平成19年労災保険法問1―A「業務上の疾病」、1−B「通勤による疾病」

  • 2007.12.30 Sunday
  • 08:21
今回は、平成19年労災保険法問1―A「業務上の疾病」、1−B「通勤に
よる疾病」です。

☆☆==============================================================☆☆

A 業務上の負傷に起因する疾病は、労働基準法施行規則第35条及び別表
  第1の2で定める業務上の疾病には含まれない。

B 通勤による疾病とは、通勤途上で生じた疾病その他厚生労働省令で
  定める疾病をいう。

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「業務上の疾病」、「通勤による疾病」に関する問題、最近は頻出です。

まず、次の問題を見てください。

☆☆==============================================================☆☆

【 14−1−D 】

業務に起因することが明らかな疾病であっても、労働基準法施行規則
別表第1の2において具体的に疾病の原因及び種類が列挙されている
疾病のいずれかに該当しないものは、保険給付の対象とはならない。


【 17―2−B 】

厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)では、業務上の疾病
を例示しており、例示された最後の疾病は「その他業務に起因すること
の明らかな疾病」であるが、その具体的な疾病名は、厚生労働大臣が告示
している。


【 13−1−C 】

通勤による疾病は、厚生労働省令で定めるものに限られる。


【 17−2−A 】

業務上の事由による疾病として療養補償給付の対象となる疾病の範囲は、
厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)で定められており、
通勤による疾病として療養給付の対象となる疾病の範囲も、この厚生
労働省令の規定が準用される。


【 14−2−D 】

通勤による疾病の範囲は、通勤による負傷に起因する疾病のほか、業務上
の疾病の範囲に準じて厚生労働大臣告示において具体的に疾病の種類が
列挙されている。


【 18−選択 】

労働者災害補償保険法による保険給付の事由となる業務災害及び通勤災害
のうち業務上の疾病の範囲は、( A )で、通勤災害のうち通勤による
疾病の範囲は、( B )で定められている。
業務上の疾病として( A )の別表第1の2に掲げられている疾病の
うち同表第9号に掲げられている疾病は、その他( C )である。
 通勤による疾病として( B )に定められている疾病は、( D )
に起因する疾病その他( E )である。

☆☆==============================================================☆☆

業務上の疾病の面倒をみるものといえば、そもそもが労働基準法の災害補償
です。
通勤は労働基準法とは直接関係ないので、その疾病については労災保険法で
規定しています。
この考え方は基本ですよね。

そこで、まずは、業務上の疾病に関する問題3つですが、
労働基準法施行規則別表第1の2にスポットを当てたものです。

【 19−1−A 】:誤り。
業務上の負傷に起因する疾病は、業務上の疾病に含まれます。いきなり病気が
発生するのではなく、まず、ケガをし、それに起因して病気になるってこと、
当然、あり得ますからね。

【 14−1−D 】:誤り。
具体的に列挙されていなくとも、「厚生労働大臣が指定する疾病」や「その他
業務に起因することの明らかな疾病」に該当すれば、保険給付の対象となり
ます。

【 17―2―B 】:誤り。
「その他業務に起因することの明らかな疾病」、これについては、具体的な
疾病名は告示されてません。

続いて、通勤災害に関するものです。

【 19−1−B 】:誤り。
「通勤途上で生じた疾病」というだけでは、必ずしも通勤との因果関係がある
とはいえませんよね。

【 13−1−C 】:正しい。
厚生労働省令で「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因すること
の明らかな疾病」とされています。

【 17−2−A 】:誤り。
【 14−2−D 】:誤り。
業務災害の疾病の範囲が準用されているのではありませんよね。通勤災害に
関するものは、通勤災害に関するものとして労災保険法施行規則に規定されて
います。【 13−1−C 】に記載したようにです。

いずれにしても、規定の中身というよりは、どこに、何を規定しているのか
という点を問う問題ですよね。
社労士試験の問題って、そういう問題が結構あります。「政令」で規定している
かどうかとか、「厚生労働省令」で規定されているとか。
こういう問題、試験的には厳しいですよね。

とはいえ、これだけ択一式に出題されている論点ですから、
選択式、出題されても驚くほどの内容ではないはずなんですよね。

選択式というのは、そもそも択一式の延長線にあるようなものですから。

で、実際、【 18−選択 】では、これらが完全に論点にされています。

ということで、今後、まだまだ出題される可能性が高いので、どのように規定
されているのかは、しっかりとつかんでおきましょう。

【 18−選択 】の【 解答 】
A:労働基準法施行規則
B:労働者災害補償保険法施行規則
C:業務に起因することの明らかな疾病
D:通勤による負傷
E:通勤に起因することの明らかな疾病

