平成24年−労基法問6−ア「年次有給休暇の利用目的」

  • 2012.10.26 Friday
  • 06:08

 今回は、平成24年−労基法問6−ア「年次有給休暇の利用目的」です。


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労働基準法第39条に定める年次有給休暇の利用目的は同法の関知しない
ところであり、労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することも
できる。




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「年次有給休暇の利用目的」に関する出題です。


次の問題をみてください。


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【 22−6−E 】

年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由であるが、
使用者の時季変更権を無視し、労働者がその所属の事業場においてその
業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に休暇届を提出して職場を放棄
する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、
それは年次有給休暇権の行使ではない。


【 14−5−D 】

労働基準法第39条の年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは、
労働者の自由であるが、労働者がその所属の事業場においてその業務の
正常な運営の阻害を目的として一斉に年次有給休暇を届け出て職場を放棄
する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、
それは年次有給休暇権の行使ではない。労働者が、他の事業場における
争議行為に年次有給休暇をとって届け出て参加するような場合も、同様に
それは年次有給休暇権の行使ではない。
 

【 19−6−B 】

労働基準法第39条の年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは、
労働者の自由であるが、ある事業場の労働者が、同じ企業に属する他の
事業場における争議行為に年次有給休暇を届け出て参加する場合は、年次
有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇
権の行使ではない。



 

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「年次有給休暇の利用目的」に関する出題です。

年次有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、
さらには、ゆとりある生活の実現にも資するようにという観点から設けられて
いるもので、
それを労働者がどのように利用するかは、労働者の自由です。
利用に制約があったら、制度が設けられた趣旨に反してしまうことにもなりかね
ません。
ですので、
利用目的については、労働基準法においては、なんら規制していません。

ということで、年次有給休暇の権利を行使した場合、
その休暇日をどのように利用してもよいということになります。

労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することは、
まったく問題ありません。

【 24−6−ア 】は正しいです。

では、争議との関係ではどうなるのか?
というのが、【 22−6−E 】、【 14−5−D 】、【 19−6−B 】の論点です。


前述したように、年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由
ですが、労働者がその所属の事業場において、その業務の正常な運営の阻害を
目的として一斉に年次有給休暇を届け出て職場を放棄する場合、
これは、そもそも、年次有給休暇権の行使とはなりません。

つまり、利用目的、云々ということではなく、
年次有給休暇としては認められないということです。

これに対して、
労働者が、他の事業場における争議行為に年次有給休暇をとって参加する
ような場合、
これは、その事業場でストライキをしようというのではなく、労働者の任意
の行動ですので、年次有給休暇権の行使となります。

ということで、
【 22−6−E 】は正しく、【 14−5−D 】、【 19−6−B 】は誤りです。


 
どのような場合に、年次有給休暇権の行使といえるのか、利用目的に制約が
あるのか、
これらは、再び出題される可能性がありますから、
考え方、ちゃんと理解しておきましょう。


 

平成24年−労基法問5−C「交替勤務の場合の休日」

  • 2012.10.18 Thursday
  • 06:11

 今回は、平成24年−労基法問5−C「交替勤務の場合の休日」です。




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労働基準法第35条に定める休日は、原則として暦日を意味するものと解されて
おり、例えば、午前8時から翌日の午前8時までの労働と、同じく午前8時から
翌日の午前8時までの非番とを繰り返す一昼夜交代勤務の場合に、非番の継続24
時間の間労働義務がないとしても、同条の休日を与えたものとは認められない。




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「交替勤務の場合の休日」に関する出題です。


次の問題をみてください。


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【 21─6−D】

1)番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、
制度として運用されていること、及び2)各番方の交替が規則的に定めら
れているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものでは
ないことの要件を満たす8時間3交替制勤務の事業場において、使用者が
暦日ではない、継続24時間の休息を与えても、労働基準法第35条の休日
を与えたことにはならない。


【 13−7−B 】

労働基準法上使用者が労働者に与えるべき休日は、午前零時から午後12時
までの暦日でなければならず、どのような場合であっても、2暦日にまたがる
連続24時間を休日とすることは認められていない。


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「休日」に関する出題です。

労働基準法において、使用者が労働者に与えるべき休日は、
原則として「午前0時から午後12時までの暦日」でなければなりません。

ただ、暦日で与えなければならないことになると不具合、
うまく与えることができなくなってしまうってことが起き得ます!?

8時間3交替で操業しているような場合、
たとえば、A班、B班、C班という3つのグループが、
週ごとに、就業時間を入れ替えて操業をするようなとき、
週休制ですと、どうしても暦日による休日を確保できないということが起き得ます。

ですので、
● 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、
 制度として運用されていること、
● 各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等に
 よりその都度設定されるものではないこと
という要件を満たす8時間3交替制勤務の事業場においては、
暦日ではない、継続24時間の休息を与えれば、休日を与えたこととするように
しています。

【 21─6−D】は、この点を出題しており、
「与えたことにはならない」とあるので、誤りです。

【 13−7−B 】は、
「どのような場合であっても、2暦日にまたがる連続24時間を休日とする
ことは認められていない」
とあるので、誤りですね。

【 24─5−C】では、「一昼夜交代勤務」に関する内容ですが、
これは、前述の「8時間3交替制勤務」とは異なります。
ですので、「非番の継続24時間の間労働義務がない」ということでは、
休日を与えたものとは認められません。
正しいです。

