令和5年−健保法・問7−A「海外療養費」

  • 2024.03.15 Friday
  • 03:00

 

今回は、令和5年−健保法・問7−A「海外療養費」です。

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現に海外にいる被保険者からの療養費の支給申請は、原則として、事業主等
を経由して行わせ、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への
送金は行わない。

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「海外療養費」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H18−3−C 】
被保険者又は被扶養者が海外の病院等において療養等を受けた場合に支給
される海外療養費は、療養を受けた日の外国為替換算率を用いて算定する。

【 H11−9−A 】
海外における療養費支給の算定となる邦貨換算率は、その療養を受けた日の
外国為替換算率を用いる。

【 H14−3−C 】
海外出張中の被保険者が海外の病院で療養を受けた場合、その療養費の支給
申請は事業主を経由して行い、事業主が代理受領することになっており、また、
支給額の算定に用いる邦貨換算率は、支給申請日における外国為替換算率を
用いる。

【 H21−6−C 】
現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主
等を経由して行わせるものとし、その支給決定日の外国為替換算率(売レート)
を用いて算定した療養費等を保険者が直接当該被保険者に送金することになっ
ている。

【 H27−2−C 】
現に海外に居住する被保険者からの療養費の支給申請は、原則として事業主
を経由して行うこととされている。また、その支給は、支給決定日の外国為替
換算率(買レート)を用いて海外の現地通貨に換算され、当該被保険者の海外
銀行口座に送金される。

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海外の病院等で療養を受けた場合、そこは保険医療機関等ではないので、現物
給付が行われることはありません。

そのため、被保険者は、とりあえず費用の支払をしておき、後日申請をして、
療養費の支給を受けることになるのですが、海外ですから、通常、日本円で費用
を支払うわけではありません。
とはいえ、保険者が被保険者へ現金給付するのは、もちろん日本円です。
そのため、海外で支払った額を日本円に換算しなければならず・・・
その換算には、いつの外国為替換算率を用いるのかというのが、これらの問
の論点の1つです。

外国為替換算率について、
【 H18−3−C 】と【 H11−9−A 】では、「療養を受けた日」
【 H14−3−C 】では「支給申請日」
のものを用いるとしています。

これらは、いずれも誤りです。
「支給決定日」の外国為替換算率を用います(【 H21−6−C 】は、この点
は正しいです)。
保険者サイドとしては、保険給付をする時点、つまり、「支給決定日」ベース
で療養費の額を算定しますってことです。療養を受けた時点や申請をした時点
では、まだ保険給付が行われるって決まったのではないですから。

また、海外療養費の支給について、【 H14−3−C 】で「支給申請は事業主
を経由して行い、事業主が代理受領することになっており」とありますが、その
とおりです。保険者が、海外にいる被保険者に送金したりするってことはあり
ません(送金ができないってこともあるので)。
なので、「保険者が直接当該被保険者に送金する」とある【 H21−6−C 】は、
誤りです。
【 H27−2−C 】も、「海外銀行口座に送金」とあるので、やはり誤りで、
【 R5−7−A 】は正しいです。

それと、【 H27−2−C 】は、申請に関しては、そのとおりですが、「外国為替
換算率(買レート)を用いて海外の現地通貨に換算」とあります。
前述したように、日本円に換算するのですから、この点でも誤りです。
ちなみに、外国為替換算率は、「買レート」ではなく、「売レート」を用います。


海外療養費については、これらの問題で論点とされている
「支給申請と支給」「支給額の算定」
まずは、この点をしっかりと押さえておきましょう。

 

 

令和5年−健保法・問6−D「少年院等にある場合の給付制限」

  • 2024.03.08 Friday
  • 03:00

 

今回は、令和5年−健保法・問6−D「少年院等にある場合の給付制限」です。

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被保険者又は被保険者であった者が、少年院その他これに準ずる施設に収容
されたとき又は刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき
のいずれかに該当する場合には、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る
保険給付(傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、厚生労働省令で定め
る場合に限る。)は行わないが、その被扶養者に係る保険給付も同様に行わない。

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「少年院等にある場合の給付制限」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H22−4−E 】
被扶養者が少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき、疾病、負傷
または出産につき、その期間に係る保険給付はすべて行わない。

【 H29−7−D 】
保険者は、被保険者又は被保険者であった者が、刑事施設、労役場その他
これらに準ずる施設に拘禁された場合には、被扶養者に対する保険給付を
行うことができない。

【 H13−4−B[改題]】
被保険者が刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている
とき、埋葬料(費用の支給を含む。)を除き、被保険者及び被扶養者に対して
その期間に係る給付は行われない。

