平成18年度試験・選択式・「社会保険に関する一般常識」

  • 2006.09.28 Thursday
  • 05:58
まずは問題を見てください。

戦後の混乱は社会保険制度にほとんど壊滅的打撃を与えた。昭和20年
には、官業共済組合をふくめて、全国民の約3分の1が( A )に加入
していたといわれ、( B )は全国で約1万組合、被保険者約4,100万人
に達していたが、昭和22年6月にはわずかに40%ほどの組合が事業を
継続しているにすぎない状態であった。( C )もまた財源確保のために
( D )の改訂と料率引上げを繰り返さざるをえなかったのである。
ただし、昭和22年に労働者災害補償保険法と失業保険法が制定されたことは、
社会保険の大きな前進であったといえる。これに対応して、( C )の
給付から業務上災害がのぞかれ、( E )も事業主責任の分離を行った
のは当然である。なお、日雇労働者にも失業保険が適用されたのは昭和24年
5月からであった。

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「社会保険制度の沿革」に関する問題です。
年金制度、医療保険制度などの沿革については、社会保険に関する
一般常識からは頻繁に出題されています。
しかし、まったく同じという出題はありません。

ということで、今回の問題とまったく同内容の問題は過去に出題
されたことはありません。

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平成18年の選択式、空欄Aについて、解答がどうなるかは、公式発表が
行われないと何ともいえないところですので、ここでは言及しませんが、
そのほかの部分について、

厚生統計協会が発行している「保険と年金の動向2005年」に
「国民健康保険はめざましい発展を遂げ、昭和20年には、組合数10,349、
被保険者数4,075万人達した」
「昭和22年、労働者災害補償保険法と失業保険法が制定され、健康保険
においては、業務外の事故に対してのみ給付が行われることとなった」
「昭和22年、労働者災害補償保険制度が創設されたことに伴い、厚生年金
保険における事業主責任を分離するとともに・・・」
という記載があります。ですので、空欄B、C、Eは、これらの記載から
解答がわかります。

ちなみに、東京社会保険協会発行の「社会保険制度 改正経過概要」では、
障害年金について、昭和19年10月から「業務上については平均報酬月額の
5か月分から8か月分、業務外については4か月分とし・・・」、昭和22年
9月から「業務上外を問わず単一給付とする」とあり、空欄Eの根拠的な
内容があります。
そのほか、「社会保険制度 改正経過概要」によると、昭和17年から24年の
間に8回も標準報酬の改訂が行われていますので、空欄Dは「標準報酬」
で間違いないということになります。

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では、社会保険の沿革の問題、過去にどのような出題があったか見て
おきましょう。

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【昭44−記述】
わが国においては、昭和36年以降( A )、( B )の体制が確立
され、社会保険制度の体系的整備が実現された。

【昭57−記述】
昭和34年に国民年金法が制定され、同年11月から( A )の給付が、
次いで昭和( B )年4月から拠出制国民年金の保険料の納付が始まり、
これによって( C )体制が確立された。

【昭63−記述】
我が国の医療保険制度の歴史は古く、大正11年(1922年)に( A )
が制定されたことに遡る。
第二次世界大戦後、全国民に対して医療保険制度を適用していくための
準備が進められ、自営業者、農民等の全ての非被用者を対象とする新しい
( B )が制定され、昭和36年(1961年)から全面的に実施され、
国民皆保険が実現した。

【平元−記述】
昭和61年4月より実施されている現行年金制度においては、( A )は
自営業者だけでなく被用者本人及びその被扶養配偶者にも適用され、
全国民に共通する( B )を支給する制度となった。

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かなり古い問題です。今現在の受験生の力からすると、これらの内容は
基本中の基本というところです。
ですので、このレベルの問題では、ほとんど差がつかないでしょうね。
試験というのは、やはりある程度差がつかないと、意味がないわけで、
そうなると、受験生のレベルが上がれば、やはり問題のレベルも上がり、
制度の根幹により一層突っ込んだ内容が出題されるってことになる
でしょう。

とはいえ、平成18年の出題、問題文に不適切な記載があるというのは、
考えものですが・・・

レベル設定という点では、当然のレベルでしょうし、出題内容も前述した
書籍の内容をベースにしたということで考えれば、出題そのものを批判
するような内容ではないでしょう。

