平成21年−選択式─労基法─B

  • 2009.08.30 Sunday
  • 06:57

 今回は、平成21年−選択式─労基法─Bです(K−Net社労士受験ゼミの
会員専用のSNSに掲載した記事を再編集したものです)。

 

☆☆======================================================☆☆

 

賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払
われるべき賃金から控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段
たる相殺は、〔…(略)…〕その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の
( B )との関係上不当と認められないものであれば、同項(労働基準法第24条
第1項)の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが最高裁判
所の判例である。

 

☆☆======================================================☆☆

 

この問題は、賃金全額払に関する判例ですが、この判例については、

 

【12─4−C】


最高裁判所の判例によると、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、労働
基準法第24条第1項ただし書によって除外される場合に当たらなくても、その
行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認め
られないものであれば同項の禁止するところではない。

 

と出題されています。

 

ところが、


【18─2−B】


最高裁判所の判例によると、労働基準法第24条第1項本文の定めるいわゆる賃金
全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、
もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことのない
ようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、使用者が労働者に
対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを禁止する趣旨をも包含
するものであるが、労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合において
は、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる
合理的な理由が客観的に存在するときは、当該同意を得てした相殺は当該規定に違反
するものとはいえないものと解するのが相当である、とされている。

 

という出題もあります。

 

多くの受験生は、こちらの過去問のほうだけ見ている可能性が高いんですよね。

 

そうなると、
Bの空欄に、【18─2−B】で記載している「自由な意思」なんて言葉を
入れてしまう可能性があります。


この言葉でも、文章、自然なのです。


Bの空欄の答えは、「経済生活の安定」ですが、
これ、ここでは掲載していませんが、Cの空欄に入れることができなくない
言葉なのです。


選択肢を最初にグループ分けしてしまう受験生だと
「経済生活の安定」をCの候補に入れてしまうってこともあり・・・・

 

そうなると、余計、
Bの候補として「自由な意思」が浮かび上がってしまうんですよね。

 

なので、このBとCは連鎖反応で間違えてしまうという・・・
良問なんだけど、解くほうにしてみると、かなり怖い問題でした。

 

実際、この問題は、5つの空欄のうち正解できたのが2つ以下という方、
かなり多いようです。

 

平成20年−厚年法問10−C「年金額の改定」

  • 2009.08.23 Sunday
  • 01:23

 今回は、平成20年−厚年法問10−C「年金額の改定」です。


☆☆======================================================☆☆


被保険者である60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者について、その者の総報酬
月額相当額が改定された場合は、改定が行われた月から新たな総報酬月額相当額
に基づいて支給停止額が再計算され、当該改定が行われた月から、年金額が改定
される。


☆☆======================================================☆☆


「年金額の改定」に関する出題です。

年金額の改定のタイミング、
これは、色々な規定から出題されます。

ということで、次の問題をみてください。


☆☆======================================================☆☆

 

【 15−6−C 】


在職老齢厚生年金の支給停止額については、その者の標準報酬月額が改定された
場合には、改定された月の翌月から新たな総報酬月額相当額に基づいて計算され
た額に変更される。

 

【 19−6−E 】


老齢厚生年金の受給権者について離婚時の標準報酬の決定又は改定が行われた
ときは、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から年金額を改定
する。

 

【 20−10−B 】


障害厚生年金の受給権者について、離婚等をした場合における標準報酬の改定
又は決定が行われたときは、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月から、
年金額が改定される。

 

☆☆======================================================☆☆

 

【 20−10−C 】と【 15−6−C 】は、在職老齢年金に関する「年金額の改定」


【 19−6−E 】と【 20−10−B 】は、合意分割に伴う「年金額の改定」


に関する出題です。

 

まず、在職老齢年金に関してですが、


在職老齢年金は、総報酬月額相当額と基本月額に応じて支給停止額が算定されます。
そのため、総報酬月額相当額又は基本月額のいずれかが改定されたときは、
それに合わせて、年金額を見直していく必要があります。


つまり、総報酬月額相当額などが改定されたら、
「その月」から年金額も改定されるってことです。


【 20−10−C 】は「改定が行われた月から」とあるので、正しいです。
【 15−6−C 】は、「改定された月の翌月から」とあるので、誤りです。

 