【 H26−8−C 】
保険者は、被保険者が少年院その他これに準ずる施設に収容されたときには、
疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付(傷病手当金及び出産
手当金の支給にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る。)を行わないが、
被扶養者に係る保険給付を行うことは妨げられない。

【 H10−7−C[改題]】
被保険者が刑事施設等にいるときは、公費負担があることからすべての保険
給付が制限されるが、その場合においても、被扶養者に係る保険給付が制限
されることはない。

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「少年院等に収容されている場合の保険給付の制限」に関する問題です。
被保険者や被扶養者が少年院等の施設に収容されたときは、保険給付が制限
されます。
そして、制限されるのは、収容されている者に限られます。
収容されていない者について制限する必要はありませんから。

【 H22−4−E 】では、「保険給付はすべて行わない」としています。
被扶養者が少年院等の施設に収容されたときは、その収容された被扶養者に
関する保険給付(疾病、負傷又は出産に関するもの)は、行われませんが、
「被保険者」や「他に被扶養者がある場合における、その被扶養者」に関する
保険給付は制限されません。したがって、誤りです。

【 R5−6−D 】、【 H29−7−D 】、【 H13−4−B[改題]】の3問
では、「被保険者(又は被保険者であった者)が刑事施設、労役場その他これ
らに準ずる施設に拘禁されている」という状況で、被扶養者に関する保険給付
も行わないとしています。
いずれも誤りです。
被保険者が刑事施設等に拘禁されていても、被扶養者に関する保険給付は制限
されません。
なので、「被扶養者に係る保険給付を行うことは妨げられない」とある
【 H26−8−C 】は、正しいです。

それでは、【 H10−7−C[改題]】ですが、こちらは、
「被扶養者に係る保険給付が制限されることはない」
としています。この点は正しいです。
ただ、被保険者に関して「すべての保険給付が制限される」としています。
制限されるのは、「疾病、負傷又は出産」に関する保険給付です。
これらについては、公費により面倒をみてもらうことができるからです。
一方、死亡については、そうではないので、健康保険から保険給付は行われます。
ということで、【 H10−7−C[改題]】は誤りです。

それと、【 H26−8−C 】に「傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、
厚生労働省令で定める場合に限る」とあります。
これは、未決拘留中の期間は支給を制限せず、刑が確定した後について、支給を
制限するということを意味していて、そのとおりです。


この規定については、これらの問題にあるように、誰が制限の対象となるのか、
どの保険給付が制限の対象となるのか、どちらも論点にされるので、出題された
ときは、どちらについても、問題文をしっかり確認しましょう。

 

令和5年−健保法・問6−C「保険給付の調整」

  • 2024.03.01 Friday
  • 03:00

 

今回は、令和5年−健保法・問6−C「保険給付の調整」です。

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被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外
併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護
療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令
の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたとき
は、その限度において、行わない。

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「保険給付の調整」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H25−5−A 】
災害救助法が発動され、負傷した70歳未満の被保険者に対して都道府県から
応急的な医療が行われた場合には、その費用の70%を健康保険が、25%を
都道府県が負担することとされており、5%が被保険者の負担となる。

【 H20−7−B 】
結核患者である健康保険の被保険者が公費負担による通院医療を受ける場合、
原則として、その費用の70%を健康保険が、30%を都道府県が負担することと
されており、当該被保険者の負担はない。

【 H12−7−D 】
災害救助法の指定地区で健康保険の被保険者が被災し医療を必要とするとき
は、健康保険の療養の給付が優先し、災害救助法による救助は健康保険の給付
の及ばないものに限られる。

【 H17−5−E 】
災害救助法の規定により被災者の医療について公費負担が行われた時は、
その限度において健康保険の保険給付は行われない。

【 H30−3−A 】
被保険者に係る所定の保険給付は、同一の傷病について、災害救助法の規定
により、都道府県の負担で応急的な医療を受けたときは、その限度において
行われない。

【 H12−8−D 】
保険優先の公費負担医療と健康保険が併用された場合、健康保険の一部負担
金に相当する金額の範囲内で公費負担医療から支給される。

【 H16−8−B 】
生活保護法による医療扶助と健康保険による保険給付が併用される場合は、
健康保険による保険給付が優先され、費用のうち健康保険による保険給付が
及ばない部分について、医療扶助の対象となる。

