平成22年−雇保法問2−C「特定理由離職者」

  • 2010.12.25 Saturday
  • 06:20

 今回は、平成22年−雇保法問2−C「特定理由離職者」です。


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契約期間を1年とし、期間満了に当たり契約を更新する場合がある旨を定めた
労働契約を、1回更新して2年間引き続き雇用された者が、再度の更新を希望
したにもかかわらず、使用者が更新に合意しなかったため、契約期間の満了に
より離職した場合は、特定理由離職者に当たる。


 

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「特定理由離職者」に関する出題です。



次の問題をみてください。



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【17−3−D】

期間6か月の労働契約を5回更新し、合計3年間継続勤務してきた者に
ついては、労働者が6回目の更新を希望せず、期間の満了によって雇用
が終了した場合であっても、特定受給資格者となる。


 

【13−4−B[改題]】

期間の定めのある労働契約の更新により2年以上引き続き雇用されて
きた者が、本人が契約更新を希望していたにもかかわらず、契約更新が
なされなかったために離職した場合には、特定受給資格者となる。


 

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いずれの問題も、「有期労働契約を締結した者」の離職に関する問題です。



【17−3−D】と【13−4−B[改題]】は、
特定受給資格者となるかどうか、というのが論点です。


 

有期労働契約により雇用された労働者が次のいずれかに該当する場合には、
特定受給資格者となります。



● 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った
 場合において、当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者

● 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示
 された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職
 した者


 

そこで、
【17−3−D】ですが、「労働者が6回目の更新を希望せず」とあります。



本人が更新を希望しないのであれば、その離職について、手厚い保護を
する必要性に欠けますので、「特定受給資格者」にはなりません。
ですので、誤りです。


 

【13−4−B[改題]】では、「希望していたにもかかわらず」とあります。
ただ、引き続き雇用された期間が「2年以上」となっています。



特定受給資格者となるためには、「3年以上」でなければなりません。



また、「労働契約が更新されることが明示された」かどうかの記載がありません。



労働契約が更新されることが明示されているのであれば、特定受給資格者と
なりますが、明示の記載がないので、必ずしも「特定受給資格者となる」
とはいえません。
ですので、誤りです。


 

【22−2−C】では、
引き続き雇用された期間が2年間で、更新については、「更新する場合がある」
というように明確ではありません。



ですので、特定受給資格者にはなりません。



ただ、この問題の場合、


期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がない
こと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が
成立するに至らなかった場合に限ります)


に該当するので、特定理由離職者に該当します。
正しいです。


 

特定受給資格者となるか、特定理由離職者となるのか、
どちらにも該当しないのか、


この辺は、今後も論点にされることがあるでしょう。


 

更新を希望しないのなら、
特定受給資格者、特定理由離職者どちらにも該当しません。



更新を希望しているということが、どちらにも共通の要件です。



で、引き続き雇用された期間が「3年以上」であれば、
「更新あり」ということが明示されているか、どうかに関係なく、
特定受給資格者になります。


 

引き続き雇用された期間が3年に満たない場合は、
「更新される」ことが明らかにされていながら、更新されないという場合には、
特定受給資格者となります。



更新が不確定、つまり、「更新する場合がある」というような場合には、
特定受給資格者とはなりません。
特定理由離職者となります。

 

ちょっとややこしいですが、この論点は、事例として出題される可能性が
高いので、ちゃんと理解しておきましょう。

 

 

平成22年−労災法問7−B「不服申立て」

  • 2010.12.17 Friday
  • 06:01

 今回は、平成22年−労災法問7−B「不服申立て」です。

 

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「事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故」
について保険給付を行ったときに該当するとして、政府からその保険給付に
要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収する処分を受けた事業主は、
当該処分に不服がある場合でも異議申立てをすることはできない。

 

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「不服申立て」に関する出題です。

 

次の問題をみてください。

 

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【61−7−D】


事業主からの費用徴収の決定につき不服がある事業主は、労働者災害補償保険
審査官に対して不服申立てを行うことができる。

 


【6−7−D[改題]】


業務災害の原因である事故を故意又は重大な過失により生じさせた事業主からの
費用徴収に関する処分について不服のある事業主は、都道府県労働局長に対して
異議申立てをすることができ、その決定に不服のある事業主は、厚生労働大臣に
対して審査請求をすることができるものとされている。

 


【10−記述[改題]】 


事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故に
ついて保険給付がなされた場合には、政府は保険給付に要した費用に相当する
金額の全部又は一部を徴収することができるが、その処分に不服がある場合、
事業主は処分庁に対し( A )をすることができ、この徴収金に関する処分
の取消しの訴えは、当該処分についての( B )に対する厚生労働大臣の
裁決を経た後でなければ、提起することができない。

 


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「事業主からの費用徴収の処分」についての不服申立てに関する出題です。

 

労災保険法の不服申立てですが、
独自のルールに基づいて審査請求することができるのは、
「保険給付に関する決定」に不服がある場合だけです。

 

「保険給付に関する決定」に不服があれば、
労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をすることができます。


