令和4年−厚年法・選択「事後重症による障害厚生年金」

  • 2023.07.21 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和4年−厚年法・選択「事後重症による障害厚生年金」です。

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厚生年金保険法第47 条の2によると、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、
その傷病に係る初診日において被保険者であった者であって、障害認定日に
おいて同法第47 条第2項に規定する障害等級(以下「障害等級」という。)
に該当する程度の障害の状態になかったものが、障害認定日から同日後
( E )までの間において、その傷病により障害の状態が悪化し、障害
等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、
その期間内に障害厚生年金の支給を請求することができる。

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「事後重症による障害厚生年金」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H15−国年6−C 】
障害認定日には該当する障害の状態にない者が、70歳に達する日の前日まで
に該当する障害の状態に該当したときは、請求することによって、いわゆる
事後重症による障害基礎年金が支給される。

【 R元−厚年3−A 】
傷病に係る初診日に厚生年金保険の被保険者であった者であって、かつ、当該
初診日の属する月の前々月までに、国民年金の被保険者期間を有しない者が、
障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、障害
認定日後から65歳に達する日までの間に、その傷病により障害等級に該当する
程度の障害の状態に該当するに至った場合、その期間内に、障害厚生年金の支給
を請求することができる。

【 H13−厚年3−B 】
傷病による初診日に厚生年金保険の被保険者であり、かつ国民年金の被保険者
期間を有しない者が、障害認定日においては政令で定められた障害等級に該当
する障害の状態になかったものの、障害認定日後から65歳に達する日までの
間に、障害等級に該当する程度の障害の状態になった場合には、障害厚生年金
の支給を請求することができる。

【 H18−国年10−A 】
保険料納付等の要件を満たしているが、障害認定日において障害の程度が2級
以上に該当しなかった者が、65歳に達する日の前日までに障害の程度が悪化
し、2級以上の状態に該当したときは、請求することによって、いわゆる事後
重症による害基礎年金が支給される。

【 H29−厚年7−D 】
いわゆる事後重症による障害厚生年金について、障害認定日に障害等級に該当
しなかった者が障害認定日後65歳に達する日の前日までに当該傷病により障害
等級3級に該当する程度の障害の状態となり、初診日の前日において保険料
納付要件を満たしている場合は、65歳に達した日以後であっても障害厚生年金
の支給を請求できる。

【 H21−国年1−A 】
疾病にかかり、又は負傷し、かつ、当該傷病の初診日において被保険者であり、
障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったものが、
障害認定日後65歳に達する日の前日までの間において、同一の傷病により
障害等級に該当する程度の障害の状態になったときは、その者の年齢に関わ
りなく障害基礎年金の支給を請求することができる。

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事後重症による障害基礎年金・障害厚生年金に関して、その論点として頻繁
に出題されるのは、「いつまでに、障害等級に該当する程度の障害の状態に
該当すれば支給されるのか」です。

まず、【 H15−国年6−C 】を見ると、年齢が、これだけ「70歳」となっ
ています。
誤りです。
正しくは、「65歳」です。

65歳になれば、老齢基礎年金が支給されることになるので、そちらをもらっ
てください、
その前に障害等級に該当する程度の障害状態になった場合でなければ、事後
重症による障害基礎年金の支給の請求はできませんよ、ということです。

そこで、【 R元−厚年3−A 】と【 H13−厚年3−B 】を、よ〜く見て
ください。障害基礎年金ではなく、障害厚生年金の問題ですが、事後重症の
考え方は、基本的に同じです。
障害厚生年金は、障害の程度が3級の状態であっても対象になるっていう点
が障害基礎年金とは異なりますが。