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「保険給付の調整」に関する問題です。

公費負担による医療や他制度に基づく医療が行われる場合、健康保険との
間で調整が行われます。
その根拠となる規定を条文どおり出題したのが【 R5−6−C 】で、その
とおり正しいです。
この規定では、単に「その限度において、行わない」としていますが、この
調整は、実際には一律に行われるのではなく、対象となる制度によって異なり
ます。
それらについて、具体的な出題がいろいろと行われていますが、
健康保険の保険給付が優先するのはどのような場合なのか、
健康保険の保険給付より優先して行われるのはどのようなものなのか、
これを論点とすることがよくあります。

例えば、災害救助法による医療は健康保険の保険給付より優先しますが、生活
保護や結核患者に対する公費負担は健康保険の保険給付が優先します。

【 H25−5−A 】では、
「70%を健康保険が、25%を都道府県が負担することとされており、5%が
被保険者の負担」という割合を挙げています。
前述したように、災害救助法の規定により医療が行われる場合、健康保険より
優先します。そして、被保険者に費用負担は生じません。
ですので、誤りです。
この負担割合は、【 H20−7−B 】にある結核患者に係る公費負担医療の
取扱いとの混同を狙ったものです。

ただ、【 H20−7−B 】も誤りです。
一般に結核患者に対しては、都道府県が費用の100分の95を負担します。
ただし、この場合、保険優先の扱いとなるので、まず健康保険が100分の70
の負担をします。
そして、保険が適用されないとした場合の公費負担の100分の95と健康保険
適用分の100分の70との差(100分の25)が、実際の公費負担となります。
被保険者は、いずれからも負担がない部分である「費用の100分の5」を負担
することになります。

【 H12−7−D 】と【 H17−5−E 】、【 H30−3−A 】も災害救助法
に関しての問題で、【 H12−7−D 】は災害救助法より健康保険のほうが優先
する内容なので誤りで、【 H17−5−E 】と【 H30−3−A 】は正しいです。

【 H12−8−D 】と【 H16−8−B 】は、いずれも健康保険が優先される
場合の取扱いで、正しいです。

ということで、どちらが優先なのか、整理をしておきましょう。

 

令和5年−健保法・問5−D「被保険者資格の喪失」

  • 2024.02.23 Friday
  • 03:00

 

今回は、令和5年−健保法・問5−D「被保険者資格の喪失」です。

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任意継続被保険者が任意の資格喪失の申出をしたが、申出のあった日が
保険料納付期日の10日より前であり、当該月の保険料をまだ納付していな
かった場合、健康保険法第38条第3号の規定に基づき、当該月の保険料の
納付期日の翌日から資格を喪失する。

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「被保険者資格の喪失」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H7−10−B 】
任意継続被保険者が保険料の納付期日までに納付しなかった場合、保険料
の納付の遅延について、保険者において正当な事由があると認めるときを
除き、保険料の納付期日の翌日にその資格を喪失する。

【 H9−3−B[改題]】
任意継続被保険者が納付期日までに保険料を納付できなかった場合において、
遅延につき保険者が正当な理由があると認めた場合は、被保険者の資格は
喪失しない。

【 H12−1−B 】
任意継続被保険者は、正当な理由なく納付期限までに保険料を納めなかった
場合、被保険者資格を喪失する。

【 H29−2−E 】
任意継続被保険者に関する保険料の納付期日は、初めて納付すべき保険料を
除いてはその月の10日とされている。任意継続被保険者が初めて納付すべき
保険料を除き、保険料を納付期日までに納めなかった場合は、納付の遅延に
ついて正当な理由があると保険者が認めたときを除き、その翌日に任意継続
被保険者の資格を喪失する。

【 H27−5−E 】
任意継続被保険者が、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日
までに納付しなかったときは、納付の遅延について正当な理由があると保険
者が認めた場合を除き、督促状により指定する期限の翌日にその資格を喪失
する。

【 H10−3−B 】
特例退職被保険者は、保険料を納付期日までに納付しない場合、その資格を
喪失する。

【 H14−1−B 】
特例退職被保険者が保険料を納付期日までに納付しなかった場合は、被保険者
資格を喪失する。

【 H21−9−B 】
特例退職被保険者が保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を、正当な
理由がなく、納付期日までに納付しなかったときは、被保険者資格を喪失
する。

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【 H7−10−B 】から【 H29−2−E 】までの4問は、保険料の滞納により、
任意継続被保険者の資格を喪失するか否かを問う問題です。

任意継続被保険者の保険料の納付期日は、一般の被保険者と異なり、その月
の10日(初めて納付すべき保険料については保険者の指定する日)とされて
います。
そして、その納付期日までに保険料(初めて納付すべき保険料を除きます)
を納付しないときは、督促されることなく、原則としてその翌日に任意継続
被保険者の資格を喪失します。