ちなみに、先日、政府刊行物メールマガジンで、売れ行き良好ベスト5
なるものを紹介していましたが
3位が「国民衛生の動向 2006」(厚生統計協会)という書籍で、
これって「保険と年金の動向」の姉妹書みたいものでして、つまり発売
時期の関係があるので、「保険と年金の動向」は上位にランクはされて
ませんが、「保険と年金の動向」もかなり世に出ている本なんですよ。

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【昭44−記述】
( A ):国民皆保険
( B ):国民皆年金

【昭57−記述】
( A ):福祉年金
( B ):36
( C ):国民皆年金

【昭63−記述】
( A ):健康保険法
( B ):国民健康保険法

【平元−記述】
( A ):国民年金
( B ):基礎年金

【平18−選択】の解答です。
( A ):医療保険(あえて、何かを解答とするのであれば)
( B ):国民健康保険
( C ):健康保険
( D ):標準報酬
( E ):厚生年金保険

平成18年度試験・選択式・「国民年金法」

  • 2006.09.24 Sunday
  • 07:03
まずは問題を見てください。

政府は、国民年金法の規定により財政の現況及び見通しを作成するに
当たり、( A )が、( B )の終了時に( C )に支障が生じない
ようにするために必要な( D )を保有しつつ当該( B )に
わたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、年金たる
給付の額(以下給付額という)を( E )するものとし、政令で、
給付額を( E )する期間の開始年度を定めるものとする。

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「調整期間」に関する問題です。
厚生年金保険法も平成16年の改正の出題でしたが、国民年金法も
同様に平成16年の改正の出題でした。

ということで、過去に直接この規定が出題されたことはありません。
かといって、関連性のある問題が昨年出題されているかどうかという点では、
出題がありました。

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【17−選択】

国民年金法第4条の3第1項の規定による( E )が作成されるときは、
厚生労働大臣は厚生年金保険の( A )が負担し、又は( D )が納付
すべき( C )についてその将来にわたる予想額を算定するものとされて
いる。

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解答は
( A ):管掌者たる政府   
( C ):基礎年金拠出金
( D ):年金保険者たる共済組合等
( E ):財政の現況及び見通し(法94条の2)
です。

( E )の空欄は、財政の現況及び見通しが作成されるときですよね。
では、この問題を解いたとき、単に「財政の現況及び見通し」なんだで
終わりでしょうか?
どういうタイミングで作成されるとか、関連する規定はあったとか、
考える必要があります。
選択式の問題に取り組む際、単に空欄だけ埋めるんでは、そのままの
出題以外、まったく対応できませんよね。
そもそも選択式というのは、択一の延長線上にあるようなものですから、
空欄だけ考えるのであれば、極端な話、わざわざ選択式の問題なんて
解かなくても十分です。
空欄と関連することや空欄以外の内容、その辺をしっかりと確認する
ことが必要です。
そうすれば、【17−選択】から【18−選択】に行き着くでしょうから、
簡単に解けたはずです。

続いて、次の問題を見てください。

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【17−厚年―選択】

財政運営の方式としては、100年程度の間において給付と負担の均衡を図り、
財政均衡期間の最終年度における積立金水準を支払準備金程度(給付費の
約 ( E )年分程度)とする有限均衡方式を導入した。

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( E )は「1」が解答です。
まず、文章中に「財政均衡期間」とありますが、これは、【18−選択】の
Bの空欄の解答です。
この問題では、「給付と負担の均衡を図り」と言っています。
これって、「給付の支給に支障が生じない」ってことにつながりますよね。
均衡が取れなければ、支給に支障が生じるのですから。

さらに、【17−厚年―選択】では、「積立金水準」と言う言葉を使って
います。
これって、【18−選択】の「積立金を保有しつつ」につながるところです。

選択式の文章って、どうしても解答の箇所だけに目が行きがちですが、
文章全体で、考えていくってことが、大切なんですよね。

同じ言葉の同じ空欄、確かにありますが、それだけ勉強するとなると、
効率は悪いし、本質的に過去に問われたことを勉強していないってこと
なんですよね。
出題されたと言うことは、その文章が全体として重要ということなん
ですよね。