で、【 R元−厚年3−A 】と【 H13−厚年3−B 】では「65歳に達する日
まで」とあります。
「65歳に達する日」では遅いんですよね。65歳になっていますから。
その前日までに、障害等級に該当する程度の障害状態になっていないと支給
対象となりません。
いずれも誤りです。
【 H18−国年10−A 】は、「65歳に達する日の前日まで」とあります。
この点は正しいです。
試験の際、この辺は注意深く読んでいないと、見逃す危険があるので、注意
して読みましょう。
それと、この点は選択式でも出題されていて、それが【R4−厚年−選択 】
です。答えは、「65歳に達する日の前日」です。

この論点とは異なる【 H29−厚年7−D 】の論点、これも注意です。
事後重症に関しては、「65歳に達する日の前日まで」に障害等級に該当する
必要があり、さらに、その請求も「65歳に達する日の前日まで」に行わない
と支給されません。
【 H29−厚年7−D 】では、65歳以後でも請求できるとあるので、誤りです。
【 H21−国年1−A 】についても、
「年齢に関わりなく障害基礎年金の支給を請求することができる」
とあるので、誤りです。

【 H18−国年10−A 】は、この点についての記述がないんです。ただ、
正しい肢とされました。論点ではないからということなんでしょうが…
記述がなくとも正しいとされたことがあったことは知っておきましょう。

いつまでに、「該当したのか」、そして「請求することができるのか」、この
両方を論点にしてくるってこともあります。どちらかばかりに目が行き過ぎて
しまうと、もう一方のほうでしくじってしまうなんてことにもなりかねません
から、どちらも、しっかりと確認するようにしましょう。

 

令和4年−国年法問5−B「障害基礎年金の加算額等」

  • 2023.06.09 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和4年−国年法問5−B「障害基礎年金の加算額等」です。

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障害基礎年金の受給権者が、その権利を取得した日の翌日以後にその者に
よって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該
配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害基礎年金に当該
配偶者に係る加算額が加算される。

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「障害基礎年金の加算額等」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H19−国年1−C[改題]】
障害基礎年金の加算額は、その受給権者によって生計を維持されている一定
の要件に該当する子があるときに加算され、配偶者に対する加算はない。

【 H15−国年4−D[改題]】
障害基礎年金の受給権者によって生計を維持されている配偶者及び一定要件
に該当する子があるときは、障害基礎年金額に所定の額を加算する。

【 H7−国年10−D[改題]】
障害等級2級の障害基礎年金の額は、障害基礎年金の受給権者によって生計
を維持している配偶者があるときは、795,000円に228,700円を加算した額
である。

【 H22−厚年5−B[改題]】
障害の程度が障害等級の1級または2級に該当する者に支給する障害厚生
年金の額は、受給権者が生計を維持するその者の65歳未満の配偶者がある
ときは、加給年金額を加算した額とする。

【 H15−厚年7−D 】
障害等級2級の障害厚生年金の受給権を有する者について、子は障害厚生
年金の加算対象とはならない。

【 H7−厚年7−E 】
障害厚生年金には、子に対する加給年金額の加算はない。

【 H9−厚年6−A 】
障害厚生年金の加給年金額については、老齢厚生年金と同様に配偶者又は
子があるときに加算されるが、障害厚生年金の場合は、当該年金の計算の
基礎となった期間が240月未満であっても加算される。

【 H29−厚年8−D 】
障害等級1級又は2級の障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持
している子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び
20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子に限る。)
があるときは、当該子に係る加給年金額が加算された額とする。

【 R4−厚年6−A 】
障害等級1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、当該
受給権者によって生計を維持しているその者の65 歳未満の配偶者又は子
(18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で
障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子)があるときは、加給
年金額が加算された額となる。

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障害基礎年金の加算額や障害厚生年金の加給年金額の対象となる者に関する
問題です。

受給権者に生計を維持する配偶者や子がいれば、生活費がより多くかかる
ため、年金額に加算が行われることがあります。

そこで、
障害基礎年金と障害厚生年金、これらは2階建てで支給を受けることが
できる場合があり、もし、その場合に、それぞれの年金に配偶者及び子に
対する加算があったとしたら、それは行き過ぎた保障になってしまいます。