具体的な内容で、複雑な部分がありますが・・・
このように出題があるので、
基本的な考え方はつかんでおいたほうがよいでしょう。


 

平成24年−労基法問3−ウ「解雇予告」

  • 2012.10.10 Wednesday
  • 06:01

 今回は、平成24年−労基法問3−ウ「解雇予告」です。


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使用者は、ある労働者を8月31日の終了をもって解雇するため、同月15日に
解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わ
なければならない。




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「解雇予告」に関する出題です。


次の問題をみてください。


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【 18−7−B 】

使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法第20条
第1項の規定により、少なくともその30日前にその予告をしなければなら
ないが、その予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合におい
ては、その日数を短縮することができる。例えば、8月27日をもって労働
者を解雇しようとする場合において、8月14日に解雇の予告をしたときは、
少なくとも平均賃金の17日分の解雇予告手当を支払わなければならない。




【 16−3−E 】

使用者は、ある労働者を5月31日をもって解雇するため、5月13日に解雇
予告をする場合には、平均賃金の12日分の解雇予告手当を支払わなければ
ならない。




【 12−3−C 】

解雇予告期間の30日は労働日ではなく暦日で計算され、その間に休日や
休業日があっても延長されないから、5月31日の終了をもって解雇の効力
を発生させるためには、遅くとも5月1日には解雇の予告をしなければなら
ない。




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解雇予告に関する具体的な出題です。

解雇予告に関しては、原則として、
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前
にその予告をしなければならない」と、30日前予告を義務づけていますが、
「予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その
日数を短縮することができる」
と、いわゆる解雇予告手当を支払った日数分、予告の日数を減らすことが
できます。


【 24−3−ウ 】は、
8月31日に解雇、8月15日に解雇予告、平均賃金の14日分の支払
としています。

【 18−7−B 】は、
8月27日に解雇、8月14日に解雇予告、平均賃金の17日分の支払
としています。

【 16−3−E 】は、
5月31日に解雇、5月13日に解雇予告、平均賃金の12日分の支払
としています。

いずれも正しい内容ですが、この組み合わせが正しいかどうか・・・
難しく解説すれば、難しくもなりますが、簡単に考えると

「8月31日−8月15日」=16日
30日−16日=14日なので、解雇予告手当は14日分ということです。

「8月27日−8月14日」=13日
30日−13日=17日なので、解雇予告手当は17日分ということです。

「5月31日−5月13日」=18日
30日−18日=12日なので、解雇予告手当は12日分ということですね。


【 12−3−C 】は、解雇予告のみですが、前述の考え方を使うと
「5月31日−5月1日」=30日
30日−30日=0で、解雇予告手当は必要なしってことになります。

つまり、30日前予告というのは、解雇予告がなされた日の翌日から計算して
30日間という期間が満了したら解雇が成立するってことです。




この論点、いろいろな組合せを作れるので、
今後も出題される可能性が高いでしょう。

どのような組合せであっても、正確に正誤の判断ができるようにしておきましょう。

 

 

平成24年−労基法問3−イ「解雇予告除外認定」

  • 2012.10.05 Friday
  • 06:01

 今回は、平成24年−労基法問3−イ「解雇予告除外認定」です。


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労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書の「労働者の責に
帰すべき事由」に該当する場合において、使用者が即時解雇の意思表示をし、
当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定
の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、当該認定
のあった日に発生すると解されている。




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「解雇予告除外認定」に関する出題です。




次の問題をみてください。


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【 15−4−C 】

労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項但書の「労働者の責に帰す
べき事由」に該当する場合において、使用者が、即時解雇の意思表示をし、
当日同条第3項の規定に基づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定
の申請をして翌日その認定を受けたときは、その即時解雇の効力は、使用者が
即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。



 

【 18─7−E 】

労働基準法第20条第1項ただし書の事由に係る行政官庁の認定(以下「解雇
予告除外認定」という)は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべき
ものではあるが、それは、同項ただし書に該当する事実があるか否かを確認
する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時
解雇をなし得るものと解されるので、そのような事実がある場合には、即時
解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たときは、その解雇の効力は
使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解されている。



 

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「解雇予告除外認定」に関する出題です。


労働者を解雇しようとする場合には、
● 少なくとも30日前に予告をする
又は
● 30日分以上の平均賃金を支払う
いずれか(併用も可)をしなければなりませんが、
■ 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
■ 労働者の責めに帰すべき事由に基いて解雇する場合
には、解雇予告や解雇予告手当の支払は必要ありません。

ただ、これらの事由に該当するかどうかを使用者の判断に任せてしまうと、
使用者が都合のよい判断をしてしまうおそれがあります。

そのため、その事由について所轄労働基準監督署長の認定を受けなければ
ならないこととされています。

で、この認定は、手続的なもの、
つまり、「その事実があるか否かを確認する処分」です。

ですから、認定されるべき事実がある場合には、使用者は有効に即時解雇を
なし得ます。
ということで、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得たとき
であっても、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生
します。  

【 24─3−イ 】では、「認定のあった日に発生する」とあるので、誤りです。

【 15−4−C 】と【 18─7−E 】は正しいです。

ちなみに、解雇制限を除外する場合についても認定が必要ですが、
こちらについても、扱いは同じです。

ですので、あわせて押さえておきましょう。


 

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