平成19年労働安全衛生法問10―D「健康診断実施後の措置」

  • 2007.12.24 Monday
  • 06:37
今回は、平成19年労働安全衛生法問10―D「健康診断実施後の措置」です。
(K−Net社労士受験ゼミ「会員専用SNS」に掲載したものを加筆・
修正したものです)

☆☆==============================================================☆☆

健康診断において、ある労働者が要再検査又は要精密検査と診断された場合、
再検査又は精密検査は、診断の確定や症状の程度を明らかにするものであり、
一律には事業者にその実施が義務付けられているものではないが、有機溶剤
中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則等に基づく特殊健康診断として規定
されているものについては、事業者にその実施が義務付けられているので、
その責任において行わなければならない。

☆☆==============================================================☆☆

健康診断に関して、事業者に再検査又は精密検査の実施義務があるかどうか
を問う問題です。

これに関連しては、次の問題が過去に出題されています。

☆☆==============================================================☆☆

【15−9−C】

いわゆる一般健康診断において、ある労働者が要精密検査と診断された場合、
事業者は、当該一般健康診断実施義務の一環として、当該精密検査を、その
責任において行わなければならない。


【17−9−C】

一般健康診断において、毎月100時間以上の時間外労働を行わせている労働者
について血圧測定、血中脂質検査、血糖検査及びBMIのいずれの項目において
も異常の所見があり、要精密検査と診断されたときは、事業者は、当該精密検査
を、当該一般健康診断の一環として、その責任において行わなければならない。

☆☆==============================================================☆☆

一般健康診断というのは、労働者の健康状態の推移を把握し、
たとえば、労働者の潜在的な疾病を早期に発見したりするために、
事業者に義務付けられたものです。

これに対して、再検査や精密検査となると、診断を確定したり、症状がどの程度
なのかまでを明らかにするものです。
ですので、さすがに、そこまでは、事業者にその実施が義務付けられていません。

ということで、義務付けのように記載している
【15−9−C】、【17−9−C】は誤りですね。

では、特殊健康診断はといえば、就労する業務が体に害をおよぼすおそれの
ある場合に、より厳重な健康管理が必要であることから、有害性との関連に
基づき関連疾病が発生していないかどうかなどを確認したりするためのものです。
状況によっては、より詳しい検査をする必要もあり得ます。

そのため、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則等において
再検査や精密検査が特殊健康診断として規定されているものがあり、
それらについては事業者が実施しなければなりません。

ということで、【19−10−D】は正しくなります。

一般健康診断として再検査や精密検査を行う義務は、事業者にはなし。
特殊健康診断としては、あり得る。

この点を押さえておけばOKでしょう。

平成19年労働安全衛生法問9―E「派遣労働者に係る安全衛生教育」

  • 2007.12.17 Monday
  • 06:25
今回は、平成19年労働安全衛生法問9―E「派遣労働者に係る安全衛生教育」
です。

☆☆==============================================================☆☆

労働安全衛生法第59条第2項の規定に基づくいわゆる作業内容変更時の
安全衛生教育の実施の義務は、派遣先事業者のみに課せられている。

☆☆==============================================================☆☆

派遣労働者に係る作業内容変更時の安全衛生教育については、平成17年にも
出題されています。

ということで、次の問題をまずは見てください。

☆☆==============================================================☆☆

【17−8−A】

労働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業に
関しては、労働安全衛生法第59条第2項の規定に基づく作業内容変更時の
安全衛生教育は派遣元事業主及び派遣先事業主が、同条第3項の特別の安全
衛生教育は派遣先事業主が、それぞれ行わなければならない。

☆☆==============================================================☆☆

作業内容変更時の安全衛生教育は、派遣元が行うのか、派遣先が行うのか、
それとも双方に義務があるのか、それが論点になっています。

【19−9−E】では、派遣先のみとしていて、【17−8−A】では双方と
なっています。

作業内容の変更は、派遣元においても、派遣先においても起こり得ます。
なので、
作業内容変更時の教育については、派遣先も事業者とみなされます。
つまり、本来は派遣元がすべきだけど、派遣先にも同じ義務が発生する
ということになり、
派遣元事業者及び派遣先事業者の双方に実施義務が課せられます。