ということで、
障害基礎年金には、子を対象とする加算額
障害厚生年金には、配偶者を対象とする加給年金額
を設け、重複した加算が行われないようにしています。

【 H19−国年1−C[改題]】は、正しいですが、
【 R4−国年5−B 】、【 H15−国年4−D[改題]】、【 H7−国年10−D
[改題]】は、いずれも障害基礎年金に配偶者を対象とする加算があるとして
いるので、誤りです。

【 H22−厚年5−B[改題]】、【 H15−厚年7−D 】、【 H7−厚年7−E 】
は、正しいです。
【 H9−厚年6−A 】、【 H29−厚年8−D 】、【 R4−厚年6−A 】は、
いずれも障害厚生年金に子を対象とする加算があるとしているので、誤りです。

ちなみに、旧法では厚生年金保険の障害年金に子を対象とした加給年金額が
あったのですが、新法となり、障害基礎年金に子の加算額が設けられたので、
障害厚生年金には子の加給年金額が付かなくなったんです。

 

 

 

令和4年−国年法問3−C「脱退一時金」

  • 2023.05.25 Thursday
  • 04:00

 

今回は、令和4年−国年法問3−C「脱退一時金」です。

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脱退一時金の支給の請求に関し、最後に被保険者の資格を喪失した日に日本
国内に住所を有していた者は、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなっ
た日から起算して2年を経過するまでに、その支給を請求しなければならない。

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「脱退一時金」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H30−厚年3−オ 】
脱退一時金は、最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日に
おいて日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内
に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているときは、請求
することができない。

【 H18−厚年5−C 】
脱退一時金は、日本国籍を有する者には支給されず、その者が最後に国民
年金の被保険者の資格を喪失した日又は同日において日本に住所を有して
いた場合には資格喪失後初めて日本国内に住所を有しなくなった日から起算
して2年を経過しているときにも支給されない。

【 R3−厚年9−C 】
ある日本国籍を有しない者について、最後に厚生年金保険の被保険者資格
を喪失した日から起算して2年が経過しており、かつ、最後に国民年金の
被保険者資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者
にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から
起算して1年が経過した。この時点で、この者が、厚生年金保険の被保険
者期間を6か月以上有しており、かつ、障害厚生年金等の受給権を有した
ことがない場合、厚生年金保険法に定める脱退一時金の請求が可能である。

【 H26−厚年4−D 】
最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内
に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有し
なくなった日)から起算して1年を経過しているときは、脱退一時金を
請求することができない。

【 H12−国年2−E 】
日本国内に住所を有していた日本国籍を有しない者が第1号被保険者の
資格を喪失した日より後に初めて日本国内に住所を有しなくなった日
から起算して2年を経過しているときは、脱退一時金の支給の請求が
できない。

【 H13−国年10−B 】
脱退一時金を請求することができるのは、最後に被保険者の資格を喪失
した日から2年を経過した日以後である。

【 H23−国年1−C 】
脱退一時金の支給要件の1つとして、最後に被保険者の資格を喪失した日
(同日に日本国内に住所を有していた者にあっては、その後初めて日本
国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過していることが
必要である。

【 H13−厚年5−A 】
厚生年金保険の被保険者期間が6か月以上ある日本国籍を有しない者が、
最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日から2年以内に出国する
ときに限り、障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有し
たことがない場合には、脱退一時金を請求することができる。

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「脱退一時金」に関する問題です。

脱退一時金については、厚生年金保険法にも、国民年金法にも、共通の
規定があります。
支給額の算定方法は異なっていますが、支給要件などは基本的に同じなので、
このような箇所は、あわせて勉強してしまうというのが、効率的です。

