平成18年厚生年金保険法問9―A「障害厚生年金の支給に関する経過措置」

  • 2007.06.30 Saturday
  • 07:33
今回は、平成18年厚生年金保険法問9―A「障害厚生年金の支給に関する
経過措置」です。

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障害厚生年金の受給権を有していた者であって、平成6年11月9日前に
その受給権を喪失した者のうち、請求することによって障害厚生年金が
支給されるのは、同一の傷病によって65歳に達する日の前日までの間に
2級以上の障害の状態になったときに限られる。

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過去に障害厚生年金の受給権が消滅してしまっていても、再び、障害厚生年金
の支給を受けることができるという経過措置に関する出題です。

次の問題を見てください。

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【 15−7−E 】

障害厚生年金の受給権を有していたが障害等級に該当しなくなったときから
起算して3年を経過したために平成6年11月9日前にその受給権を喪失して
いた者については、65歳に達する日前までの間に障害等級に該当する程度の
障害状態になったときは、65歳以降に請求しても障害厚生年金を支給する。

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平成6年11月9日前にその受給権を喪失ということを、どちらでもいって
いますが、平成6年の改正前は、障害状態が障害等級に不該当となり、
3年経過すると障害厚生年金は失権したんですね。
現在は、3年不該当と65歳到達の2つを満たして、失権ですから、不該当を
理由にする失権は65歳までは起きません。

そこで、3年不該当で失権した人が後日再び障害等級に該当するような障害
状態になるってことがあり、そのような人たちを救済するため、障害厚生年金
の支給を請求できるようにしたのですが・・・

【 18−9−A 】では、2級以上になった場合に限定していますが、限定され
ません。
障害等級に該当していればよいので、3級の場合でも請求することができます。

1級〜3級までのいずれかに該当する障害の状態となれば請求することができます。

【 15−7−E 】では、等級については「障害等級に該当する程度」としている
ので、ここは正しい内容になります。

ただ、「65歳以降に請求しても」とありますが、これはできません。
事後重症の障害厚生年金って、65歳に達する前でないと請求できませんが、
この経過措置も同じです。
65歳に達する前に障害状態となり、かつ、65歳に達する前に請求した場合に支給
されます。

この規定に関連する内容は、国民年金からも出題されています。

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【 17−6−C 】

旧国民年金法又は、旧厚生年金保険法による障害年金の受給権を有していた
ことがある者について事後重症による障害基礎年金は支給されない。

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「障害年金の受給権を有していたことがある者」とありますが、
これは、障害状態が障害等級に該当しなくなって、失権しているってことです。

で、その者が再び障害等級に該当する程度の障害状態となったら、事後重症
として障害基礎年金が支給されるかどうかっていうのが、論点ですが、
これは、前述の経過措置の適用を受けることになります。
つまり、事後重症は適用されないで、正しいってことです。

65歳に達する前に障害状態となり、かつ、65歳に達する前に請求すれば、
障害基礎年金が支給されることになります。

この規定に関しては、平成7年、11年にも択一式で出題されています。
経過措置とはいえ、これだけ出題されているので、しっかりと確認して
おきたい規定ですね。

平成18年厚生年金保険法問8―A「共済組合等の年金給付との併給」

  • 2007.06.23 Saturday
  • 18:37
今回は、平成18年厚生年金保険法問8―A「共済組合等の年金給付との併給」
です。

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受給権者が65歳に達しているときの共済組合等の年金給付については、
原則として退職共済年金と老齢厚生年金、遺族厚生年金と遺族共済年金、
同一の支給事由に基づく障害厚生年金と障害共済年金は、それぞれ併給
できる。

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共済組合等の年金給付との併給に関する出題です。
基礎年金と厚生年金とは同一事由であれば併給できますが、
共済年金とはどうなのかという点を問う問題です。
まず、「退職」と「老齢」、これは厳密には保険事故としては異なるものですが、
同一事由と扱い、併給が可能です。
では、「障害」や「遺族」については、どうでしょうか。

次の問題を見てください。

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【 10−4−E 】

障害等級2級に該当する障害厚生年金の受給権者が、共済組合の組合員
期間中に初診日のある傷病により更に障害等級2級の障害の状態に該当
する場合には、障害基礎年金の併合された障害の程度に応じて、障害共済
年金及び障害厚生年金の額を改定するとともに、いずれか一方の年金の
支給を停止する。

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【 18−8−A 】で、同一の支給事由に基づく障害厚生年金と障害共済年金
とありますが、それは、この【 10−4−E 】のような場合です。
さすがに、これが併給できたら、過剰給付ですよね。
ですので、併給はできないのです。
つまり、【 18−8−A 】は併給できるとあるので、誤り。
【 10−4−E 】は正しいということになります。

