平成28年−労基法問4−E「休憩時間の利用」

  • 2016.10.26 Wednesday
  • 05:00

今回は、平成28年−労基法問4−E「休憩時間の利用」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


労働基準法第34条に定める休憩時間は、労働者が自由に利用することが認められ
ているが、休憩時間中に企業施設内でビラ配布を行うことについて、就業規則で
施設の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定めることは、使用者
の企業施設管理権の行使として認められる範囲内の合理的な制約であるとするのが、
最高裁判所の判例である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「休憩時間の利用」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 20─4−C】

 

使用者は、労働基準法第34条第3項に基づき、休憩時間を自由に利用させなければ
ならないこととされており、使用者がその労働者に対し休憩時間内に職場内で政治
活動を行うことを禁止することは許されないとするのが最高裁判所の判例である。

 


【 24−5−B 】

 

労働基準法第34条に定める休憩時間の利用について、事業場の規律保持上必要な
制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない。

 


☆☆======================================================☆☆


「休憩時間の利用」に関する問題です。

 

休憩時間は、原則として自由に利用させなければなりません。

ただ、自由利用というのは、あくまでも、時間を自由に利用することが認められる
ということにすぎません。


ですので、休憩時間といっても、それは拘束時間中の時間ですから、何でもかんでも
好き放題にできるというものではありません。

 

たとえば、事業場内で休憩時間を過ごすのであれば、事業場は企業施設ですから、
使用者の企業施設に対する管理権があり、それが合理的な行使なら、一定の制約を
することは構いません。

 

そのため、【 24−5−B 】にあるように、
「事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し
支えない」
ことになります。
ということで、【 24−5−B 】は正しいです。

 

【 28─4−E】と【 20─4−C】は、この自由利用に関する判例からの出題です。

 

この判例では、
休憩時間中であっても、企業施設内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等
を行うことは、施設の管理を妨げるおそれがあり、他の職員の休憩時間の自由利用
を妨げひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあり、その内容いかんに
よっては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるから、休憩時間中
にこれを行うについても施設の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨
を定める就業規則の規定は、休憩時間の自由利用に対する合理的な制約というべき
であるとされています。

 

つまり、前述したのと同じで、一定の規制をすることは認められるということです。

 

【 28─4−E】は正しく、【 20─4−C 】は誤りです。

 

最高裁判所の判例は、一度出題されると繰り返し出題される傾向があります。
また、選択式で出題されることもあり得るので、この判例も、選択対策も
考えて、しっかりと確認をしておきましょう。

 

 

 

平成28年−労基法問4−A「労働時間」

  • 2016.10.19 Wednesday
  • 05:00

今回は、平成28年−労基法問4−A「労働時間」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


労働基準法第32条の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれて
いる時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の
指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」
とするのが、最高裁判所の判例である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「労働時間」に関する問題です。

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 20−4−A 】

 

労働基準法が規制対象とする労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に
置かれている時間をいい、その具体的な判断においては、労働契約、就業
規則、労働協約等の定めに従い決定されるべきであるとするのが最高裁判所
の判例である。

 


【 14−4−A 】

 

労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれて
いる時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者
の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に
定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんに
より決定されるべきものではない。

 


【 22−4−A 】

 

ビルの巡回監視等の業務に従事する労働者の実作業に従事していない仮眠
時間についても、労働からの解放が保障されていない場合には労働準基法
上の労働時間に当たるとするのが最高裁判所の判例である。

 


【 19−5−B 】

 

労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれ
ている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間が労働基準法上の労働
時間に該当するか否かは、労働者が実作業に従事していない仮眠時間にお
いて使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否か
により客観的に定まるものというべきであるとするのが最高裁判所の判例で
ある。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「労働時間」に関する判例からの出題です。

 

【 28−4−A 】、【 20−4−A 】、【 14−4−A 】、【 19−5−B 】では、
労働時間とは、
「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう」
としています。
この部分は、そのとおりです。

 

使用者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間になります。

 

たとえば、就業規則に、始業時刻が9時、終業時刻が18時、12時から13時
まで休憩と規定されていた場合、その間の8時間だけが労働時間になる、とは
限らないということです。

実際に、その時間を超えて、使用者の指揮命令下に置かれているのであれば、
その超えた時間も労働時間となります。

 

ですので、
「労働契約、就業規則、労働協約等の定めに従い決定されるべきであるとする」
とある【 20−4−A 】は、誤りです。

 

これに対して、
「使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより
客観的に定まるもの」としている【 28−4−A 】と【 19−5−B 】、
「労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきもので
はない」としている【 14−4−A 】、
この3問はいずれも正しくなります。

 

そこで、
【 22−4−A 】ですが、
「労働からの解放が保障されていない」場合は、「労働時間に当たる」
としています。
「労働からの解放が保障されていない」というのは、使用者の指揮命令下に置かれ
ている状態ですので、やはり、労働時間となります。
ですので、【 22−4−A 】も正しくなります。

 

ちなみに、
仮眠時間って寝ている時間です。
寝ていても労働時間になるというと、違和感を持つ人もいるかもしれませんが・・・
仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務
づけられているような場合には、仮眠時間は全体として労働からの解放が保障
されているとはいえないので、労働時間に当たるとされています。

 

 

 

平成28年−労基法問3−C「端数処理」

  • 2016.10.13 Thursday
  • 05:00

今回は、平成28年−労基法問3−C「端数処理」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 

 