ですので、
【17−8−A】:正しい
【19−9−E】:誤り

です。

【17−8−A】では、
特別の安全衛生教育についても論点にしていますが、これは実際に就業する
場所でのことになるので、派遣先事業主に義務が課されています。

それと、平成19年には次の問題も出題されています。

☆☆==============================================================☆☆

【19−9−D】

労働安全衛生法第59条第1項の規定に基づくいわゆる雇入れ時の安全衛生
教育の実施の義務は、派遣先事業者及び派遣元事業者の双方に課せられている。

☆☆==============================================================☆☆

雇入れ時の安全衛生教育に関する問題です。
これは、誤りです。

雇入れ時の安全衛生教育は、必要最小限の基本的なことを教育するものなので、
派遣前に行われるべきものです。

ですので、雇入れ時の安全衛生教育の実施の義務は、
派遣元事業者に課せられています。

派遣先には実施義務はありません。

どの教育は、どちらに義務があるのか、双方に義務があるのか、
これらは整理しておいた方がよいですね。

平成19年労働安全衛生法問8―D「総括安全衛生管理者に係る行政措置」

  • 2007.12.10 Monday
  • 08:33
今回は、平成19年労働安全衛生法問8―D「総括安全衛生管理者に係る行政措置」
です。

☆☆==============================================================☆☆

都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、
総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者にその改善を命令することが
できる。

☆☆==============================================================☆☆

この論点は、久々の出題です。
まずは、次の問題を見てください。

☆☆==============================================================☆☆

【 61−10−B 】

労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、
事業者に対し、総括安全衛生管理者の解任を命ずることができる。

【 2−8−A 】

都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、
事業者に対し総括安全衛生管理者の解任を命ずることができる。


☆☆==============================================================☆☆

【 61−10−B 】は労働基準監督署長、【 2−8−A 】は都道府県労働局長
とありますが、いずれにしても誤りです。

解任命令ができるという規定はありません。

さらに、【 19−8−D 】では「改善を命令することができる」とありますが、
このような命令もできません。

つまり、すべて誤りです。

総括安全衛生管理者に関する行政措置としては、
都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、
総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる
とされています。

できるのは、「命令」ではなく「勧告」です。

安全管理者や衛生管理者については、増員、解任の命令制度が設けられて
いますが、総括安全衛生管理者については、勧告制度です。

総括安全衛生管理者は、その事業場の最高責任と権限を有している者なので、
必要がある場合に改善勧告を行うほうが適当だという考えから、このような
制度にしています。

ちなみに、行政措置については、次のような問題が出題されたことがあります。

☆☆==============================================================☆☆

【 6−8−B 】

労働基準監督署長は、労働者の健康障害を防止するため必要があると認める
ときは、事業者に対し、産業医の解任を命ずることができる。

☆☆==============================================================☆☆

産業医に関しては、行政措置の規定はありません。
ですから、誤りです。

今後、また出題される可能性がありますから、
行政措置がある場合、ない場合、
さらに、ある場合は、誰が措置を講じるのか、
都道府県労働局長なのか、労働基準監督署長なのか、
この辺は、整理しておいたほうがよいでしょう。

平成19年労働基準法問7―D「監督又は管理の地位にある妊産婦」

  • 2007.12.04 Tuesday
  • 06:35
今回は、平成19年労働基準法問7―D「監督又は管理の地位にある妊産婦」
です。
(K−Net社労士受験ゼミ・会員専用ページにアップしているシャララン
社労士シリーズ「2007出るデル過去問」に掲載している内容に【19−7−D】
を加え、一部修正をしたものです)

☆☆==============================================================☆☆

使用者は、労働基準法第66条第2項の規定により、妊産婦が請求した場合
においては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定に
かかわらず、時間外労働又は休日労働をさせてはならないが、この第66条
第2項の規定は、同法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある
妊産婦にも適用される。

☆☆==============================================================☆☆

監督又は管理の地位にある妊産婦の労働時間に関する取扱い、
よく出ますよね。
ということで、まずは、
次の問題を見てください。

☆☆==============================================================☆☆

【 17−5−B 】

使用者は、労働基準法第66条第2項及び第3項の規定により、妊娠中の女性
及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という)が請求した場合に
おいては、同法第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかか
わらず、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないが、同法第41
条第2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、時間外
労働、休日労働及び深夜業をさせることができる。