次に、合意分割に伴う「年金額の改定」に関してですが、


この場合の年金額の改定は、
「標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月」
から行われます。

 

「標準報酬改定請求のあった日の属する月」から
ではありませんからね。

 

【 19−6−E 】は正しく
【 20−10−B 】は誤り
です。

 

「その月」なのか、「翌月」なのか、
ここは、度々、論点にされていますので。

 

原則、「翌月」と考え、


「その月」からというのを例外として、
押さえておくのが、よいでしょう。

 

平成20年−厚年法問9−B「老齢厚生年金の裁定」

  • 2009.08.19 Wednesday
  • 06:04

 今回は、平成20年−厚年法問9−B「老齢厚生年金の裁定」です。


☆☆============================================================☆☆

 

60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が65歳に達し、65歳からの老齢厚生
年金の裁定を受けようとする場合は、新たに裁定請求書を提出する必要はない。

 

☆☆============================================================☆☆

 

「裁定請求」に関する出題です。


まずは、次の問題をみてください。

 

☆☆============================================================☆☆

 

【 16−6−C 】


特別支給の老齢厚生年金を受給している者が65歳に到達した場合、65歳から老齢
基礎年金及び老齢厚生年金の支給を受ける場合には、社会保険庁長官に裁定請求
をすることを要しない。

 

【 10−6−B 】


特別支給の老齢厚生年金を受給している者が65歳に達したときは、「年金受給権者
現況届」を社会保険庁長官に送付することにより、老齢厚生年金と老齢基礎年金を
受給できることとなる。

 

☆☆============================================================☆☆

 

年金の支給を受けるためには、裁定を受けなければなりません。
基本中の基本です。

 

そこで、
特別支給の老齢厚生年金と65歳から支給される老齢厚生年金、
いずれも厚生年金保険が支給する「老齢」に関する年金ですが、
これらは、別個の年金です。

 

ですから、特別支給の老齢厚生年金の支給を受けていた者であっても、
65歳から支給される老齢厚生年金の支給を受けようとするときは、
新たに裁定請求書を提出する必要があります。

 

ということで、
【 20−9−B 】と【 16−6−C 】は、誤りです。

 

では、【 10−6−B 】ですが、
「現況届」を提出するとしていますが、
現況届を提出するのではありませんよね。

 

裁定請求の際に提出しなければならないのは、
「国民年金・厚生年金保険老齢給付裁定請求書」
です。
ですので、この問題も誤りです。

 

いずれにしても、基本的な内容ですから、
こういう問題は、間違えないように。

 

平成20年−厚年法問8−D「厚生年金基金」

  • 2009.08.14 Friday
  • 06:09

 今回は、平成20年−厚年法問8−D「厚生年金基金」です。

 

☆☆======================================================☆☆

 

厚生年金基金がその業務の一部を委託することができる法人は、信託業務を営む
金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会(農業協同組合法に規定される
事業のうち、生命共済の事業を行うものに限る)及び企業年金連合会に限られる。

 

☆☆======================================================☆☆

 

「厚生年金基金の業務の委託」に関する出題です。


まずは、次の問題をみてください。

 

☆☆======================================================☆☆

 

【 13−4−C 】


厚生年金基金は、その業務の一部を、信託会社(信託業を営む銀行を含む)、生命
保険会社、厚生年金基金連合会その他政令で定める法人に委託することができる。
なお、年金数理業務については、信託会社及び生命保険会社に委託することが
できるが、厚生年金基金連合会に対しては委託することはできない。

 

☆☆======================================================☆☆

 

【 13−4−C 】は出題当時の文章そのままです。
ですので、「厚生年金基金連合会」なんて言葉が入っていますが、
出題当時は正しい内容でした。


ただ、現在の規定では、誤りになります。

 

そこで、
【 20−8−D 】ですが、こちらも、どこに業務の委託をすることができるのか、
この点を論点にしています。

 

現在、業務の委託をすることができるのは、
信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会、企業年金
連合会に限定されていません。
「信託会社」や「その他の法人」にも、その業務の一部を委託することが
できます。


