平成23年−労基法問5−D「減給の制裁」

  • 2011.10.28 Friday
  • 06:05

 今回は、平成23年−労基法問5−D「減給の制裁」です。



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就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合において、一賃金支払期
に発生した数事案に対する減給の総額が当該賃金支払期における賃金の総額の
10分の1を超える定めは、無効となる。



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「減給の制裁」に関する出題です。



まずは、次の問題をみてください。



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【 14─6−B 】

就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、
1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、また、一賃金支払期
に発生した数事案に対する減給の総額が当該賃金支払期における賃金の総額の
10分の1を超えるとしても、当該賃金支払期における実際の減給の総額は、
当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内でなければならない。




【 5−4−B 】

減給の制裁を行う場合の減給の総額は、一賃金支払期における通常の賃金の
10分の1を超えてはならない。



 

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減給の制裁を行う場合の制限ですが、

「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における
賃金の総額の10分の1を超えてはならない」

と規定されています。

ですので、【 14─6−B 】は正しいです。

【 23─5−D 】では、「10分の1を超える定めは、無効となる」とあります。

労働基準法において、
就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない
と規定がありますから、
「10分の1を超える定め」は無効となります。
正しいです。

もう一つの【 5−4−B 】、
「10分の1を超えてはならない」という箇所は正しいのですが、
何の10分の1なのかという点、
「一賃金支払期における通常の賃金」とあります。
10分の1はしっかりと確認しているけど、
この部分は記憶があいまいなんてこと、あるかもしれません。
「通常の賃金」ではなく、「賃金の総額」、
現実に支払われる賃金の総額です。
ですので、「通常の賃金」という記載では誤りです。

このような箇所は、うっかりミスとかありがちですから、
注意しましょう。



それと、「10分の1を超える」部分ですが、
これって、まったく減給をすることができないのかというと、
そういうわけではなく・・・次の問題を見てください。



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【 16−7−D 】

就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、
1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金
の総額の10分の1を超えてはならず、もし、これを超えて減給の制裁を行う
必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばす
ことはできない。




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1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないのは、
前述したとおり、そのとおりです。
ただ、それ超えて減給したい場合、次期の賃金支払期に延ばすことができます。

ですので、【 16−7−D 】は誤りです。

制限されているのは、1賃金支払期における限度です。
減給の制裁を行う回数は制限されていませんので。

この点もあわせて押さえておきましょう。


 

平成23年−労基法問4−E「割増賃金」

  • 2011.10.22 Saturday
  • 06:04

 今回は、平成23年−労基法問4−E「割増賃金」です。



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労働基準法第33条又は第36条に規定する手続を経ずして時間外又は休日労働
をさせた場合においても、使用者は、同法第37条第1項に定める割増賃金の
支払義務を免れない。



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「割増賃金」に関する出題です。



次の問題をみてください。



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【 18─5−B 】

労働基準法第37条には、「使用者が、第33条又は前条第1項の規定により
労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又は
その日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の
2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算
した割増賃金を支払わなければならない」と規定されていることから、同法
第37条に規定する割増賃金は、同法第33条又は第36条第1項の規定に
基づき労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合に支払うべきもの
であって、これらの規定による手続を必要とする時間外又は休日の労働
であっても、これらの規定による手続をとらずに行われたものに対しては
割増賃金の支払の必要はない。




【 10−4−B 】

労働基準法第37条に規定する割増賃金は、同法第33条又は第36条の規定
に基づき労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合に支払うべきもので
あって、違法に時間外又は休日の労働を行わせた使用者には割増賃金の支払
義務はない、というのが最高裁判所の判例の考え方である。



 

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違法な時間外労働や休日労働であっても割増賃金の支払が必要かどうか
というのが論点の問題です。

この論点は、【 18─5−B 】の問題文に記載されている法37条において
「第33条又は前条(36条)第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日
に労働させた場合」
という記載があるので、
そうじゃない時間外労働や休日労働、
つまり、違法なものなら、支払は不要なのでは?
なんて思わせようとして出題してくるのでしょうが・・・・・

もし、違法な時間外労働や休日労働なら、割増賃金の支払が必要ない
なんてことですと・・・
わざわざ労働基準法の規定に基づいて36協定を締結したりなんてこと
しなくなってしまいますよね。

ですから、
時間外労働や休日労働が違法な場合であっても、
時間外労働又は休日労働をさせたという事実があれば、
使用者は、その労働に対する割増賃金を支払わなければなりません。

ということで、
【 23─4−E 】は正しいですが、
【 18─5−B 】と【 10−4−B 】は誤りです。


 

平成23年−労基法問4−A「一斉休憩の例外」

  • 2011.10.12 Wednesday
  • 05:51

 今回は、平成23年−労基法問4−A「一斉休憩の例外」です。



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当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては
その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、使用者は、
その定めに基づき、労働基準法第34条第1項に定める休憩時間を一斉に与え
なくてもよい。



