することはない」
としています。前述のとおり、労働者に該当することがあるので、誤りです。

 


それと、雇用保険でも、基本的な考え方は同じです。
従業員としての身分を有しており、報酬支払等の面から労働者的性格が強い者であって、
雇用関係があると認められる者は、雇用保険法が適用されます。
つまり、被保険者となります。

ですので、【 17−雇保1−A 】は誤りです。

 


ということで、取締役が労働者として適用されるかどうかという点については、
横断的に押さえておきましょう。

 

 

 

平成28年−安衛法問9−A「事業者と労働者」

  • 2016.11.16 Wednesday
  • 05:00

今回は、平成28年−安衛法問9−A「事業者と労働者」です。

 


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労働安全衛生法における「事業者」は、労働基準法第10条に規定する「使用者」
とはその概念を異にするが、「労働者」は、労働基準法第9条に規定する労働者
(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)
をいう。

 

 

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「事業者と労働者」に関する問題です。

次の問題をみてください。

 

 

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【 26−8−ア 】

 

労働安全衛生法では、「事業者」は、「事業主又は事業の経営担当者その他
その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべて
の者をいう。」と定義されている。

 


【 15−8−A 】

 

労働安全衛生法の主たる義務主体である「事業者」とは、法人企業であれば当該
法人そのものを指している。

 


【 27−選択 】

 

労働安全衛生法に定める「事業者」とは、法人企業であれば( D )を指し
ている。

 


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労働安全衛生法における「事業者」と「労働者」に関する問題です。

 

労働安全衛生法は、労働基準法から分離独立した法律で、労働安全衛生法に規定
する「安全衛生」に関しては、労働条件の1つです。

ですので、保護の対象となる「労働者」に関しては、労働基準法と同じものに
なります。

 

これに対して、義務の主体となる者は、
労働基準法では、「使用者」として
「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、
事業主のために行為をするすべての者」
と定義しています。

労働安全衛生法では、「事業者」として
「事業を行う者で、労働者を使用するもの」と定義しています。

 

これは、労働基準法では、法違反があった場合に責任の主体となるものとしている
ことからその範囲を広くしている一方、労働安全衛生法では、労働基準法上の義務
主体である「使用者」と異なり、事業経営の利益の帰属主体そのものを義務主体と
してとらえ、その安全衛生上の責任を明確にしているためです。

 

ですので、【 28−9−A 】は正しいです。


【 26−8−ア 】は、事業者の定義について、労働基準法の「使用者」の定義に
置き換えているので、誤りです。

 

【 15−8−A 】は、「事業者」とはどのようなものかという点について、
より具体的に出題したもので、法人企業であれば当該法人、個人企業であれば
事業経営主を指すので、正しいです。

 

【 27−選択 】の答えは、「当該法人」です。

 


用語の定義は、基本中の基本ですから、
出題されたときは、確実に正解することができるようにしておきましょう。

 

 

 

平成28年−労基法問7−D「年次有給休暇」

  • 2016.11.09 Wednesday
  • 05:00

今回は、平成28年−労基法問7−D「年次有給休暇」です。

 


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育児介護休業法に基づく育児休業申出後には、育児休業期間中の日について年次
有給休暇を請求する余地はないが、育児休業申出前に育児休業期間中の日について
時季指定や労使協定に基づく計画付与が行われた場合には、当該日には年次有給
休暇を取得したものと解され、当該日に係る賃金支払日については、使用者に所要
の賃金支払いの義務が生じるものとされている。

 


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「年次有給休暇」に関する問題です。

次の問題をみてください。

 


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【 9−5−D 】

 

労働者の育児休業の申出の前に、育児休業期間中の日について労使協定に基づく
いわゆる年次有給休暇の計画的付与が行われた場合には、当該日については、当該
労働者は年次有給休暇を取得したものと解される。

 


【 17−5−C 】

 

年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できるものであるから、育児
休業申出後には、育児休業期間中の日について年次有給休暇を請求する余地はない。
また、育児休業申出前に育児休業期間中の日について、労働基準法第39条第6項の
規定に基づく年次有給休暇を与える時季に関する定めをした場合においても、同様に、
当該日には年次有給休暇を取得したものとは解されない。

 


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「年次有給休暇の計画的付与と育児休業等との関係」に関する問題です。

 

労働基準法には、「休日」に関する規定と「休暇」に関する規定とがあります。


このうち「休日」とは、労働契約において「労働の義務がない」とされている日
をいい、「休暇」とは、本来は働かなければならない日の「労働の義務が免除」
される日をいいます。

 

つまり、「休暇」を取得することができるのは、そもそも「働かなければならない日」
があることが前提になります。

 

そのため、育児休業期間中は労働の義務がなくなっているので、年次有給休暇を
取得することはできません。

 

ただ、育児休業の申出より前に育児休業期間中の日について時季指定や労使協定
に基づく計画付与が行われた場合には、それが優先されます。

労働の義務がなくなる前に、時季指定をしたのであれば、そちらが優先される
ということです。

 

ですので、
「休暇を取得したものと解され…賃金支払いの義務が生じる」とある【 28−7−D 】
「年次有給休暇を取得したものと解される」とある【 9−5−D 】
は正しく、
「年次有給休暇を取得したものとは解されない」とある【 17−5−C 】は誤りです。

 

「年次有給休暇の計画的付与」と「育児休業等との関係」については、
育児休業申出と休暇の時季指定等のどちらが先に行われたのかというのがポイントで、
先に行われたほうが優先されます。

 

 

 

平成28年−労基法問5−D「減給の制裁」

  • 2016.11.03 Thursday
  • 05:00

今回は、平成28年−労基法問5−D「減給の制裁」です。

 


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服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止
期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反と
なる。

 


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「減給の制裁」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 11−5−A 】

 

就業規則により出勤停止処分を課す場合、当該出勤停止処分により労働者が出勤
しない期間中の賃金を支払わないことができるが、一賃金支払期における通常の
賃金額の10分の1を超えてはならないこととされている。

 


【 16−7−B 】

 

就業規則に制裁として出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある
場合において、労働者が、例えば5日間の出勤停止の制裁を受けるに至った
ときは、当該5日間の賃金を支払わないことは、制裁としての出勤停止の当然
の結果であって、労働基準法第91条の減給の制裁の制限には関係のないもの
である。

 


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「減給の制裁」に関する問題です。

 

減給の制裁とは、本来ならば労働者が受けるべき賃金の中から一定額を差し引く
というものです。
言い換えれば、労働して賃金を受けることができるけど、それを減らしてしまう
というものです。

 

ですので、そもそも、労働をせず、賃金の支払を受けることができなというものとは
違います。

つまり、就業規則に出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合に
おいて、労働者がその出勤停止の制裁を受けるに至った場合、出勤停止期間中の
賃金を受けられないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、通常の
額以下の賃金を支給することを定める減給制裁に関する規定とは関係ないという
ことです。

 

ということで、
「出勤停止期間中の賃金を支給しないこと」は労働基準法に違反しないので、
【 25−5−D 】は誤りです。


また、「支払わないことができる賃金額が10分の1まで」ということもないので、
【 11−5−A 】も誤りです。

 

これらに対して、【 16−7−B 】は正しいです。

 

「減給の制裁」に関しては、具体的な例を挙げて、該当するのかどうかを問う出題が
あるので、そのような具体的な出題にも対応できるようにしておきましょう。

 

 

 

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