ですので、【 20−8−D 】も誤りです。

 

どこに委託することができるのか
これは1つの論点になりますので、注意しておく必要がありますが・・・・

 

もう一つ論点にされる点があります。

 

次の問題をみてください。

 

☆☆======================================================☆☆

 

【 15−10−B 】


国民年金基金は、社会保険庁長官の許可を受けて、国民年金基金連合会に業務
の一部を委託することができる。

 

☆☆======================================================☆☆

 

業務の委託に関しては、国民年金基金についても規定があります。
で、国民年金基金の業務委託については、


「厚生労働大臣の認可」受けて業務の一部を委託することができる


とされています。


厚生年金基金の業務の委託については、
「厚生労働大臣の認可」
とは規定していません。

 

この違い、厚生年金基金のほうで誤った内容として出題してくる可能性
ありますので、違いを押さえるようにしておきましょう。

 

それと、【 15−10−B 】は誤りです。
行政官職名が違いますね。
「社会保険庁長官」ではなく、「厚生労働大臣」です。

 

平成20年−厚年法問7−C「遺族厚生年金」

  • 2009.08.09 Sunday
  • 07:16

 今回は、平成20年−厚年法問7−C「遺族厚生年金」です。


☆☆======================================================☆☆

 

父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、その支給が
停止されるが、平成8年4月1日前に死亡した者の遺族に該当する父母は、遺族
厚生年金の受給権を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当する
障害の状態にある間は、受給権取得時の年齢にかかわらず、60歳に達するまでの
期間についても支給される。

 

☆☆======================================================☆☆

 

「遺族厚生年金」に関する出題です。


次の問題をみてください。

 

☆☆======================================================☆☆

 

【 14−4−E 】


平成8年4月1日前に死亡した被保険者又は被保険者であった者の夫に遺族
厚生年金が支給される場合において、被保険者又は被保険者であった者の死亡
当時からその夫が障害等級1級又は2級に該当する状態にある場合には、55歳
未満であっても遺族厚生年金が支給される。

 

【 10−9−E 】


旧適用法人共済組合員期間を有する退職共済年金受給者が、統合日以後に死亡
した場合で、55歳未満の夫が遺族厚生年金の請求をするとき、改正前国家
公務員等共済組合法では年齢の制限がないため、障害等級に該当しなくても
遺族厚生年金の受給権者となることができる。

 

【 18−1−A 】


旧適用法人共済組合の退職共済年金の受給権者である妻が、平成19年4月1日
前に死亡した場合に、その者の死亡の当時2級以上の障害の状態にある夫に
ついては、夫の年齢を問わず遺族厚生年金が支給される。 

 

☆☆======================================================☆☆

 

夫や父母が遺族厚生年金の遺族となるには、年齢要件があります。


被保険者などが死亡したとき、55歳以上でなければ、遺族となりません。


ただ、
被保険者等が平成8年4月1日前に死亡したときですが、
夫、父母又は祖父母について、障害要件が設けられていました。


つまり、年齢に関係なく、一定の障害状態であれば、遺族とされたのです。


元々、旧法にあった規定なのですが、
新法になって、障害基礎年金が整備されたため、
一定の障害状態になれば、自らの年金を受けられるってことで、
障害要件は廃止することになりました。

 

ただ、年金制度によくある経過措置、
これで、新法施行後10年間、残されたのです。

 

なので、「平成8年4月1日前」ということで。

 

【 14−4−E 】では
「平成8年4月1日前に死亡」とあるので、年齢にかかわらず、
障害状態の夫は遺族となるため、正しいことになります。

 

【 20−7−C 】は支給停止を絡めた出題ですが、
年齢にかかわらず遺族となれるのですから、
「60歳に達するまでの期間」について、支給停止になるってことはありません。

 

若年でも所得保障が必要だから遺族にするってことなのですから、
支給停止にはなりません。

 

ってことで、【 20−7−C 】も正しくなります。

 


【 10−9−E 】と【 18−1−A 】では、
「旧適用法人共済組合員期間」が出てきます。

 

これは、ちょっと扱いが違っておりまして・・・・

 

