平成26年−労基法問6−B「年次有給休暇の利用目的」

  • 2014.10.29 Wednesday
  • 05:00
今回は、平成26年−労基法問6−B「年次有給休暇の利用目的」です。


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最高裁判所の判例は、「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、
休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、
とするのが法の趣旨である」と述べている。


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「年次有給休暇の利用目的」に関する出題です。


次の問題をみてください。


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【 24−6−ア 】

労働基準法第39条に定める年次有給休暇の利用目的は同法の関知しないところ
であり、労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することもできる。


【 22−6−E 】

年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由であるが、使用者
の時季変更権を無視し、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な
運営の阻害を目的として一斉に休暇届を提出して職場を放棄する場合は、年次
有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の
行使ではない。


【 14−5−D 】

労働基準法第39条の年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは、労働者
の自由であるが、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の
阻害を目的として一斉に年次有給休暇を届け出て職場を放棄する場合は、年次
有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の
行使ではない。労働者が、他の事業場における争議行為に年次有給休暇をとって
届け出て参加するような場合も、同様にそれは年次有給休暇権の行使ではない。
 

【 19−6−B 】

労働基準法第39条の年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは、労働者
の自由であるが、ある事業場の労働者が、同じ企業に属する他の事業場における
争議行為に年次有給休暇を届け出て参加する場合は、年次有給休暇に名をかりた
同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。

 

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「年次有給休暇の利用目的」に関する出題です。

年次有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、
さらには、ゆとりある生活の実現にも資するようにという観点から設けられている
もので、それを労働者がどのように利用するかは、労働者の自由です。
利用に制約があったら、制度が設けられた趣旨に反してしまうことにもなりかねません。
ですので、
利用目的については、労働基準法においては、なんら規制していません。
ということで、年次有給休暇の権利を行使した場合、その休暇日をどのように利用してもよいということになります。
ということで、【 26−6−B 】は正しいです。

で、労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することは、
まったく問題ありません。
【 24−6−ア 】も正しいです。

では、争議行為との関係ではどうなるのか?
というのが、【 22−6−E 】【 14−5−D 】【 19−6−B 】の論点です。

前述したように、年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の
自由ですが、労働者がその所属の事業場において、その業務の正常な運営の
阻害を目的として一斉に年次有給休暇を届け出て職場を放棄する場合、これは、
そもそも、年次有給休暇権の行使とはなりません。
つまり、利用目的、云々ということではなく、年次有給休暇としては認められ
ないということです。

これに対して、労働者が、他の事業場における争議行為に年次有給休暇をとって
参加するような場合、これは、その事業場でストライキをしようというのでは
なく、労働者の任意の行動ですので、年次有給休暇権の行使となります。

ということで、
【 22−6−E 】は正しく、【 14−5−D 】【 19−6−B 】は誤りです。
 
どのような場合に、年次有給休暇権の行使といえるのか、利用目的に制約があるのか、
これらは、再び出題される可能性がありますから、
考え方、ちゃんと理解しておきましょう。





 

平成26年−労基法問4−B「休業手当の趣旨」

  • 2014.10.22 Wednesday
  • 05:00
今回は、平成26年−労基法問4−B「休業手当の趣旨」です。


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労働基準法第26条の定める休業手当の趣旨は、使用者の故意又は過失により
労働者が休業を余儀なくされた場合に、労働者の困窮をもたらした使用者の
過失責任を問う、取引における一般原則たる過失責任主義にあるとするのが、
最高裁判所の判例である。


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「休業手当の趣旨」に関する出題です。


次の問題をみてください。


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【 24─1−C 】

最高裁判所の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき
事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも
踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責め
に帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を
含むものと解するのが相当であるとされている。


【 17─1−E 】

最高裁の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」
は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた
概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき
事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと
解するのが相当であるとされている。


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いずれも最高裁判所の判例からの出題です。

休業手当の趣旨は、「使用者の責めに帰すべき事由」による休業の場合に労働者
の生活を保障しようとするものです。

で、「使用者の責に帰すべき事由」とは、
取引における一般原則たる過失責任主義(故意又は過失によって他に損害を
与えた場合に限り,その賠償責任を負うという原則)
とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法536条2項の
「債権者の責に帰すべき事由」よりも広いもので、使用者側に起因する経営、
管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされています。