「事業主からの費用徴収の処分」ですが、
これは、「保険給付に関する処分」には含まれませんから、
労働者災害補償保険審査官に対して審査請求することはできません。


【61−7−D】は誤りです。

 

では、不服があった場合、どうするのかといえば、

異議申立てを行うことができます。


【22−7−B】は、
「異議申立てをすることはできない」としているので、誤りです。

 

そこで、
この異議申立てですが、都道府県労働局長に対して行います。
処分をしたところ、処分庁に対して行います。


さらに、異議申立ての決定に不服がある場合には、
その上級庁に審査請求することができます。


具体的には、厚生労働大臣ですね。


ですので、【6−7−D[改題]】は、正しくなります。


この「異議申立て」と「審査請求」の流れ、
【10−記述[改題]】で出題されています。

 

選択式での出題も考えられますから、
この辺の流れは、押さえておいたほうがよいでしょう。

 

【10−記述[改題]】の答えは、

A :異議申立て   
B :審査請求

です。


 

平成22年−労災法問5「未支給の保険給付」

  • 2010.12.09 Thursday
  • 06:01

 今回は、平成22年−労災法問5「未支給の保険給付」です。



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労災保険法に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合に
おいて、その者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者
(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者
を含む)等であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた
ものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することが
できるが、この未支給の保険給付を受けるべき者の順位として、正しい
ものは次のうちのどれか。



A 配偶者、子、父母、祖父母、孫、兄弟姉妹


B 子、配偶者、父母、兄弟姉妹、孫、祖父母


C 配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹


D 子、配偶者、父母、祖父母、兄弟姉妹、孫


E 配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹、孫


 

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「未支給の保険給付」に関する出題です。


 

次の問題をみてください。


 

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【15−2−B】


未支給の保険給付(遺族補償給付及び遺族給付に関するものを除く)を
受けるべき者の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の
順序による。


 


【9−2−C】


休業補償給付の受給権者たる労働者が死亡し、当該労働者がその休業補償給付
を請求していない場合であって、当該労働者の死亡当時その者と生計を同じく
していた当該労働者の子及び母がいるときには、その子のみが自己の名で、
未支給の休業補償給付を請求できる。


 

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「未支給の保険給付の請求をすることができる者の順位」を論点とした問題です。


 

未支給の保険給付の請求をすることができる者は



配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を
含みます。以下、省略します)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、
その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものです。



で、その順位は、記載の順番で



1 配偶者
2 子
3 父母
4 孫
5 祖父母
6 兄弟姉妹

です。



したがって、【15−2−B】は正しいです。


そこで、【15−2−B】ですが、

「遺族補償給付及び遺族給付に関するものを除く」とあります。

遺族補償年金と遺族年金については、転給があるので、
他の保険給付とは未支給の保険給付を請求することができる者の規定の
仕方が異なっています。


当該遺族補償年金(遺族年金)を受けることができる他の遺族が請求する
ことができる


とされています。


転給される最先順位者が請求できるってことです。



【22−5】では、この点について、記載がありません。


ですので、遺族補償年金及び遺族年金以外の保険給付の場合と考えて
解答する必要があります。


 

【9−2−C】については、事例的に
「子」と「母」を挙げて、どっちが優先ということを論点としています。


「子」が優先されるので、正しくなります。


 

未支給の保険給付の仕組みは、他の社会保険制度にも規定されていて、
基本的な考え方は同じです。



ですので、ちゃんと理解しておけば、色々な科目で対応できるので、
請求できる者の順位だけではなく、
仕組み全体をしっかりと押さえておきましょう。

 

 

平成22年−労災法問2−E「特別支給金」

  • 2010.12.04 Saturday
  • 06:23

 今回は、平成22年−労災法問2−E「特別支給金」です。



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特別支給金は、業務災害に関する療養補償給付、葬祭料及び介護補償給付、
通勤災害に関する療養給付、葬祭給付及び介護給付、並びに二次健康診断等
給付と関連しては支給されない。


 

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「特別支給金」に関する出題です。



次の問題をみてください。


 

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【16−2−B】



特別支給金は、業務災害及び通勤災害に関するすべての保険給付と関連して
支給される。



 

【17−3−A】



特別支給金は、業務上の事由又は通勤による負傷、疾病、障害又は死亡に
関する各保険給付(療養補償給付及び療養給付を除く)のすべてに付帯する
ものとして、当該各保険給付の請求とともに行う申請に基づいて支給される。


 


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特別支給金が、どのような保険給付と関連して支給されるのか
というのを論点にしています。



特別支給金は、保険給付の上乗せ的な意味合いを持っており、
所得補償としての保険給付と関連して行われるものです。



ですので、
実費支給的意味合いを持つ保険給付



療養補償給付・療養給付、葬祭料・葬祭給付、介護補償給付・介護給付
それと二次健康診断等給付


に関連する特別支給金はありません。


 

ですので、
【22−2−E】は正しいです。

【16−2−B】と【17−3−A】は、誤りです。


 

この論点、ここのところ、ポツポツと出題されているので、
しっかりと押さえておきましょう。


 

特別支給金は、すべての保険給付に関連しているわけではない
ってことを。


 

 

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