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「休憩を交替制で与える場合の手続」に関する出題です。



次の問題をみてください。


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【 21−6−C 】

建設の事業の事業場においては、所轄労働基準監督署長の許可を受けなければ、
労働者に一斉に休憩を与えなければならない。



【 63−4−B 】

交替制によって労働させる場合は、所轄労働基準監督署長の許可を受ければ、
休憩時間を一せいに与えなくてもよい。



【 3−7−D 】

休憩時間は、労使協定がある場合には、行政官庁の許可がなくても一せいに
与えないことができる。



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「休憩を交替制で与える場合の手続」に関する出題です。
休憩は一斉に与えることが原則です。

で、休憩を一斉に与えなければならない事業場において、
一斉に休憩を与えないこととするためには、
労使協定を締結しなければなりません。

【 23−4−A 】では、
「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数
を代表する者との書面による協定」
という記載があります。

これは、労使協定のことですから、休憩時間を一斉に与えなくてもよいこと
になるので、正しいです。

【 3−7−D 】も、「労使協定がある場合」としているので、正しいです。

これらに対して、
【 21−6−C 】では、「所轄労働基準監督署長の許可」を受けるとしています。
誤りですね。

【 63−4−B 】でも、「所轄労働基準監督署長の許可を受け」としています。

実は、【 63−4−B 】は、現在では誤りですが、出題当時は正しい肢でした。
これに対して、【 3−7−D 】は、出題当時は誤りだったのです!
現在では正しくなりますが。

休憩時間を一斉に与えないこととする場合、
もともと、所轄労働基準監督署長の許可を必要としていました。
現在は、労使協定を締結すれば、交替制で休憩を与えることができるように
なっています。

ですので、「許可が必要」として誤りなんて出題があるのです。

現在は、「労使協定」ですから、間違えないようにしましょう。


それと、次の問題をみてください。


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【 15−6−A 】

保健衛生の事業については、労働者に休憩を一斉に与える必要はないので、
満18才に満たない労働者についても、特段の手続をしなくとも、休憩時間を
一斉に与える必要はない。



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この論点も、注意しておく必要があります。

「運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便通信業、保健衛生業、
接客娯楽業、官公署の事業」については、労使協定を締結しなくても、休憩を
交替制で与えることができますが、
年少者には、この特例、適用されません。

ですので、
保健衛生の事業であっても、年少者に交替制で休憩を与えるには、
労使協定の締結が必要になります。

ってことで、この点も、あわせて押さえておきましょう。



 

平成23年−労基法問2−C「賠償予定の禁止」

  • 2011.10.04 Tuesday
  • 06:01

 今回は、平成23年−労基法問2−C「賠償予定の禁止」です。



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使用者は、労働契約の締結において、労働契約の不履行について違約金を
定めることはできないが、労働者が不法行為を犯して使用者に損害を被ら
せる事態に備えて、一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定めることは
できる。



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「賠償予定の禁止」に関する出題です。



次の問題をみてください。


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【 10─2−C 】

運送会社がトラックの運転手を雇い入れる際、「故意又は重大な過失により会社
に損害を与えた場合、損害賠償を行わせることがある」旨の契約を締結する
ことは、禁止されている。



【 12─2−A 】

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定する
契約をしてはならないが、実際に労働者の債務不履行により被った損害の賠償
を請求することは禁止されていない。



【 5─4−E 】

使用者は、労働契約の不履行について損害賠償を請求することはできない。



【 20─1−B 】

使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求しては
ならない。



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「賠償予定の禁止」に関する出題ですが、労働基準法16条では、

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を
予定する契約をしてはならない。

と規定しています。

【 23─2−C 】の
「一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定める」というのは、
「損害賠償額を予定する契約」ですから、
そのような定めをすることはできません。
誤りです。



【 10─2−C 】の場合は、
「損害賠償を行わせることがある」旨の契約を締結すること
としています。
これは、「損害賠償額を予定する契約」ではありません。
ですので、禁止されていないので、誤りです。



【 12─2−A 】の
「労働者の債務不履行により被った損害の賠償を請求すること」
これは、「損害賠償額を予定する契約」を締結したわけではなく、
損害があったから請求をしたというだけですので、禁止されていません。



「損害賠償額を予定する契約」をすると、実損額にかかわらず、
その額を賠償しなければならなくなってしまうので、
そのような契約を禁止しています。
これに対して、現実に生じた損害に対して損害賠償請求をすること、
これがダメだということですと、使用者サイドのほうに大きな負担を
強いることになってしまいかねないので、請求することを労働基準法
では禁止していません。


ですので、
【 5─4−E 】と【 20─1−B 】は、誤りです。
労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求することはできますので。


何ができるのか、
何が禁止されているのか、
きちんと整理しておきましょう。


 

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