ただし、正当な理由があるのであれば、資格は喪失しません。
したがって、この4問いずれも正しいです。

この資格喪失について、その次の【 H27−5−E 】では、「督促状により
指定する期限の翌日にその資格を喪失する」とありますが、任意継続被保険者
が、保険料(初めて納付すべき保険料を除きます)を納付期日までに納付しな
かった場合、前述のとおり、保険料の納付について督促されることはありません。
つまり、直ちに資格を喪失するので、誤りです。

ちなみに、保険料を滞納した場合、任意的に加入している被保険者はその資格
を喪失するのが一般的です。厚生年金保険、国民年金などでも個人で任意的
に加入する者の場合、そのような取扱いをします。ただ、督促がされるか否か
という点は違っているので、この違いは注意しておきましょう。

それと、【 R5−5−D 】では、「任意の資格喪失の申出をした」とあります
が、任意の資格喪失の申出による資格喪失の時期より先に他の資格喪失事由
(保険料の滞納等)が生じたのであれば、その時点で資格を喪失することに
なります。【 R5−5−D 】は正しいです。

ところで、特例退職被保険者、この資格も任意的なものですが、その資格の
ベースは国民健康保険の退職被保険者です。国民健康保険では、保険料の
滞納による資格の喪失という規定はありません。
そのため、この考え方に合わせ、もともと、特例退職被保険者が保険料を滞納
しても資格を喪失しませんでした。
ところが、平成18年改正により、任意継続被保険者と同様に扱うことになり
ました。
つまり、保険料を滞納すると資格を喪失することになったのです。
そのため、【 H10−3−B 】、【 H14−1−B 】は、出題当時、誤りでした
が、現在は正しい内容となっています。

【 H21−9−B 】も、正しいです。
この問題では「初めて納付すべき保険料を除く」としていますが、この場合、
被保険者とならなかったとみなされます。この点、任意継続被保険者について
も同様なのですが・・・・
他の問題では記述がないものがありますよね!
ですので、厳密にいえば、そのような問題は、正しいと判断するのは、微妙な
ところで・・・・・
直接の論点ではないときは、とりあえず、記述がなくても正しいと判断し、他の
肢との比較で、最終的に正誤を判断したほうがよいでしょう。

 

令和5年−健保法・問4−E「出産育児一時金等の額」

  • 2024.02.16 Friday
  • 03:00

 

今回は、令和5年−健保法・問4−E「出産育児一時金等の額」です。

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令和5年4月1日以降、被保険者の被扶養者が産科医療補償制度に加入
する医療機関等で医学的管理の下、妊娠週数22週以降に双子を出産した
場合、家族出産育児一時金として、被保険者に対し100万円が支給される。

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「出産育児一時金等の額」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H27−6−A[改題]】
出産育児一時金の額は、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科
医療補償制度に加入する医療機関等の医学的管理下における在胎週数22週に
達した日以後の出産(死産を含む。)であると保険者が認めたときには50万円、
それ以外のときには48万8千円である。

【 H21−3−E[改題]】
令和5年8月に出産し所定の要件に該当した場合については、48万8千円に
3万円を超えない範囲内で保険者が定める額を加算した額が支給される。

【 H24−9−D[改題]】
出産育児一時金の金額は48万8千円であるが、公益財団法人日本医療機能
評価機構が運営する産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した
ことが認められた場合の出産育児一時金は、在胎週数第22週以降の出産の
場合、1万2千円が加算され50万円である。

【 H19−5−C[改題]】
多胎妊娠による出産の場合、出産育児一時金又は家族出産育児一時金は第一子
に48万8千円(所定の要件に該当する病院等による医学的管理の下における
出産であると保険者が認めるときは、48万8千円に3万円を超えない範囲内
で保険者が定める額を加算した額)、第二子以降は一人につき第一子の80%に
相当する額が支給される。

【 H21−3−D[改題]】
出産育児一時金又は家族出産育児一時金は、双子等の出産の場合には、胎盤数
にかかわらず、一産児排出を一出産と認め、胎児数に応じて支給される。

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出産育児一時金・家族出産育児一時金の額については、過去に何度も出題
されています。

では、論点はといえば、「その額」の場合が多々あります。
出産育児一時金の額は、原則として「48万8,000円」とされていますが、
所定の要件に該当するものによる医学的管理の下における出産であると
保険者が認めるとき(加算対象出産の場合)は、48万4,000円に、3万円
を超えない範囲内で保険者が定める額を加算した額となります。

ですので、【 H21−3−E[改題]】は正しいです。
では、この加算額、これは、産科医療補償制度の掛金相当額を保険給付
として支給しようというものです。
掛金の額が変わることがあるので、「3万円を超えない範囲内で保険者が
定める額」と規定していて、現在は1万2,000円とされています。

ということで、加算対象出産である場合は
「48万8,000円+1万2,000円=50万円」が支給額となります。
【 H27−6−A[改題]】と【 H24−9−D[改題]】は、正しいです。

【 H19−5−C[改題]】については、ちょっと論点が違っています。
支給額についてですが、第一子と第二子以降では額が異なる内容になってい
ます。第二子以降についても同額ですから誤りです。
出産育児一時金の額は、出産に要する費用を考慮して定められているので、
第何子かによって異なることはありません。

それと、家族出産育児一時金についても、その額は同じです。
被保険者が出産した場合であっても、被扶養者が出産した場合であっても、
出産に要する費用は変わりませんから。

【 H21−3−D[改題]】は、額そのものが論点ではなく、双子等の出産の
場合はどうなるのかということを論点にしています。
出産育児一時金は、この問題のとおり、胎児数に応じて支給されます。
なので、【 R5−4−E 】にあるとおり、双子を出産した場合、2倍の
額である100万円が支給されます。
もし、三つ子であれば3倍の額となります。
したがって、この2問は正しいです。

健康保険法の選択式は、数字を空欄にする確率がかなり高いので、この額
を空欄にした出題があり得ます。
正確に覚えておきましょう。

 

令和5年−健保法・問4−A「諮問」

  • 2024.02.09 Friday
  • 03:00

今回は、令和5年−健保法・問4−A「諮問」です。

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厚生労働大臣は、入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に
関する基準を定めようとするときは、社会保障審議会に諮問するものと
する。

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「諮問」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H23−8−D 】
厚生労働大臣は、療養の給付に要する費用の算定方法、評価療養(高度の医療
技術に係るものを除く。)又は選定療養の定めをしようとするときは、社会保障
審議会に諮問するものとされている。

【 H19−9−C 】
厚生労働大臣は、入院時食事療養費に係る食事療養に関する費用の額の算定に
関する基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問しなけれ
ばならない。

【 H13−7−E 】
厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師、保険医療機関又は保険薬局の責務に
関する定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問しなければ
ならない。

【 H15−6−B 】
厚生労働大臣は、訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法を
定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとされている。

【 H20−9−E 】
厚生労働大臣は、保険医療機関の指定を取り消そうとするときは、政令で
定めるところにより、地方社会保険医療協議会に諮問するものとされている。

【 R2−選択 】
 健康保険法第82条第2項の規定によると、厚生労働大臣は、保険医療機関
若しくは保険薬局に係る同法第63条第3項第1号の指定を行おうとするとき、
若しくはその指定を取り消そうとするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師に
係る同法第64条の登録を取り消そうとするときは、政令で定めるところにより、
( A )ものとされている。

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厚生労働大臣の諮問先に関する問題です。

厚生労働大臣は、所定の事項を定めたり、行ったりする場合、あらかじめ意見
を求めることになっています。
その意見をどこに求めるのかというのが論点です。

前の5問の場合、意見を求めるのは、中央社会保険医療協議会です。
そのため、
厚生労働大臣は、中央社会保険医療協議会に諮問しなければなりません。

【 H23−8−D 】と【 R5−4−A 】では、「社会保障審議会に諮問」と
あります。誤りです。
社会保障審議会も、確かに厚生労働大臣の諮問機関ですが、役割が違います。
社会保障審議会は、社会保障制度全般に関する基本事項や社会保障制度のあり
方について審議、調査する機関です。

そのほかの【 H19−9−C 】、【 H13−7−E 】、【 H15−6−B 】では、
いずれも「中央社会保険医療協議会に諮問」とあり、これらの問題にある事項
は、どれも中央社会保険医療協議会に諮問しなければならない事項なので、
正しいです。

中央社会保険医療協議会に諮問すべき事項としては、誤りの問題にある
「療養の給付に要する費用の算定方法」、「評価療養(高度の医療技術に
係るものを除く。)又は選定療養の定め」や「入院時生活療養費に係る
生活療養の費用の額の算定に関する基準」も該当します。

中央社会保険医療協議会とは別に、地方に、地方社会保険医療協議会が置かれ
ていますが、こちらは、厚生労働大臣が保険医療機関の指定を拒否する際に、
その議を経たり、指定を取り消そうとするときに諮問したりする機関です。
「額の算定に関する基準」や「責務」は全国共通のものですから「中央」に
諮問します。
一方、保険医療機関の指定などは個々の問題です。そのため、地方に置かれる
地方社会保険医療協議会が担当します。

【 H20−9−E 】はこれに関する出題なので、「地方社会保険医療協議会」
とあるのは、正しいです。
【 R2−選択 】の答えは
A:地方社会保険医療協議会に諮問する
です。
この空欄では「諮問する」まで含めています。つまり、この部分を正確に覚えて
おく必要があるということです。

ということで、この2つの協議会、役割が違っているので、それを混同しない
ようにしましょう。
それと、「諮問」という箇所も注意です。

 

令和5年−健保法・問3−ウ「前納」

  • 2024.02.02 Friday
  • 03:00

 

今回は、令和5年−健保法・問3−ウ「前納」です。

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任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができるが、
前納された保険料については、前納に係る期間の各月の初日が到来したとき
に、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。

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「前納」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H22−健保−選択 】
任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。前納
された保険料については、前納に係る期間の( A )が到来したときに、
それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。
任意継続被保険者は、保険料を前納しようとするときは、前納しようとする額
を前納に係る期間の( B )までに払い込まなければならない。
前納すべき保険料額は、前納に係る期間の各月の保険料の合計額から、その
期間の各月の保険料の額を( C )による複利現価法によって前納に係る
期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の
合計額を控除した額とする。
保険料の前納期間は、4月から9月まで、もしくは10月から翌年3月までの
6か月間または4月から翌年3月までの12か月間を単位として行うものとされ
ているが、例えば、任意継続被保険者の資格を取得した月が4月であった場合、
最も早く前納を行うことができる前納に係る期間の初月は、( D )である。

【 H9−健保3−A 】
任意継続被保険者は、一定期間の保険料を前納することができるが、前納され
た保険料は、前納期間の各月の初日が到来して初めてその月分の保険料が納入
されたこととなる。

【 H13−健保2−B 】
任意継続被保険者は、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの
6か月間又は4月から翌年3月までの12か月間を単位として保険料を前納
することができるが、保険料を前納しようとする場合は、前納しようとする
額を前納に係る期間の初月の1日までに払い込まなければならない。

【 H17−健保3−A 】
任意継続被保険者又は特例退職被保険者が、将来の一定期間の保険料を前納
しようとするときは、前納しようとする額を前納に係る期間の初月の前月末日
までに払い込まなければならない。

【 H21−国年2−B 】
保険料の前納の際に控除される額は、前納に係る期間の各月の保険料の
合計額から、当該期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利
現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月(口座振替に
よる納付は当該各月の翌月)までのそれぞれの期間に応じて割り引いた
額の合計額の10円未満を端数処理した額を控除した額とする。

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「前納」に関する問題です。

まず、【 H22−健保−選択 】の答えは、
A:各月の初日
B:初月の前月末日
C:年4分の利率
D:5月
です。

【 H9−健保3−A 】と【 R5−健保3−ウ 】は、【 H22−健保−選択 】
の空欄Aの部分に関する問題です。
前納された保険料は、いつ納付されたものとみなされるのかというのが論点です。
「各月の初日」の到来なので、いずれも正しいです。
この点は、国民年金の前納の場合は、「各月が経過した際」に納付されたものと
みなされることになっています。これと混同しないように。

次に、【 H13−健保2−B 】と【 H17−健保3−A 】を見ると、
これらは、【 H22−健保−選択 】の空欄Bの部分に関する問題です。
「前納」、つまり、前もって納めるってことですから、前納期間の前に納めること
になります。
そのため、「初月の前月末日」までに納めなければなりません。
前納期間が始まってしまえば、前納ではないですからね。
【 H13−健保2−B 】は誤り、【 H17−健保3−A 】は正しいです。

【 H21−国年2−B 】は、【 H22−健保−選択 】の空欄Cの部分に関する
問題です。
前納した場合、保険料の割引が行われますが、その率が論点です。
で、この率は、国民年金法でも同じ「年4分の利率」です。
ということで、これも正しいです。
ちなみに、【 H22−健保−選択 】の空欄Cの部分に関する問題文は適切な
ものとなっていません。前納すべき保険料額は、「当該期間の各月の保険料の
額から政令で定める額を控除した額」とされていて、この「政令で定める額」
の記載になっています。

それと、【 H22−健保−選択 】の空欄Dについては、応用問題です。
資格取得が4月だった場合です。この場合、4月からは前納することは
できません。
では、10月まで待つのかといえば、そこまで待つ必要はありません。
待たなければいけないんだと判断してしまうと、答えを「10月」なんて
しちゃいますね。
このような場合、
「当該6月又は12月の間において、任意継続被保険者の資格を取得した者
又はその資格を喪失することが明らかである者については、当該6月間又は
12月間のうち、その資格を取得した日の属する月の翌月以降の期間又はその
資格を喪失する日の属する月の前月までの期間の保険料について前納を行う
ことができる」
という規定があります。
これにより、4月に資格を取得したのであれば、5月分から前納することが
できます。

いずれにしても、今後、択一式で出題される可能性が高いですし、似たような
内容が国民年金法から出題されるってこともあるので、よく確認をしておきま
しょう。

 

令和5年−健保法・選択「高額療養費の多数回該当」

  • 2024.01.26 Friday
  • 03:00

 

今回は、令和5年−健保法・選択「高額療養費の多数回該当」です。

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全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者から健康保険組合の被保険者に
変わる等、管掌する保険者が変わった場合、高額療養費の支給回数は( D )。

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「高額療養費の多数回該当」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H17−4−D[改題]】
高額療養費の支給回数は、健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会
管掌健康保険の被保険者に変わった場合には通算されない。

【 H16−4−E[改題]】
高額療養費の多数回該当については、転職により健康保険組合の被保険者で
あった者が全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わった場合でも、
高額療養費の支給回数は通算される。

【 H18−6−A[改題]】
転職により、健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の
被保険者に変更した場合や、全国健康保険協会管掌健康保険の業務を分掌
する年金事務所が変更された場合には、高額療養費の算定に当たっての支給
回数は通算されない。

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「高額療養費の多数回該当」に関する問題です。

【 H17−4−D[改題]】と【 H16−4−E[改題]】は、いずれも健康保険
組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者になった場合
を出題していますが、
【 H17−4−D[改題]】では支給回数は「通算されない」とあり、
【 H16−4−E[改題]】では支給回数は「通算される」とあり、
まったく逆のことをいっています。ですから、どちらかが誤りです。
支給回数については、保険者ごとで判断します。
つまり、保険者が変われば通算されないということになります。
【 H17−4−D[改題]】:正しい  【 H16−4−E[改題]】:誤り

このように択一式で論点にされる箇所は選択式でも狙われることがあり、
それが【 R5−選択 】で、答えは「通算されない」です。

では、【 H18−6−A[改題]】ですが、健康保険組合の被保険者から全国
健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変更した場合だけでなく、業務を
分掌する年金事務所が変更された場合という論点も加わっています。
健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者
に変更となったら、当然、通算されませんが、業務を分掌する年金事務所
が変更されたという場合、これは、保険者の変更ではないので、支給回数
は通算されます。
ということで、支給回数は通算されないというのは、誤りです。

ちなみに、被保険者が複数の事業所に使用される場合、「2以上の事業所
に係る日本年金機構の業務が2以上の年金事務所に分掌されているときは、
被保険者は、その被保険者に関する日本年金機構の業務を分掌する年金
事務所を選択しなければならない」という規定があります。
これは、
その者に関する事務を行う年金事務所を選択するものであって・・・・・
年金事務所ごとに高額療養費の支給回数をみる、というものでありません
から、混同しないようにしましょう。

 

令和4年−健保法問10−E「日雇特例被保険者に係る保険料」

  • 2023.04.14 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和4年−健保法問10−E「日雇特例被保険者に係る保険料」です。

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日雇特例被保険者が、同日において、午前にA健康保険組合管掌健康保険の
適用事業所で働き、午後に全国健康保険協会管掌健康保険の適用事業所で働い
た。この場合の保険料の納付は、各適用事業所から受ける賃金額により、標準
賃金日額を決定し、日雇特例被保険者が提出する日雇特例被保険者手帳に適用
事業所ごとに健康保険印紙を貼り、これに消印して行われる。

☆☆======================================================☆☆

「日雇特例被保険者に係る保険料」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H23−10−D 】
事業主(日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合
においては、その者を使用するすべての事業主)は、日雇特例被保険者を使用
する日ごとに、その者及び自己の負担すべきその日の標準賃金月額に係る保険
料を納付する義務を負う。

【 H19−8−C 】
日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所において使用される場合、
最初にその者を使用する事業主は、その者を使用する日ごとに、その者及び
自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負っ
ている。

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「日雇特例被保険者に係る保険料」に関する問題です。

「日雇特例被保険者に係る保険料」に関する問題です。

日雇特例被保険者が1日に2以上の事業所に使用される場合、その保険料
の負担及び納付義務を負うのは、「初めにその者を使用する事業主」です。

1人の日雇特例被保険者が1日に複数の事業所に使用された場合、それぞれ
の事業所の賃金を合算することはできませんし、それぞれが納付ということ
だと、1日に2日分の保険料を納付したという扱いになり得てしまったり
するので、そもそも、健康保険印紙は1日に1枚しか貼付することができ
ないようになっています。
そのため、「初めにその者を使用する事業主」に限り、保険料の負担及び
納付義務を負うようにしています。

したがって、【 R4−10−E 】の場合には、「適用事業所ごとに」健康
保険印紙を貼り、これに消印して行われるのではなく、当該日雇特例
被保険者が午前に働いた適用事業所から受ける賃金額によって、標準
賃金日額を決定し、当該適用事業所の事業主が保険料を納付します。
ですので、誤りです。
【 H23−10−D 】も「その者を使用するすべての事業主」に保険料の
負担及び納付義務がある内容になっているので、誤りです。
【 H19−8−C 】は正しいです。

健康保険の健康保険印紙による保険料の納付は、雇用保険の印紙保険料
と似た点もありますが、違いが多々あるので、混同しないようにしましょ。

 

令和4年−健保法問9−C「傷病手当金の継続給付」

  • 2023.04.07 Friday
  • 04:00


今回は、令和4年−健保法問9−C「傷病手当金の継続給付」です。

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共済組合の組合員として6か月間加入していた者が転職し、1日の空白もなく、
A健康保険組合の被保険者資格を取得して7か月間加入していた際に、療養
のため労務に服することができなくなり傷病手当金の受給を開始した。この
被保険者が、傷病手当金の受給を開始して3か月が経過した際に、事業所を
退職し、A健康保険組合の任意継続被保険者になった場合でも、被保険者の
資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けていることから、被保険者として
受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から傷病手当金
の給付を受けることができる。

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「傷病手当金の継続給付」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 R1−8−D 】
資格喪失後の継続給付としての傷病手当金を受けるためには、資格喪失日
の前日まで引き続き1年以上被保険者であったことが要件の1つとされて
いるが、転職等により異なった保険者における被保険者期間(1日の空白
もなく継続しているものとする。)を合算すれば1年になる場合には、その
要件を満たすものとされている。なお、これらの被保険者期間には、任意
継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者の
期間は含まれないものとする。

【 H25−2−B 】
傷病手当金を受けていた者が、被保険者期間が6か月経過したときに退職
せざるを得なくなった場合、たとえ当該被保険者期間の前に、1日の空白も
なく継続した6か月以上の他の保険者における被保険者期間があったとし
ても、資格喪失後の傷病手当金は受けられない。なお、これらの被保険者
期間には、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員で
ある被保険者の期間は含まれない。

【 H28−8−D 】
健康保険法第104条の規定による資格喪失後の傷病手当金の支給を受ける
には、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、
特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)である必要
があり、この被保険者期間は、同一の保険者でなければならない。

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「傷病手当金の継続給付」に関する問題です。

資格喪失後の継続給付としての傷病手当金を受けるためには、資格喪失日の
前日まで引き続き1年以上被保険者であったことが要件の1つとされています。
これは、被保険者であった期間がわずかしかない者まで、資格喪失後の継続
給付の対象とはしないようにするため設けられている要件です。

そこで、この「引き続き1年以上」とは、必ずしも、一の適用事業所において
引き続き被保険者であることを求めたものではなく、その間に転勤や転職など
により事業所や保険者が変わっても、被保険者資格に1日の空白もなければ、
引き続いた期間として通算されます。
つまり、引き続き1年以上健康保険の被保険者であり続ければよいという
ことです。

ただ、健康保険の被保険者といっても、退職後の資格である任意継続被保険者
又は特例退職被保険者であった期間や健康保険に保険料を納付していない共済
組合の組合員である被保険者の期間は、この「被保険者であった期間」から
除かれます。

ということで、【 R1−8−D 】は正しいですが、
他の保険者における被保険者期間は通算できない内容の【 H25−2−B 】、
「同一の保険者でなければならない」とある【 H28−8−D 】は誤りです。
【 R4−9−C 】は、共済組合の組合員として期間を通算して1年以上と
なっているので、やはり、誤りです。

ちなみに、高額療養費の支給要件の判断や多数回該当の回数を数える場合、
保険者単位で行われるので、これらの規定と混同しないようにしましょう。

 

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