つまり、休業手当の支払の対象とされる「使用者の責に帰すべき事由」とは、
使用者に過失責任がある場合に限られないということで、ただ、何らかの
かたちで使用者の帰責事由に該当するものでなければなりません。
ですので、不可抗力によるものは含まれないと解されています。

ということで、
【 26─4−B 】では、「過失責任主義にあるとする」とあるので、誤りです。
他の2問は正しいですね。

この判例、繰り返し出題されています。
選択式から出題されるってこともあり得ますので、
しっかりと、確認しておきましょう。


 

平成26年−労基法問3−オ「賃金全額払の原則」

  • 2014.10.17 Friday
  • 05:00
今回は、平成26年−労基法問3−オ「賃金全額払の原則」です。


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労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者の
賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって
相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当であるが、
その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因としたものである
場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。


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「賃金全額払の原則」に関する出題です。


次の問題をみてください。


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【 18−2−B 】

最高裁判所の判例によると、労働基準法第24条第1項本文の定めるいわゆる賃金
全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止
し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすこと
のないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、使用者が
労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを禁止する
趣旨をも包含するものであるが、労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意
した場合においては、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものである
と認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該同意を得てした
相殺は当該規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当である、とされ
ている。


【 25−7−エ 】

いわゆる全額払の原則の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、
もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことの
ないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるとするのが、最高
裁判所の判例である。




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いずれも最高裁判所の判例からの出題です。

で、これらの判例は、使用者が一方的に賃金を控除することは禁止されており、
労働者に対して有する債権と労働者の賃金債権とを使用者側が一方的に相殺
することは認めないということをいっています。

ただ、相殺について例外もあり、【 18−2−B 】にあるように、
「労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合」には可能となります。

ですので、【 18−2−B 】と【 25−7−エ 】は正しいです。

そこで、【 26−3−オ 】で、「この限りでない」と相殺が許される記述があります。
【 18−2−B 】の場合とはまったく異なる場合になりますが、この場合は、相殺は
認められません。

最高裁判所の判例では、
「労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権を
もって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当である。
このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変りはない」
としています。
つまり、労働者の不法行為を理由とする損害賠償債権との相殺の場合であっても、
使用者による一方的な相殺は賃金全額払の原則に違反することになります。

とういうことで、【 26−3−オ 】は誤りです。

それと、これらとは、異なる判例が

【 21−選択 】

 賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払
われるべき賃金から控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段
たる相殺は、〔…(略)…〕その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の
( B )との関係上不当と認められないものであれば、同項(労働基準法第24
条第1項)の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが最高
裁判所の判例である。

というように選択式で出題されています。

Bの空欄には、「経済生活の安定」が入ります。

最近は、択一式、選択式、いずれについても判例が頻出です。
ですので、過去に出題された判例は確実に押さえておきましょう。
1度出題されたもの、繰り返し出題されることが多いですから。


 

平成26年−労基法問3−ウ「平均賃金の算定」

  • 2014.10.10 Friday
  • 05:00
今回は、平成26年−労基法問3−ウ「平均賃金の算定」です。


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ある会社で労働協約により6か月ごとに6か月分の通勤定期乗車券を購入し、
それを労働者に支給している。この定期乗車券は、労働基準法第11条に規定
する賃金であり、各月分の賃金の前払いとして認められるから、平均賃金算定
の基礎に加えなければならない。


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「平均賃金の算定」に関する出題です。


次の問題をみてください。


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【7─1−E 】

使用者が通勤費として6カ月ごとに定期乗車券を購入し、これを労働者に支給
している場合、その支給が労働協約に基づいて行われているとすると、当該
定期乗車券の支給は、各月分の賃金の前払として、労働基準法第12条の平均
賃金の算定の基礎となる賃金に含まれる。


【 24─1−D 】

ある会社で、労働協約により通勤費として6カ月ごとに定期乗車券を購入し、
それを労働者に支給している場合、この定期乗車券は、労働基準法第11条に
規定する賃金とは認められず、平均賃金算定の基礎に加える必要はない。


【 17─1−D 】

使用者が、通勤手当の代わりとして、6カ月ごとに通勤定期乗車券を購入し、
これを労働者に支給している場合、通勤手当は賃金ではあるが、6カ月ごと
に支給される通勤定期乗車券は、労働基準法第12条第4項に定める「三箇月
を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当するので、平均賃金算定の基礎
となる賃金には算入されない。




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これらの問題は、論点が2つあるといえます。
「6カ月分の通勤定期乗車券」が賃金に該当するのかどうか、
また、平均賃金の算定の基礎となるのかどうかです。