ここに挙げた問題は、いずれも、支給の請求をすることができる時期を
論点にしています。

【 H30−厚年3−オ 】と【 H18−厚年5−C 】では、国民年金の被
保険者の資格を喪失した日などから起算して2年を経過しているときは
「請求することができない」又は「支給されない」としています。これは、
正しい内容です。
2年を経過してしまえば、請求することはできません。

【 R3−厚年9−C 】では、「最後に厚生年金保険の被保険者資格を
喪失した日から起算して2年が経過」とありますが、厚生年金保険の被
保険者資格を喪失した日からどれだけ経過しているのかというのは、支給
に影響しません。国民年金の被保険者資格を喪失した日などから起算して
2年を経過していないのであれば、その他の要件を満たす限り、請求する
ことができます。この問題の場合、要件を満たしているので、請求が可能
です。
正しいです。

【 H26−厚年4−D 】は、単純な期間の置き換えによる誤りです。
「1年」とあるのは、「2年」です。
これは、間違えてはいけないところです。
【 H12−国年2−E 】と【 R4−国年3−C 】は、国民年金法の
脱退一時金についてですが、請求期限は厚生年金保険法と同じですから、
正しいです。

一方、【 H13−国年10−B 】、【 H23−国年1−C 】は、請求すること
ができるのが「2年を経過した日以後」、「2年を経過している」とある
ので、誤りです。

では、【 H13−厚年5−A 】ですが、「国民年金の被保険者の資格を
喪失した日から2年以内に出国するときに限り」とありますが、そう
ではありません。

【 H30−厚年3−オ 】に、
「最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日」
又は
「同日において日本に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、
日本国内に住所を有しなくなった日」
とあるように、資格を喪失した際に日本国内にいる場合、出国までの期間
を問わず、その後、国内に住所を有しなくなってから2年以内であれば、
請求することができます。

それと、【 H18−厚年5−C 】に「日本国籍を有する者には支給されず」
とありますが、この点についても論点にされることがあるので、確認を
忘れずに。

どんな場合でも、日本国籍を有している者には支給されることはありませんよ。

 

令和3年−厚年法問9−C「脱退一時金」

  • 2022.08.23 Tuesday
  • 04:00


今回は、令和3年−厚年法問9−C「脱退一時金」です。

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ある日本国籍を有しない者について、最後に厚生年金保険の被保険者資格を
喪失した日から起算して2年が経過しており、かつ、最後に国民年金の被保険者
資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、
同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して1年が経過
した。この時点で、この者が、厚生年金保険の被保険者期間を6か月以上有して
おり、かつ、障害厚生年金等の受給権を有したことがない場合、厚生年金保険法
に定める脱退一時金の請求が可能である。

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「脱退一時金」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H30−厚年3−オ 】
脱退一時金は、最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において
日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有し
なくなった日)から起算して2年を経過しているときは、請求することができない。

【 H18−厚年5−C 】
脱退一時金は、日本国籍を有する者には支給されず、その者が最後に国民年金の
被保険者の資格を喪失した日又は同日において日本に住所を有していた場合には
資格喪失後初めて日本国内に住所を有しなくなった日から起算して2年を経過し
ているときにも支給されない。

【 H26−厚年4−D 】
最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を
有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)
から起算して1年を経過しているときは、脱退一時金を請求することができない。

【 H12−国年2−E 】
日本国内に住所を有していた日本国籍を有しない者が第1号被保険者の資格
を喪失した日より後に初めて日本国内に住所を有しなくなった日から起算して
2年を経過しているときは、脱退一時金の支給の請求ができない。

【 H13−国年10−B 】
脱退一時金を請求することができるのは、最後に被保険者の資格を喪失した
日から2年を経過した日以後である。

【 H23−国年1−C 】
脱退一時金の支給要件の1つとして、最後に被保険者の資格を喪失した日(同日
に日本国内に住所を有していた者にあっては、その後初めて日本国内に住所を
有しなくなった日)から起算して2年を経過していることが必要である。