では、続いて、「遺族」に関する併給について、次の問題を見てください。

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【 15−10−B 】

特別支給の退職共済年金を受給しながら、同時に厚生年金保険の被保険者で
ある者が死亡し、その妻に遺族共済年金と遺族厚生年金が決定されたときで、
遺族厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない
ため、300月として年金額を決定したときは、この2つの年金は併給調整の
対象となる。

【 16−3−E 】

老齢厚生年金と退職共済年金を受給している者が死亡したときは、その
遺族に支給される遺族厚生年金と遺族共済年金は併給されるが、障害共済
年金を受給している厚生年金の被保険者が25歳で死亡したときは、その
遺族に支給される遺族厚生年金と遺族共済年金は併給することができない。

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遺族共済年金と遺族厚生年金については、併給される場合もあり、併給され
ない場合もあります。
【 18−8−A 】では、単に併給できるとしているので、その点でも誤りです。
併給することができるのは、いずれも長期要件の場合です。
【 16−3−E 】にある
「老齢厚生年金と退職共済年金を受給している者が死亡したとき」などが該当
します。このような場合には併給が可能です。

【 15−10−B 】については、遺族厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間の
月数を300月としていることから、遺族厚生年金は短期要件、これに対して
遺族共済年金は長期要件なので、この場合は、いずれか一方を選択となります。
つまり、併給調整の対象となるってことですから、正しいことになります。

それと、【 16−3−E 】の後段ですが、これは遺族厚生年金、遺族共済年金
いずれもが短期要件の場合です。この場合も、やはり、いずれか一方を選択して
受給することになるので、併給することはできないというのは、正しくなります。

遺族厚生年金と遺族共済年金の受給権が発生した場合、長期要件か、短期要件か、
この組み合わせで、併給されたり、選択となったりなどありますので、どの組合せ
の場合、どのような扱いになるのかは、きちっと確認しておきましょう。

平成18年厚生年金保険法問5―C「脱退一時金」

  • 2007.06.17 Sunday
  • 06:22
今回は、平成18年厚生年金保険法問5―C「脱退一時金」です。

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脱退一時金は、日本国籍を有する者には支給されず、その者が最後に国民年金
の被保険者の資格を喪失した日又は同日において日本に住所を有していた場合
には資格喪失後初めて日本国内に住所を有しなくなった日から起算して2年を
経過しているときにも支給されない。

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脱退一時金に関する出題です。
脱退一時金については、国民年金にもあり、共通の規定があります。
支給額の算定方法は異なっていますが、支給要件などは共通ですので、
このような箇所は、合わせて勉強してしまうというのが、効率的ですよね。

では、次の問題を見てください。

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【 13−厚年5−A 】

厚生年金保険の被保険者期間が6ヶ月以上ある日本国籍を有しない者が、最後に
国民年金の被保険者の資格を喪失した日から2年以内に出国するときに限り、
障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがない場合には、
脱退一時金を請求することができる。

【 12−国年2−E 】

日本国内に住所を有していた日本国籍を有しない者が第1号被保険者の
資格を喪失した日より後に初めて日本国内に住所を有しなくなった日から
起算して2年を経過しているときは、脱退一時金の支給の請求ができない。

【 13−国年10−B 】

脱退一時金を請求することができるのは、最後に被保険者の資格を喪失した日
から2年を経過した日以後である。

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いずれも、いつまでに請求できるかという点に論点を置いています。
【 18−厚年5−C 】では
被保険者の資格を喪失した日などから起算して2年を経過しているときは
支給されないとしていますが、これは正しい内容です。
2年を経過してしまえば、請求することはできません。

なので、【 12−国年2−E 】も正しくなります。
これに対して、【 13−国年10−B 】は「2年を経過した日以後」とある
ので、誤りです。

では、【 13−厚年5−A 】ですが、
「国民年金の被保険者の資格を喪失した日から2年以内に出国するときに限り」
とありますが、そうではありませんよね。

【 18−厚年5−C 】に
「最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日」
又は
「同日において日本に住所を有していた場合には資格喪失後初めて日本国内に
住所を有しなくなった日」
とあるように、資格を喪失した際に日本国内にいる場合、その期間を問わず、
その後、国内に住所を有しなくなってから2年以内であれば、請求できます。

たとえば、国民年金の第1号被保険者が国内に住所を有しなくなったことで、
資格を喪失したのであれば、請求は2年以内。
第1号被保険者が60歳に達したことにより資格を喪失したのであれば、
国内にいる間は請求ができず、国内に住所を有しなくなってから2年以内に
請求するってことになります。

それと、【 18−厚年5−C 】に「日本国籍を有する者には支給されず」と
ありますが、この点についても論点にされることがあるので、確認を忘れずに。
どんな場合でも、日本国籍を有している者には支給されることはありませんよ。