定期乗車券は現物給与ですが、労働協約の定めに基づくものであれば、
合法なものであり、賃金となります。

では、6カ月ごとに支払われる場合、平均賃金の算定の基礎となるのかといえば、
なります。

平均賃金の算定における賃金の総額には、
● 臨時に支払われた賃金
● 3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
● 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
は算入しません。

「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」、
これは現物給与ですが、違法なものをいっています。
ですので、労働協約によるものであれば、算定の基礎から除かれません。

では、「3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」となるかといえば、
6カ月ごとに支払われる定期乗車券は、いわゆるボーナスのようなものではなく、
単に、各月の通勤費を便宜上まとめて支払っているだけです。
ですので、「3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」には該当しません。

ということで、
【 26−3−ウ 】【7─1−E 】は正しく、
他の2問は、いずれも、平均賃金の算定には含めない内容なので、誤りです。





 

平成26年−労基法問2−E「解雇予告」

  • 2014.10.03 Friday
  • 05:00
今回は、平成26年−労基法問2−E「解雇予告」です。


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平成26年9月30日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇
しようとする使用者が同年9月1日に当該労働者にその予告をする場合は、労働
準基法第20条第1項に抵触しない。


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「解雇予告」に関する出題です。


次の問題をみてください。


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【 12−3−C 】

解雇予告期間の30日は労働日ではなく暦日で計算され、その間に休日や休業日
があっても延長されないから、5月31日の終了をもって解雇の効力を発生させる
ためには、遅くとも5月1日には解雇の予告をしなければならない。


【 24−3−ウ 】

使用者は、ある労働者を8月31日の終了をもって解雇するため、同月15日に
解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わ
なければならない。


【 18−7−B 】

使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法第20条第1項
の規定により、少なくともその30日前にその予告をしなければならないが、その
予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を
短縮することができる。例えば、8月27日をもって労働者を解雇しようとする
場合において、8月14日に解雇の予告をしたときは、少なくとも平均賃金の
17日分の解雇予告手当を支払わなければならない。


【 16−3−E 】

使用者は、ある労働者を5月31日をもって解雇するため、5月13日に解雇予告
をする場合には、平均賃金の12日分の解雇予告手当を支払わなければならない。




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解雇予告に関しては、原則として、
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前
にその予告をしなければならない」
と、30日前予告を義務づけています。

で、この予告については、
予告した日の翌日から30日経過すると解雇が成立することになるので、
解雇予告は少なくとも暦日で30日前にしなければなりません。

たとえば、
解雇予告手当を支払うことなく9月30日に解雇しようというのであれば、
8月31日までに予告をしなければなりません。
【 26−2−E 】では、当日から30日となっていて、1日足りないので、誤りです。

【 12−3−C 】は正しいです。

そこで、これらに関連して、
「予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を
短縮することができる」
という規定もあります。
これは、いわゆる解雇予告手当を支払った日数分、予告の日数を減らすことができる
という規定です。

後の3問は、これを論点にしています。

それぞれについて見ると、
【 24−3−ウ 】は、
8月31日に解雇、8月15日に解雇予告、平均賃金の14日分の支払
としています。
【 18−7−B 】は、
8月27日に解雇、8月14日に解雇予告、平均賃金の17日分の支払
としています。
【 16−3−E 】は、
5月31日に解雇、5月13日に解雇予告、平均賃金の12日分の支払
としています。

いずれも正しい内容です。
この組み合わせが正しいかどうか、簡単に考えると、それぞれについて、

予告期間は「8月31日−8月15日」=16日
30日−16日=14日なので、解雇予告手当は14日分ということです。

予告期間は「8月27日−8月14日」=13日
30日−13日=17日なので、解雇予告手当は17日分ということです。

予告期間は「5月31日−5月13日」=18日
30日−18日=12日なので、解雇予告手当は12日分ということですね。

【 12−3−C 】は、解雇予告のみですが、この考え方を使うと
「5月31日−5月1日」=30日
30日−30日=0で、解雇予告手当は必要なしってことになります。

【 26−2−E 】は、
「9月30日−9月1日」=29日なので、解雇予告手当が必要になるってことに
なります。


この論点、これだけ出題されており、いろいろな組合せを作れますから、
今後も出題される可能性が高いでしょう。
ってことで、どのような組合せであっても、正確に正誤の判断ができるように
しておきましょう。





 

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