改正されて間もない規定は、過去問には、あまりありません。
でも、1度出題されたところを応用的に勉強していけば、かなり幅広い
対応ができるんですよね。

択一でも同じです。必ずしも同じような誤りを作るとは限りません。

正誤の判断だけでなく、その理由や応用を勉強すること、これが大切
なんですね。

いつ出たかではないですよ。どのように出題されたか、関連することは・・・
これが大切です。

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【18−選択】の解答です。

( A ):国民年金事業の財政
( B ):財政均衡期間
( C ):給付の支給
( D ):積立金
( E ):調整

平成18年度試験・選択式・「厚生年金保険法」

  • 2006.09.20 Wednesday
  • 06:12
まずは問題を見てください。

1 平成16年の法改正により、年金額の改定は被保険者であった期間の
 標準報酬月額及び標準賞与額に係る( A )(生年度別)を改定する
 ことによって毎年自動的に行われる方式に改められた。

2 新規裁定者(( B )歳到達年度前の受給権者)の年金額の改定には、
 原則として( C )を基準とした( A )を用い、既裁定者(
 ( B )歳到達年以後の受給権者)の年金額の改定には、原則として
 前年の( D )を基準とした( A )を用いる。

3 調整期間においては、これら( C )と( D )にそれぞれ
 調整率を乗じて( A )が用いられる。この調整率は、「3年度前の
 ( E )」に平均的な年金受給期間の変動率等を勘案した一定率で
 ある0.997を乗じて得た率である。

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「年金額の改定」、「再評価率の改定」に関する問題です。
平成16年の改正点ですね。
平成16年の改正で、再評価率は、原則として、毎年度、賃金スライドと
物価スライドにより自動的に改定していくことになりました。
その改定において、調整期間中はマクロ経済スライドを用いた方法で
改定をしますが、その辺を含めた出題です。

平成16年に設けられたばかりの規定ですので、これらについて、直接的に
出題されたのは初めてです。

ただし、年金額の改定に関しては過去に色々と形で出題されています。

たとえば、Aの空欄に関しては

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【13−8−C】

厚生年金保険の賃金スライドは、過去の標準報酬を、その後の賃金上昇率を
乗じることによって現在の賃金水準に置き換える、いわゆる再評価の手法
によって行われ、毎年4月以降の給付額が改定される。

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出題当時は、再評価の手法による改定は、毎年度ではなく、5年に一度の
財政再計算の際に行われていたので、誤りでした。
ただ、現在は、毎年自動改定する仕組みになっています。

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B〜Eの空欄については、保険料水準固定方式における再評価率の改定に
関する原則論とマクロ経済スライドを合わせた出題ですが、基本的な用語さえ
知っていれば、埋められるところです。

ちなみに、改定は
 
          |   原則            |   調整期間
―――――――|―――――――――――――|――――――――――――――
原則       | 名目手取り賃金変動率   | 名目手取り賃金変動率×調整率
―――――――|―――――――――――――|――――――――――――――
基準年度以後 | 物価変動率           | 物価変動率×調整率
再評価率    

を基準にして行われます。

そこで、Eの空欄ですが、解答となる言葉そのものは、出題されていませんが、
昨年の選択式で、考え方は出題されていましたよね。

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【17−選択】

給付水準を自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド)を導入した。
この自動調整の仕組みは、年金制度を支える現役世代の人数の減少分と
( B )を、毎年度の年金額の改定率から減じるものである。

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( B ):平均余命の延び
ですが、調整率は
「年金制度を支える現役世代の人数の減少分」と「平均余命の延び」を
考慮したものということです。
これを【18−選択】では
「3年度前の公的年金被保険者総数変動率」と「平均的な年金受給期間の
変動率等を勘案した一定率である0.997」と表したんですね。

つまり、昨年は「平均的な年金受給期間の変動率等を勘案した一定率で
ある0.997」の部分を「平均余命の延び」と出題し、
今年は、「年金制度を支える現役世代の人数の減少分」を意味する
「3年度前の公的年金被保険者総数変動率」を出題したんですね。
法律の言葉というのは、法条文に記載された言葉となりますが、
一般的に表現するとどうなるのか、こういうのも知っておく必要が
ありますね。
「物価スライド」「マクロ経済スライド」なんて言葉、法条文には
ありませんよね。
でも、多くの受験生は知っている。
そういうのと同じレベルとしてとらえればいいんですよね。

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【18−選択】の解答です。

( A ):再評価率
( B ):68
( C ):名目手取り賃金変動率
( D ):物価変動率
( E ):公的年金被保険者総数変動率

平成18年度試験・選択式・「健康保険法」

  • 2006.09.15 Friday
  • 06:19
まずは問題を見てください。

政府管掌健康保険の一般保険料率は現在1,000分の( A )で
あるが、厚生労働大臣は、社会保険庁長官の申出を受けた場合に
おいて、必要があると認めるときは、( B )の議を経て、1,000
分の66から1,000分の91までの範囲内において変更することが
できる。
組合管掌健康保険の一般保険料率は、1,000分の( C )から
1,000分の95の範囲内で決定するものとされ、各組合の料率は、
( D )の認可を受けて組合規約において具体的に決定される。
政府管掌健康保険の被保険者に係る介護保険料率は、( E )、
介護納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く)の額(国庫補助額
を控除した額)を、介護保険第2号被保険者である被保険者の標準
報酬月額の総額及び標準賞与額の総額の合算額の見込額で除して
得た率を基準として設定される。

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保険料率に関する問題です。
出題内容はともかく、数字を解答にする問題は、雇用保険も多いですが、
健康保険は、その上を行っています!
雇用保険では、ここ7年間で35分の15が数字がらみということを
言いましたが、健康保険は35分の22、6割以上です。
いかに数字を暗記しておかなければいけないかが明らかですね。

さて、まずAの空欄については、次の問題を見てください。

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【11−記述】
政府管掌健康保険の一般保険料率は、1000分の( A )であるが、
この一般保険料率は一定期間を通じて財政の均衡を保つことができる
ものであることが必要である。

【16−10−B】
政府管掌健康保険の一般保険料率は、現在1000分の85である。

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【11−記述】:82
【16−10−B】:誤り
【16−7−C】で
政府管掌健康保険の保険料率は、平成9年に1000分の82から1000分の
85に引き上げられたが、平成15年の総報酬制の導入に伴い、1000分の
82に引き下げられた。
という正しい出題がありました。
つまり、現在は1000分の82が正しいということになります。
で、この82だけを知っておけばよいというのではなく、
【16−7−C】にあるように、どのような変遷があったのかも知って
おくことが必要です。

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次にBの空欄です。一般保険料率の変更の手続ですが、
次の問題を見てください。

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【11−記述】
一般保険料率が、この基準に適合しないことが明らかとなったときは、
( A )は( B )に対し、一般保険料率の変更について申出を
行うことができる。
( B )は( A )の申出を受けた場合において、必要があると
認めるときは、社会保障審議会の議を経て1000分の( C )から
1000分の( D )の範囲内において一般保険料率を変更することが
できる。

【16−10−D】
厚生労働大臣は、社会保険庁長官の申出を受けた場合において、必要
があると認めるときは、社会保障審議会の議を経て1000分の66から
1000分の99までの範囲内において、一般保険料率を変更することが
できる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

まず、社会保険庁長官が厚生労働大臣に申し出る。
続いて、厚生労働大臣が社会保障審議会の議を経て、変更します。
変更できるのは、1000分の66から1000分の91までの範囲内と
なります。
ですので、「1000分の99まで」とある【16−10−D】は誤り。
【11−記述】の解答は
( A ):社会保険庁長官  ( B ):厚生労働大臣
( C ):66        ( D ):91
となります。
【18−選択】では、「社会保障審議会」だけが空欄ですが、【11−記述】で
出題された内容もしっかりと押さえておく必要がありますね。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

次は、CとDの空欄ですが、論点が少し違う内容で何度か出題されています。

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【7−8−D】
健康保険組合の管掌する健康保険の一般保険料率は、1,000分の30から
1,000分の95の範囲内において決定することとされているが、組合員たる
被保険者が負担すべき保険料の額の限度は、1月につき標準報酬月額の
1,000分の47.5とされている。

【6−5−A】
健康保険組合の一般保険料率の上限は1,000分の95であるが、組合員
である被保険者の負担する保険料の上限は、標準報酬月額の1,000分の
45である。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

出題当時は、標準賞与額がなかったので、その辺を無視して考えた場合
【6−5−A】は正しく、【7−8−D】は誤りになります。
負担の上限は、1,000分の45です。
これらの論点は、負担の上限ですが、【18−選択】は一般保険料率の
範囲と認可の主体を出題しています。
とはいえ、一般保険料率の範囲を知らなければ、これらの択一式の
問題も答えられないということになります。
さらに、政府管掌健康保険の一般保険料率の範囲と勘違いをしてしまうと
【11−記述】も解けないということになります。
ですので、政府管掌、組合管掌、それぞれの一般保険料率の幅はちゃんと
覚えて必要があります。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

では、最後はEの空欄です。
これは初登場です。介護保険ができて初めて設けられた規定ですが、
今までの出題はありませんでした。
介護保険の大きな改正があったから出題されたのでしょうかね。
今後、再び出題される可能性がありますので、空欄以外の用語も確認
しておきましょう。

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【18−選択】の解答です。

( A ):82(法160条1項)
( B ):社会保障審議会(法160条7項)
( C ):30(法160条9項)
( D ):厚生労働大臣(法160条10項)
( E ):毎年度(法160条11項)

平成18年度試験・選択式・「労働に関する一般常識」

  • 2006.09.10 Sunday
  • 14:59
まずは問題を見てください。

1 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の
 整備等に関する法律によれば、労働者派遣事業には、その事業の
 派遣労働者が常用労働者だけを対象として行う( A )派遣事業
 とそれ以外の( B )派遣事業があり、前者を行おうとする者は
 厚生労働大臣への届出が必要で、後者を行おうとする者は厚生労働
 大臣から許可を受けることが必要である。

2 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分を明らかにする
 ことを目的として、労働者派遣事業と請負により行われる事業との
 区分に関する基準が定められている。
 また、職業安定法第45条において( C )等が、厚生労働大臣
 の許可を受けた場合は、無料で労働者供給事業を行うことができる、
 とされている。

3 次の図は労働者派遣の概念を表わそうとしているものであるが、
  ( )の中を埋めて図を完成させなさい。

        ――――「派遣労働者」――――
       |                 |
     ( D )            指揮命令関係 
       |                 |
    派遣元事業主 ――( E )―― 派遣先事業主

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

労働者派遣事業と労働者供給事業に関する問題です。
最近の労務管理その他の労働に関する一般常識の選択式の問題としては
取り組みやすい問題といえます。

さて、まずAとBの空欄ですが、これらに関して直接的な出題という
のは、今までにありませんでしたが、問題文中に「許可」や「届出」を
必要とするという内容がある問題はたびたび出題されています。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【14−3−D】
規制緩和が図られた結果、派遣法においてもすべての業務について、
公共職業安定所への届出だけで足りるとされ、派遣労働が自由化された。

【16−2−D】
紹介予定派遣は、労働者派遣のうち、労働者派遣事業と職業紹介事業の
双方の許可を受け又は届出をした者が、派遣労働者と派遣先との間で、
雇用関係の成立のために職業紹介を行い、又は行うことを予定してする
ものである。この場合、同一の派遣労働者についての派遣受入期間は
3か月を超えてはならない、と派遣法で定められている。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

いずれも誤りの問題です。
【14−3−D】については、「派遣労働が自由化された」とありますが、
自由化されてはいません。
【16−2−D】については、「3か月」ではなく、「6か月」であること
から誤りです。
【18−選択】とは、論点は違いますが、問題文中に「許可」「届出」が
あります。
過去問を解く際は、当然、その論点を見つけ、その正誤を判断するという
のは当たり前ですが、それ以外にも論点になり得る箇所、そこをしっかり
確認しておくのも大切です。
同じ誤りを作るとは限りませんからね。

ということで、労働者派遣事業には2種類あり、届出により行うことが
できるのは「特定労働者派遣事業」、許可により行うことができるのは
一般労働者派遣事業」です。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

次は、Cの空欄ですが、やはり、この空欄と同じ論点の問題はありませんが、
関連する出題はあります。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【8−1−A】
厚生労働大臣の許可を受けずに労働者供給事業を行った者には罰則が科される
ことがあるが、無許可で労働者供給事業を行う者から供給された労働者を
自らの指揮命令の下に労働させた者については、罰則は設けられていない。

【16−1−C】
労働組合は、厚生労働大臣の許可を受ければ、無料の職業紹介事業を行う
ことができる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【8−1−A】は誤りです。無許可の労働者供給事業から労働者供給を
受ければ、罰則が科されます。
このような問題を解くとき、単に罰則ありなしだけを判断して終わって
しまうのが普通ですよね。
でも、労働者供給事業って、誰でもできるんだっけ?という疑問を持ち、
確認することができると、応用力が身に付きます。

【16−1−C】は正しいです。労働組合は許可を受けることで、無料の
職業紹介事業を行うもできます。労働者供給事業も行うことはできます。
つまり、前述と同様に、この問題も単に労働組合は無料の職業紹介事業が
できますで終わらせるのではなく、他に何かできるものがあったはずと
考えるのです。

このように考えていくと、1肢を解くのに時間はかかるかもしれませんが、
同時に多くのことを学べます。

こういう学習が本質的な横断学習と言えるのでしょうがね。
一般的な「横断学習」は「比較学習」であって、本来の「横断」というのは
こういうものです。
☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

では、最後はDとEの空欄です。
今までになかった出題形式ですね。図を完成させろなんて。
でも、こういう問題は、個人的には大賛成で、今後も出題すべきとは
思いますが。
それは置いときまして、この問題に関しては、次の問題を見てください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【15−労基−選択】
労働基準法及び労働安全衛生法(以下「労働基準法等」という。)は、
労働者と( A )関係にある事業に適用されるので、派遣労働者に
関しては、派遣労働者と( A )関係にある( B )が責任を負い、
これと ( A )関係にない( C )は責任を負わないことになる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

解答は
A:労働契約
B:派遣元事業主
C:派遣先事業主
です。この問題では、派遣労働者と派遣元事業主との間の関係を、
「労働契約関係」としています。【18−選択】では「雇用関係」と
しています。言葉が違いますよね。
もし、【15−労基−選択】のイメージを強く持っていると、「雇用関係」
とは違う言葉を空欄に入れてしまったのでは。選択肢にある「労働関係」
とか。
「労働関係」というのは、「雇用関係」と「指揮命令関係」を合わせた
ものですから、Dの空欄には入る余地はありません。
となると、「労働契約関係」と同じ意味合いの言葉を選択肢から探す
必要があるわけですが・・・
雇用関係」、これは同じ意味と考えて問題ありません。

法律の条文を抜粋した問題の場合には、言葉は特定されていまい、条文の
言葉以外では、「完全な文章」にはなりませんが、条文そのものでなければ
同義の言葉であれば、「完全な文章」となり得ますからね。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【18−選択】の解答です
A 12  特定労働者(労働者派遣法2条5号)
B 1   一般労働者(労働者派遣法2条4号)
C 18  労働組合(職業安定法45条)
D 6   雇用関係(労働者派遣法2条1号、昭61.4.17労告37号)
E 20  労働者派遣契約(労働者派遣法26条、昭61.4.17労告37号)

平成18年度試験・選択式・「雇用保険法」

  • 2006.09.08 Friday
  • 16:54
まずは問題を見てください。

基本手当の日額は、賃金日額に一定の率を乗じて計算され、受給資格に
係る離職の日において60歳以上65歳未満である受給資格者の場合、その
率は100分の80から100分の( A )までの範囲で定められている。
賃金日額は、原則として、( B )において( C )として計算された
最後の6か月間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金及び3か月を
超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の総額を180で除して得た額
あるが、賃金が労働した時間により算定されていた場合、上記の最後の
6か月間に支払われた賃金の総額を( D )で除して得た額の100分の
( E )に相当する額のほうが高ければ、後者の額が賃金日額となる
(受給資格に係る離職の日において短時間労働被保険者であった場合は
除く)。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

基本手当の日額と賃金日額に関する出題です。
過去に択一や記述で何度も出題されているので、比較的容易に空欄を
埋めることができたのではないでしょうか。

まず、Aの空欄について

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【14−4−A】

基本手当の日額は、原則として、その者について算定された賃金日額に、
100分の80から100分の50までの範囲で定められた率を乗じて得た
金額であるが、受給資格に係る離職の日に60歳以上65歳未満の者に
ついては、上記の範囲は100分の80から100分の45までに拡大される。

【16−3−D】

受給資格に係る離職日に60歳以上65歳未満である受給資格者の賃金
日額が、同年齢層について定められている賃金日額の上限額であった
場合、その者の基本手当の日額は、その賃金日額に100分の40を乗じて
得た金額となる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

基本手当日額の算定に際して賃金日額に乗じる率、これを論点とした
問題は、このように何度も出題されています。
原則は、100分の80から100分の50までの範囲で定められた率です。
これが60歳以上となると、その幅が広がります。
100分の80から100分の45までの範囲で定められた率となります。

ですので、答えは
【14−4−A】:正しい
【16−3−D】:誤り 「100分の40」ではなく、「100分の45」です。
【18−選択】のAは「45」です。

60歳以上になると、一般に賃金が低下する傾向があるので、60歳未満と
同じ水準にしてしまうと、基本手当の水準が高くなりすぎて、再就職を
阻害してしまうことになりかねないため、基本手当日額が高くなり過ぎ
ないよう、給付率の最低を45%まで広げているんですよね。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

次にBとCの空欄について

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【14−4−B】

賃金日額は、原則として、被保険者期間として計算された最後の3か月間
に支払われた賃金の総額(臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間
ごとに支払われる賃金は除く。)を、その期間の総日数で除して得た金額
である。

【11−記述】

受給資格者の賃金日額は、被保険者期間として計算された期間に支払われた
賃金(臨時に支払われる賃金及び( A )か月を超える期間ごとに支払
われる賃金は除く。)を、基に計算される。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【18−選択】Bの空欄の解答は「算定対象期間」ですので、
【14−4−B】、【11−記述】いずれにも、含まれていません。
とはいえ、受給資格を得るための要件というのは、基本中の基本ですから、
「算定対象期間」は簡単に選べるはずです。
選択肢に「算定基礎期間」なんてあったら、勘違いしてしまうなんて
こともあるかもしれませんが、ありませんでしたからね。

では、【18−選択】Cの空欄の解答はといえば、「被保険者期間」ですね。
こちらは、【14−4−B】、【11−記述】いずれにも、含まれています。
賃金日額は、受給資格を取得する要件としての被保険者期間の賃金を
基礎に算定します。ですので、その期間は6か月です。
で、賃金であっても、通常の賃金でないものは含めないことにしているので、
臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は
除きます。

【14−4−B】:誤り
【11−記述式】:3

たとえば、これらの賃金を含めて算定することになると、離職時期によって
賃金日額が大幅に違ってしまうなんてことも起き得てしまうので、含めない
ってところがあります。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

最後はDとEについて

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【9−記述】

賃金が、出来高払制その他の請負制によって定められている場合、雇用
保険の賃金日額は、原則として、被保険者期間として計算された最後の
( A )箇月間に支払われた算定の基礎となる賃金の総額を、当該
最後の( A )箇月間に労働した日数で除して得た額の100分の
( B )に相当する額以上となる。
ただし、受給資格に係る離職の日において( C )であった受給資格者
については、この取扱いを行わない。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

まず、【9−記述】の解答は
( A ):6
( B ):70
( C ):短時間労働被保険者
となります。これに対して、【18−選択】の解答は
( D ):当該最後の6か月間に労働した日数
( E ):70
です。ほとんど同じ論点と言ってよいでしょう。

賃金が請負制などにより定められている場合の最低保障に関する記載です。
6か月間の賃金の総額を、その6か月間の「労働した日数」で割った額の
70%相当を最低保障にしましょうというものです。
一般的な表現にすれば、半年間に働いた日の平均的な稼ぎ、この70%が
最低保障ですよってことです。 