【 9−7−B 】

使用者は、妊娠中の女性及び産後1年間を経過しない女性が請求した場合には
深夜業をさせてはならないが、監視又は断続的労働については、これらの者が
請求した場合であっても、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、深夜業に
従事させることができる。

【 13−7−E 】

使用者は、妊産婦については、妊産婦からの請求の有無にかかわらず、
深夜業をさせてはならない。

【 15−6−B 】

使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」
という)が請求した場合においては、深夜業をさせてはならないが、この
規定は、妊産婦であっても管理監督者に該当するものには適用されない。

☆☆==============================================================☆☆

監督又は管理の地位にある者については、時間外労働、休日労働等の規定が
除外されます。ですので、管理監督者が妊産婦でも時間外労働、休日労働
させることは可能です。

ということで、【 19−7−D 】は誤りです。

で、深夜業ですが、
これは適用が除外されないので、請求があれば、深夜業をさせることは
できません。

ということで、【 17−5−B 】は、
「時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることができる」とあるので、
誤りです。時間外労働と休日労働、これはさせることができますが、
深夜業はさせられません。

この論点は、何度も出題されている箇所です。
ですので、絶対落としてはいけないところなのですが・・・・・・
多くの人がこんがらがってしまっているようです!
よく出題されているのに、質問がよくあるんですよね。

5〜6年前に、同じ受験生から3〜4回、質問を受けたことがあります!
「多分、以前、聞いたのですが・・・・・」って感じで。難しくはないのですが、
混乱しやすい箇所ですよね。
で、労働時間等の適用除外。この除外には深夜業は含まない。これが基本です。

ですから、
【 9−7−B 】
【 13−7−E 】
【 15−6−B 】
全部、誤りです。簡単にまとめてしまうと、
原則として、妊産婦に深夜業をさせることは可能。
請求があれば深夜業は禁止。
管理監督者である妊産婦でも、請求すれば深夜業は禁止って、ことです。

平成19年労働基準法問6―A「年次有給休暇の付与日数」

  • 2007.12.01 Saturday
  • 07:30
今回は、平成19年労働基準法問6―A「年次有給休暇の付与日数」です。
(K−Net社労士受験ゼミ・会員専用SNSに掲載したものを加筆修正
したものです)

☆☆==============================================================☆☆

使用者は、その事業場に、同時に採用され、6か月間継続勤務し、労働基準法
第39条所定の要件を満たした週の所定労働時間20時間(勤務形態は1日4時間、
週5日勤務)の労働者と週の所定労働時間30時間(勤務形態は1日10時間、
週3日勤務)の労働者の2人の労働者がいる場合、両者には同じ日数の年次有給
休暇を付与しなければならない。

☆☆==============================================================☆☆

2人の労働者を比べて、有給休暇の付与日数はどちらが多い?
という論点ですが、過去にも出題されています。

次の問題を見てください。

☆☆==============================================================☆☆

【14−5−A】

使用者は、その事業場に、同時に採用され、6か月間継続勤務し、労働基準法
第39条所定の要件を満たした週の所定労働時間15時間(勤務形態は1日3
時間、週5日勤務)の労働者と週の所定労働時間28時間(勤務形態は1日7
時間、週4日勤務)の労働者の2人の労働者がいる場合、前者に対しては、
後者より多くの日数の年次有給休暇を付与しなければならない。

☆☆==============================================================☆☆

この場合は、前者は通常の付与、後者は比例付与となります。
ですので、週の所定労働時間15時間(勤務形態は1日3時間、週5日勤)の
労働者のほうが、多くなります。
正しいですね。

所定労働時間の長短は、比例付与の判断基準ですが、
やはり休暇というところを考えると、出勤日数が多いほうが、有利に
なるんですよね。

そこで、【19−6−A】
こちらは、
いずれの労働者も通常の付与となるので、同じ日数の年次有給休暇を付与
しなければなりません。正しい内容です。

比例付与は、週4日以下の勤務でなければ該当しないので、
所定労働時間20時間(勤務形態は1日4時間、週5日勤務)の労働者は、
通常付与。

さらに、週の所定労働時間が30時間未満でなければ、比例付与にならない
ので、週の所定労働時間30時間(勤務形態は1日10時間、週3日勤務)の
労働者も通常付与となります。

ということで、比例付与については、事例として判断できるようにしておく
必要があります。

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