1か月における時間外労働の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分
未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる事務処理方法は、労働基準法
第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。

 

 


☆☆======================================================☆☆

 

 

「端数処理」に関する問題です。

次の問題をみてください。

 

 

☆☆======================================================☆☆

 

 

【 12−4−D 】

 

割増賃金の計算の便宜上、1カ月における時間外労働、休日労働及び深夜労働の
各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、
それ以上を1時間に切り上げる措置は法違反として取り扱わないこととされている。

 

 

【 19−3−E 】

 

割増賃金の計算の便宜上、1日における時間外労働、休日労働及び深夜労働の
各時間数に1時間未満の端数がある場合は、1日ごとに、30分未満の端数を切り
捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、法違反として
取り扱わないこととされている。

 


【 25−3−B 】

 

1日及び1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の
合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上
を1時間に切り上げること、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の
端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げ
ること並びに1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増
賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、
それ以上を1円に切り上げることは、いずれも労働基準法第24条及び第37条
違反としては取り扱わないこととされている。

 


☆☆======================================================☆☆

 

 

「賃金全額払の例外」の端数処理に関する問題です。

 

この端数処理に関する規定は、金額に関するもの、時間に関するもの・・・と
いくつかありますが、ぽつぽつと出題されています

 

端数処理は、事務簡便を目的として認めていますが、
常に労働者にとって不利になってしまうようなものは認められません。

 

そこで、ここで挙げた問題は「時間」に関する端数処理を論点にしたものです。

 


【 28−3−C 】と【 12−4−D 】は1カ月の時間数について、端数処理が
できるとしています。

これらに対して、【 19−3−E 】は1日ごとに端数処理ができるとしています。
【 25−3−B 】は、金額に関するものも含まれていますが、時間に関するものは、
「1日及び1か月」としています。

 

時間外労働などの時間数の合計について、
その端数処理は、1日単位では認められていません。
これを認めると、労働者にとって極端に不利益になることがあります。
たとえば、1カ月の時間外労働の時間数が40時間25分だったら、この25分が
切捨てになりますよね。
これに対して、ある日の労働時間が8時間20分だったとします。
この20分の切捨てを認めてしまうと・・・
もし、21日分なら、合計で7時間です。
これだけの時間を合法的にカットできるなんてことですと、労働者にとっては、
たまったもんじゃありません。
ですから、「1日単位」での端数処理は認められないのです。

 

ということで、
【 28−3−C 】と【 12−4−D 】は正しく、
【 19−3−E 】と【 25−3−B 】は誤りです。

 

それと、【 25−3−B 】の金額に関する端数処理については正しい内容です。

 

端数処理については、とにかく、単位に注意です。
「1カ月」の時間、金額か、「1時間」の金額か、
1円単位か、100円単位か、1,000円単位か・・・
きちんと確認しておきましょう。

 

 

平成28年−労基法問1−ウ「均等待遇」

  • 2016.10.07 Friday
  • 05:00

今回は、平成28年−労基法問1−ウ「均等待遇」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 

 

労働基準法第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、労働条件
について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件について
の制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではないとするのが、最高裁判所
の判例である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「均等待遇」に関する問題です。

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 21−1−B 】

 

労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いには、雇入れに
おける差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。

 


【 9−2−D 】

 

労働基準法第3条では、信条による労働条件の差別的取扱いを禁止しているが、
企業における労働者の雇入れについては、特定の思想、信条を有する者をその故
をもって雇い入れることを拒んでも、直ちに違法とすることができない。

 


【 11−1−A 】

 

使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間
について差別的取扱いを行ってはならず、このことは解雇や安全衛生について
も同様である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「均等待遇」に関する問題です。

 

労働基準法3条では、
「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間
その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」
と規定しています。

 

この規定は、「どのようなことを理由とした差別が禁止なのか」を論点することが
ありますが、ここで挙げた問題は、差別禁止の対象となる「労働条件」に含まれる
ものは何か?というのが論点です。

 

【 21−1−B 】では、「雇入れ」を含むとしています。
労働基準法で保護する労働条件というのは、【 28−1−ウ 】にあるように、
雇い入れた後の労働条件ですから、法3条が禁止する労働条件についての差別的
取扱いには、雇入れにおける差別は含まれません。
ですので、【 21−1−B 】は誤り、【 28−1−ウ 】は正しいです。

 

この点を、より具体的に出題したのが、【 9−2−D 】で、
「特定の思想、信条を有する者をその故をもって雇い入れることを拒んでも、直ち
に違法とすることができない」
とあります。
これは、そのとおりですね。
雇入れは、「均等待遇」で規定している労働条件には入らないので、「雇い入れる
ことを拒んでも」、つまり、差別的取扱いをしても、それだけで、直ちに違法と
することはできないことになります。

 

【 11−1−A 】では、いくつかの事項を列挙しています。
これらは「労働条件」に含まれます。そして、「雇入れ」のような、余分な記述は
ありません。
ですので、正しい内容です。

 

この問題のように、いくつかの労働条件を列挙し、その中に、さりげなく「雇入れ」
を入れて、誤りにするなんて問題が出題される可能性もあるので、いくつも列挙され
ているときは、見逃したりしないよう、注意しましょう。

 

 

 

PR

calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< October 2016 >>

selected entries

categories

archives

recommend

recommend

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM