療養の給付を行う指定病院等

  • 2006.03.31 Friday
  • 06:29
今回は、平成17年労災保険法問7―Eです。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

療養の給付は、労働福祉事業として設置された病院若しくは診療所又は厚生
労働大臣の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者に
おいて行われる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

療養の給付に関する問題です。
どこで行われるかというのが論点ですが、単に「指定病院等」なんて覚えていると
出題者の思う壺ですね。
指定病院等というのは、労災病院等と指定医療機関であり、これらって、具体的に
何かといえば
労災病院等は労働福祉事業として設置された病院若しくは診療所です。
では、指定医療機関というのは、指定された医療機関ですが、誰が指定するの
でしょうか。厚生労働大臣ではありませんね。
都道府県労働局長が指定します。ということで、設問の肢は誤りです。

正しい肢として出題されたこともあります。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【5−3−B】
療養の給付は、労働福祉事業として設置された病院若しくは診療所又は
都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護
事業者において行う。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

続いて、次の問題をみてください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【14−2−B】
療養補償給付は、療養の給付を原則としており、この療養の給付は、労働
福祉事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定
する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者において行うほか、
都道府県労働局長の指定がなくても、厚生労働大臣が健康保険法に基づき
指定する病院若しくは診療所又は薬局若しくは訪問看護事業者であれば
行うことができる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

文章の前半は特に問題はないですね。
後半部分ですが、「健康保険法の規定に基づき指定する病院・・・・」
つまり、保険医療機関等で療養の給付が行われるといっています。
健康保険の指定と労災保険の指定は別物です。制度が違うのですから。
健康保険の保険医療機関等であっても、労災保険の指定を受けていないので
あれば、労災保険の保険給付を行うことはできません。

別物という点で、次の問題をみてください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【15−3−E】
二次健康診断等給付は、労災保険法第29条第1項の労働福祉事業として設置
された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長が療養の給付を行う病院
若しくは診療所として指定した病院若しくは診療所において行う。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

療養の給付に係る指定と二次健康診断等給付に係る指定、これも別物です。
ですので、療養の給付に係る指定を受けていたとしても、二次健康診断等給付
に係る指定がなければ、二次健康診断等給付は行えません。
誤りの肢です。

重婚的内縁関係

  • 2006.03.26 Sunday
  • 07:34
 今回は、平成17年労災保険法問6―Eです。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

遺族補償給付又は遺族給付を受けることができる配偶者には「婚姻の届出
をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」も含まれるが、
婚姻の届出をしている配偶者が存在する場合には、届出による婚姻関係が
その実体を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消
される見込みがなかった場合に限り、重婚的内縁関係にあった者が配偶者
として遺族補償給付又は遺族給付を受けることができる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

遺族補償給付の遺族の問題です。
重婚的内縁関係にある場合の取扱いです。

一般的に、婚姻の届出をしていない場合、配偶者としての地位は認められない
のですが、社会保険関係(労災、雇保、健保、年金など)では、特例的に内縁
関係の配偶者も届出をしている配偶者と同様に保護することにしています。
実態を重視しようってことですね。

そこで、問題になるのが、戸籍上の配偶者がありつつ、内縁関係の配偶者も
あるという、重婚的関係の場合で。

基本的には戸籍上の配偶者が優先されるのは当たり前です。
ただ、実態を考えた場合、戸籍上の配偶者に対して所得補償を行う必要がなく、
内縁関係の配偶者に所得補償を行うべき状態というのも考えられます。

そこで、設問のような取扱いをするようにしているのです。
つまり、設問は正しい肢です。

この論点は、繰り返し出題されています。
ですので、次の問題も見ておいてください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
 
【15−7−B】
婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者は、婚姻の
届出をした配偶者がいない場合に限り、配偶者として遺族補償給付又は遺族
給付を受けることができる。

【13−4−E】
遺族補償給付を受けることができる配偶者には「婚姻の届出をしていないが、
事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」も含まれるが、これは、あくまで
婚姻の届出が法律上可能な状態にあった者に限られるのであって、いわゆる
重婚的内縁関係にあった者は含まれない。

【5−5−D】
法律上の婚姻関係にある労働者が、妻以外の他の者と重ねて内縁関係とみられる
ような関係に入った後に死亡した場合には、法律上の婚姻関係が実態を失った
ものになっていない限り、その内縁関係とみられるような関係にあった者が遺族
補償給付の受給権者となることはない。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【15−7−B】 誤り。
【13−4−E】 誤り。
【5−5−D】 正しい。

遺族(補償)年金の遺族の範囲

  • 2006.03.19 Sunday
  • 07:22
今回は、平成17年労災保険法問6―Aです。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者
(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様な事情にあった者を
含む。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹(妻以外の者にあっては、一定
の年齢要件又は障害要件に該当する者に限る。)であって、労働者の死亡の
当時その収入によって生計を維持していたものに限られる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

遺族(補償)年金の遺族の範囲に関する問題です。
「限られる」と限定した表現ですが、その通りです。
死亡した労働者に生計維持されていたことが要件です。

では、次の問題を見てください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【13−4−A】
遺族補償給付を受けることができる遺族は、労働者の配偶者(婚姻の届出を
していないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下この問に
おいて同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹(妻以外の者にあっては、
一定の要件に該当する者に限る。)であって、労働者の死亡の当時その収入に
よって生計を維持していたものに限られる。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
 
平成17年の問題に似てますね。
でも、ちょっと違います。「遺族補償給付」とあります。
「遺族補償給付」は、「年金」と「一時金」です。
遺族補償一時金の遺族は、生計維持要件が必ずしも必要でありません。
ですので、誤りです。
極端な言い方ですが、たった2文字、「年金」と「給付」の違いで、正誤がひっくり
返ってしまいます。
このような箇所は、慌てて読んだりする、簡単に騙されてしまうので、
注意しておかないといけませんね。

では、続いて次の問題をみてください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【12−4−C】
遺族補償給付を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、
孫、祖父母及び兄弟姉妹であるが、そのうち遺族補償年金を受けることが
できるのは、配偶者、子、父母、孫及び祖父母であって労働者の死亡の
当時その収入によって生計を維持していたものであり、それ以外の遺族が
受けることができるのは、遺族補償一時金である。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

こちらは、「年金」と「一時金」で遺族の範囲が異なると出題しているもので、
兄弟姉妹は年金の受給権者にはならないといっています。
それは、間違えですよね。兄弟姉妹も年金の受給権者になります。
これは、そんな難しくはないので、間違えないで欲しいところです。

「配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹」この並びは、厚生年金保険の
遺族厚生年金の遺族と違っていますので、そこは注意しておきましょう。

休業(補償)給付の待期

  • 2006.03.14 Tuesday
  • 06:20
今回は、平成17年労災保険法問4―Cです。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

休業補償給付又は休業給付は、業務上の事由又は通勤による傷病の療養の
ため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給
される。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

休業(補償)給付の待期に関する問題です。
休業補償給付、休業給付いずれについても支給開始は4日目からです。
基本中の基本です。
絶対に間違えてはいけない問題です。
平成12年には、次のような問題が出題されています。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【12−3−B】
休業補償給付は、労働者が業務上の傷病による療養のため労働することが
できないために賃金を受けない日の属する週の翌週から支給される。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

明らかな誤りですよね。
翌週ではありません。

では、次の2つの問題を見てください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
 
【15−4−A】
労働者が業務上の傷病による療養のため労働することができないために
賃金を受けない場合には、その第1日目から第3日目までは使用者が労働
基準法第76条の規定に基づく休業補償を行い、第4日目からは休業補償給付
が支給される。

【15−4−B】
労働者が通勤による傷病に係る療養のため労働することができないために
賃金を受けない場合には、使用者による休業補償はないが、給付費用の
一部負担金に相当する額を減額した休業給付が第1日目から支給される。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【15−4−A】は、待期期間中は労働基準法の規定に基づき休業補償が
行われることを出題したものです。その通りですね。
では、【15−4−B】ですが、通勤災害の場合、使用者の責任はないので、
休業補償はありません。
では、そのため、休業初日から支給されるのかといえば、それはありません
よね。
休業補償は、労働基準法の問題であって、労災保険とは関係ありません。
ですので、休業補償給付と休業給付とで支給開始時期に差をつけるなんてことは
ありません。いずれも4日目から支給です。

基本的な内容でも、問題文の中に言い訳じみたことが書かれていたりすると、
ひっかかってしまうなんてこともあるので、そのような言葉に騙されないように
しましょう。

一部負担金

  • 2006.03.10 Friday
  • 05:56
今回は、平成17年労災保険法問4―Aです。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

療養給付を受ける労働者(厚生労働省令で定める者を除く)は、その費用の
一部として200円(健康保険の日雇特例被保険者にあっては100円)を負担
する。ただし、療養給付を受ける労働者に支給する休業給付であって最初に
支給すべき事由の生じた日に係るものについて厚生労働省令で定める額を
減額した休業給付の支給を受けた労働者については、この限りでない。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

一部負担金の問題です。
頻繁に出題されます。択一だけでなく、記述式でも出題されたことがあります。

論点は、だいたい次の3つです。
いくらなのか
どのように徴収するのか
徴収されない場合
平成17年の問題は、どのように徴収しているのかを一番の論点にしています。
一般に休業給付から控除する方法で徴収するので、休業給付が減額されたので
あれば、別途徴収することはありません。
ですので、17年の問題は正しいとなります

では、次の問題を見てください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
 
【14−7−A】
通勤災害により療養給付を受ける労働者は、500円を超えない範囲内で厚生
労働省令で定める額の一部負担金を徴収される。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

これはいくらかというのを論点にした問題ですが、誤りですね。
法条文では「200円を超えない範囲内で厚生労働省令で定める額」と規定
しています。で、具体的には、200円、健康保険の日雇特例被保険者は100円
とされています。

続いて、問題をみてください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【11−6−A】
通勤災害により療養給付を受ける労働者は、200円を超えない範囲内で定める
額を一部負担金として政府に徴収されるが、第三者の行為によって生じた事故
により療養給付を受ける者や療養の開始後3日以内に死亡した者は、徴収され
ない。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

これは、徴収されない場合を論点にしていますが、問題文にある2つの場合には
徴収されないので、正しくなります。
では、まとめとして、記述式の問題を。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

【9−記述】
政府は、通勤災害によって療養給付を受ける労働者から、一部負担金として
( A )円を超えない額を徴収するが、次に掲げる者からは徴収しないこと
としている。
1 第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者
2 療養の開始後3日以内に死亡した者その他( B )を受けない者
3 同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した者

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

答えは、書くほどではありませんが、念のため
A:200
B:休業給付
です。

特別支給金

  • 2006.03.05 Sunday
  • 07:20
今回は、平成17年労災保険法問3―Aです。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

特別支給金は、業務上の事由又は通勤による負傷、疾病、障害又は死亡に
関する各保険給付(療養補償給付及び療養給付を除く)のすべてに付帯する
ものとして、当該各保険給付の請求とともに行う申請に基づいて支給される。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

特別支給金に関する問題です。
この論点は2年連続の出題でした。
ですので、まずは、次の問題を見てください。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆
 
【16−2−B】
特別支給金は、業務災害及び通勤災害に関するすべての保険給付と関連して
支給される。

☆―――――――――――――――――――――――――――――――☆

いずれも誤りですね。
特別支給金は、保険給付に付帯して支給されるものですが、すべての保険給付に
付帯するものではありません。
そもそも、特別支給金って所得効果を持つものなので、当然、付帯するのは
所得補償としての保険給付に限定されます。
それに、葬祭料はお葬式代ですし、療養(補償)給付、介護(補償)給付、
それに二次健康診断等給付は実費支給という考え方で支給が行われているので、
上乗せの必要はありませんよね。
そこで、
再び出題されたとしたら、平成16年の問題は、さほど怖くはないのですが、
17年の問題は気を付けましょう。
「すべて」という言葉がなく、さらに、カッコでいくつかの給付を除くという
形式で出題された場合です。
特別支給金と関連しないものが全部除かれていれば、正しくなるのですが、
たとえば、「葬祭料」だけ除いていなかったりすると、意外と気が付かなかったりしょんぼり
なんてこともありますので。

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