平成18年厚生年金保険法問4―C「受給権の保護及び効果の禁止」

  • 2007.06.10 Sunday
  • 09:03
今回は、平成18年厚生年金保険法問4―C「受給権の保護及び効果の禁止」
です。

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障害手当金として保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は
差し押さえることは出来ず、かつ当該給付として支給を受けた金銭を標準
として租税その他の公課を課すこともできない。

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受給権の保護及び効果の禁止に関する出題です。
基本的な内容ですし、難しい規定ではないので、正誤の判断は比較的しやすい
とは思うのですが・・・

ちょっとした勘違いや読み違えに注意しないといけませんね。

次の問題を見てください。

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【 14−3−D 】

老齢厚生年金として支給を受けた金銭について、これを標準として租税
その他の公課を課すことはできないが、国税滞納処分により差し押さえる
ことはできる。

【 12−3−B 】

保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることは
できない。ただし、年金たる保険給付を別に法律で定めるところにより担保に
供する場合、老齢厚生年金の給付を受ける権利を、国税滞納処分(その例に
よる処分を含む)により差し押さえる場合はこの限りではない。

【 10−10−B 】

障害厚生年金と遺族厚生年金の保険給付として支給された金銭については、
租税その他の公課を課することができない。

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まず、受給権の保護についてですが、
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができ
ないというのが、原則です。
ただ、年金たる保険給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に
供することはできます。
また、老齢厚生年金を受ける権利は、差し押えることができたり、支給を受けた
金銭を標準として公課を課すことができます。

つまり、年金たる保険給付には、例外があります。

【 18−4−C 】は、障害手当金としての出題ですから、例外はないですよね。
障害手当金、ちょっとした読み間違えで「障害厚生年金」と読んでしまったり
すると、例外があるから誤りなんてことにしてしまうことがあり得ます。

簡単な規定の出題って、油断してしまうってあります。
そこで、それを失うとダメージが大きいですからね。
こういうところは、ちゃんと読めば、大丈夫ですから、やはり日頃から
1文字1文字きちっと読む癖を付けておくことが大切ですね。

【 14−3−D 】は、老齢厚生年金ですから、公課を課すことができるので、
誤りですね。

【 12−3−B 】は、これは条文ベースでその通りです。

【 10−10−B 】は、障害厚生年金と遺族厚生年金ですから、公課を課すことが
できないので、正しくなります。
【 6−10−B 】では、老齢厚生年金と遺族厚生年金の組み合わせで誤った肢と
して出題されたこともありますが、この辺は色々な組み合わせで出題してくる
ことが考えられるので、読み間違い、勘違いをしないように。

平成18年厚生年金保険法問2―A「障害厚生年金の額」

  • 2007.06.03 Sunday
  • 09:45
今回は、平成18年厚生年金保険法問2―A「障害厚生年金の額」です。

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障害厚生年金の額については、老齢厚生年金の額の規定の例により計算した
額とし、当該障害年金の支給事由となった障害に係る初診日の属する月後に
おける被保険者であった期間は計算の基礎としないが、被保険者期間の月数が
300に満たないときは300として計算する。

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障害厚生年金の額に関する出題です。
障害厚生年金の額を計算する際の被保険者期間、これが論点です。

まずは、次の問題を見てください。

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【 15−7−A 】

障害厚生年金の額の計算においては、当該障害厚生年金の支給事由となった
障害認定日の属する月の翌月以降における被保険者期間は含めない。

【 11−7−B 】

障害厚生年金の額については、当該障害年金の支給事由となった障害に係る
障害認定日の属する月の前月までを計算の基礎とする。ただし、当該障害
厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たない場合
を除く。

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まず、【 18−2−A 】ですが、

障害厚生年金の額の計算において、
「障害に係る初診日の属する月後における被保険者であった期間は計算の基礎
としない」
としています。つまり、「初診日の属する月」まで含めるといっています。

これに対して、【 15−7−A 】では
「障害認定日の属する月の翌月以降における被保険者期間は含めない」
とあり、
【 11−7−B 】では
「障害認定日の属する月の前月までを計算の基礎とする」
と、「障害認定日」が出てきています。
さらに、【 15−7−A 】と【 11−7−B 】とでは、障害認定日の属する月を
含めるかどうかという点で異なっています。

正しいのは、【 15−7−A 】です。
障害認定日の属する月後における被保険者であった期間は含めません。
障害認定日の属する月までを計算の基礎とします。

遺族厚生年金の額の問題では、300月の保障があるかないかを論点にするって
ことがよくありますが、障害厚生年金の額の場合は、その点は、論点にして
こないんですよね。

いつまで計算の基礎に含めるか、ここを論点にしてきます。
障害認定日、この日に障害等級に該当する障害状態であれば、受給権が発生
することになるので、そこまでは含めますってことです。

初診日の段階では、支給されるかどうか、未確定ですからね。

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