旧適用法人共済組合、
厚生年金保険に統合されたのは平成9年です。
で、それまでは、障害要件があったのです。

 

そこで、統合から10年の経過措置を設けました。

 

10年ということは、平成19年、
そうです、平成19年4月1日前の死亡なら、障害要件がありました。
そこで、
【 10−9−E 】ですが、「障害等級に該当しなくても」とあります。
障害状態に該当する場合に、年齢要件を問わないことになるのであって、
障害状態に該当しないのであれば、年齢要件が必要となるので、誤りです。

 


これに対して、【 18−1−A 】は障害要件を満たしているので、正しく
なります。

 

現在の死亡には、いずれの場合も障害要件は適用されないのですが・・・
試験では、そのようなものが出題されてくるってことがあります。

 

複数回出題されていますから、
確認をしておきましょう。

平成20年−厚年法問6−C「定額部分の額」

  • 2009.08.01 Saturday
  • 06:10

 今回は、平成20年−厚年法問6−C「定額部分の額」です。


☆☆======================================================☆☆

 

60歳台前半の老齢厚生年金の定額部分の額は、1,628円に国民年金法第27条
に規定する改定率を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数が生じたときは、
これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り
上げる)に被保険者期間の月数を乗じて得た額となる。当該被保険者期間の
月数は、生年月日にかかわらず、480が上限とされている。

 

☆☆======================================================☆☆

 

「定額部分の額」に関する出題です。


定額部分の額に関しては、その計算の基礎となる被保険者期間の月数の上限、
これが、よく出ます。


ということで、次の問題をみてください。

 

☆☆======================================================☆☆

 

【 13−9−C 】


報酬比例部分の年金額の計算に用いる被保険者期間には、生年月日に応じた
上限がある。

 

【 17−5−E 】


昭和20年4月2日生まれの被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金の
定額部分の額は、1,628円に老齢基礎年金の改定率、当該被保険者の乗率1.032
及び480月を上限とする被保険者期間の月数を乗じて得た額として計算される。

 

【 11−6−B 】


昭和16年4月2日に生まれた男子について、61歳から定額部分が支給される
場合においては、その定額部分の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数
の上限は480月となる。

 

【 16−5−A 】


定額部分の計算の際に用いる被保険者期間の月数は、昭和9年4月2日以後に
生まれた者については444月が上限である。

 

☆☆======================================================☆☆

 

まず、【 13−9−C 】ですが、これは、報酬比例部分に関する問題です。


被保険者期間の月数に上限が設けられているのは、定額部分だけです。
報酬比例部分には上限はありません。


ですので、誤りです。

 

では、その他の問題ですが、


【 20−6−C 】では、
「生年月日にかかわらず、480が上限」
とあります。
定額部分の額の計算における被保険者期間の月数は、一律に480を上限として
いるのではありません。
生年月日に応じて、上限が異なっています。
480が上限となるのは、昭和21年4月2日以後生まれの者です。
ですので、誤りですね。

 

次に
【 17−5−E 】では、「昭和20年4月2日生まれ」について、
【 11−6−B 】では、「昭和16年4月2日生まれ」について、
「480月を上限」としています。


前述したように、「480月を上限」とするのは、
昭和21年4月2日以後生まれの者ですから、いずれも誤りです。


昭和20年4月2日生まれの場合、上限は「468」、
昭和16年4月2日生まれの場合、上限は「444」ですね。


次に、【 16−5−A 】ですが・・・・
実は、出題当時は「正しい」扱いでした。


定額部分の計算の際に用いる被保険者期間の月数は、
昭和9年4月2日以後に生まれた者については444月が上限だったのです。
ただ、その後の改正(平成16年改正)で
444月を上限とするのは、
昭和9年4月2日から昭和19年4月1日までの間に生まれた者
とされたので、現在は誤りになります。


いずれにしても、月数の上限が論点です。
で、上限、最も多い月数を出題してくる傾向があります。


今後も、まだまだ出題されるでしょうから、
「昭和21年4月2日以後生まれの者は480が上限となる」
という点、ここは、絶対に押さえておきましょう。


 

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