このように
雇用保険については、解答が数字や数字関連の言葉となることが多いです。
今後もこのような出題が続く可能性は高いでしょうね。

ちなみに、今年は選択式になって7年目なので、これまでの問題の空欄は
合計35個になりますが、毎年、少なくとも1つは数字や数字を含んだ
言葉が解答になっており、合計で15の空欄が数字や数字を含んだ言葉
でした。確率論で言えば、40%以上となります。

平成18年度試験・選択式・「労災保険法」

  • 2006.09.03 Sunday
  • 16:33
まずは平成18年度試験・選択式・「労災保険法」の問題を見てください。

労働者災害補償保険法による保険給付の事由となる業務災害及び
通勤災害のうち業務上の疾病の範囲は、( A )で、通勤災害の
うち通勤による疾病の範囲は、( B )で定められている。
 業務上の疾病として( A )の別表第1の2に掲げられている
疾病のうち同表第9号に掲げられている疾病は、その他( C )
である。
 通勤による疾病として( B )に定められている疾病は、( D )
に起因する疾病その他( E )である。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆ 

話は、しばらく前の試験になりますが
平成13年に択一式で「故意の解釈」に関する通達を根拠とした問題が
出題されています。過去問を解かれている方であれば、ご存知の方も
いるでしょう。
で、その2年後には、その通達に関連する内容が選択式で出題されました。

若干、細かめな内容であっても、過去に択一とかで出題されたことがあるものって、
選択で出題されるって、いくらでも考えられます。

さて、今年の選択式、これも、今までに何度も出題されてきた内容です。
ですので、レベル的にはごく普通の問題です。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【13−1−C】 

通勤による疾病は、厚生労働省令で定めるものに限られる。

【13−1−D】 

通勤による疾病は、通勤による負傷に起因することの明らかな疾病に
限られる。

【14−2−D】 

通勤による疾病の範囲は、通勤による負傷に起因する疾病のほか、業務上
の疾病の範囲に準じて厚生労働大臣告示において具体的に疾病の種類が
列挙されている。

【14−1−D】 

業務に起因することが明らかな疾病であっても、労働基準法施行規則別表
第1の2において具体的に疾病の原因及び種類が列挙されている疾病の
いずれかに該当しないものは、保険給付の対象とはならない。

【17−2−D】 

厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)では、業務上の疾病を
例示しており、例示された最後の疾病は「その他業務に起因することの
明らかな疾病」であるが、その具体的な疾病名は、厚生労働大臣が告示
している。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

と、これだけ過去に出題されていた論点からの出題です。
出題内容は、かなり厳しい内容といえますが、過去問をきちっとやっていれば、
空欄すべてとはいいませんが、ある程度は、埋められたはずです。

業務上の疾病といえば、そもそもが労働基準法の災害補償です。
通勤は、労働基準法とは直接関係ないので、労災保険で規定しています。
この考え方は基本ですよね。

とはいえ、どうも埋められなかった受験生が相当いるようで。
状況によっては基準点が2点に下がる可能性はあるでしょう。

しかし、
結局、過去問、やっぱ、過去問というのを証明した問題です。

過去問をやっていれば、取れるんだっていう問題です。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆ 

【13−1−C】 正しい

【13−1−D】 誤り
⇒通勤による疾病は、通勤による負傷に起因する疾病に限られず、その他
通勤に起因することが明らかな疾病も含まれるからです。

【14−2−D】 誤り
⇒通勤による疾病の範囲は、厚生労働省令により通勤による負傷に起因する
疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病と定められており、具体的な
疾病の種類は列挙されていません。

【14−1−D】 誤り
⇒労働基準法施行規則別表第1の2において具体的に列挙されている疾病
以外のものでも、業務に起因することが明らかな疾病は、保険給付の対象
とされます。

【17−2−D】 誤り
⇒告示されていません。

平成18年度試験の問題の解答は
A 17  労働基準法施行規則(労働基準法施行規則35条)
B 19  労働者災害補償保険法施行規則(労災保険法施行規則18条の4)
C 4   業務に起因することの明らかな疾病(労働基準法施行規則別表第1の2)
D 14  通勤による負傷(労災保険法施行規則18条の4)
E 12  通勤に起因することの明らかな疾病(労災保険法施行規則18条の4)

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