【 H13−厚年5−A 】
厚生年金保険の被保険者期間が6か月以上ある日本国籍を有しない者が、最後
に国民年金の被保険者の資格を喪失した日から2年以内に出国するときに限り、
障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがない場合に
は、脱退一時金を請求することができる。

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「脱退一時金」に関する問題です。

脱退一時金については、厚生年金保険法にも、国民年金法にも、共通の規定
があります。
支給額の算定方法は異なっていますが、支給要件などは基本的に同じなので、
このような箇所は、あわせて勉強してしまうというのが、効率的です。

ここに挙げた問題は、いずれも、支給の請求をすることができる時期を論点にし
ています。

【 H30−厚年3−オ 】と【 H18−厚年5−C 】では、国民年金の被保険者の
資格を喪失した日などから起算して2年を経過しているときは「請求することが
できない」又は「支給されない」としています。これは、正しい内容です。
2年を経過してしまえば、請求することはできません。

【 R3−厚年9−C 】では、「最後に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した
日から起算して2年が経過」とありますが、厚生年金保険の被保険者資格を喪失
した日からどれだけ経過しているのかというのは、支給に影響しません。国民
年金の被保険者資格を喪失した日などから起算して2年を経過していないので
あれば、その他の要件を満たす限り、請求することができます。この問題の場合、
要件を満たしているので、請求が可能です。
正しいです。

【 H26−厚年4−D 】は、単純な期間の置き換えによる誤りです。
「1年」とあるのは、「2年」です。
これは、間違えてはいけないところです。
【 H12−国年2−E 】は、国民年金法の脱退一時金についてですが、請求期限
は厚生年金保険法と同じですから、正しいです。

一方、【 H13−国年10−B 】、【 H23−国年1−C 】は、請求することができる
のが「2年を経過した日以後」、「2年を経過している」とあるので、誤りです。
では、【 H13−厚年5−A 】ですが、「国民年金の被保険者の資格を喪失した日
から2年以内に出国するときに限り」とありますが、そうではありません。

【 H30−厚年3−オ 】に、
「最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日」
又は
「同日において日本に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本
国内に住所を有しなくなった日」
とあるように、資格を喪失した際に日本国内にいる場合、出国までの期間を問わず、
その後、国内に住所を有しなくなってから2年以内であれば、請求することができ
ます。

それと、【 H18−厚年5−C 】に「日本国籍を有する者には支給されず」とあり
ますが、この点についても論点にされることがあるので、確認を忘れずに。

どんな場合でも、日本国籍を有している者には支給されることはありませんよ。

 

令和3年−国年法問10−D「障害基礎年金の失権」

  • 2022.07.01 Friday
  • 04:00


今回は、令和3年−国年法問10−D「障害基礎年金の失権」です。

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障害基礎年金の受給権者が、厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級
に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して同項に規定する
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過した日に
おいて、65歳に達していないときでも、当該障害基礎年金の受給権は消滅する。

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「障害基礎年金の失権」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H21−厚年9−C 】
障害厚生年金の受給権は、障害等級3級以上の障害の状態に該当しなくなり、
そのまま65歳に達した日又は障害の状態に該当しなくなった日から起算して
そのまま該当することなく3年経過した日のどちらか早い日に消滅する。

【 H12−国年7−D 】
障害基礎年金の受給権は、厚生年金保険の障害等級3級に該当しない者が65歳
に達したとき、又はその障害等級3級に該当しなくなった日から該当しない
まま3年を経過したときのいずれか遅いほうが到達したとき消滅する。

【 H30−厚年4−ウ 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者であった者が、64歳の時点で障害等級
に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったために支給が停止された。
その者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しないまま65歳に達し
たとしても、その時点では当該障害厚生年金の受給権は消滅しない。

【 H27−厚年4−E 】
障害等級3級の障害厚生年金の支給を受けていた者が、63歳の時に障害の程度
が軽減したためにその支給が停止された場合、当該障害厚生年金の受給権はその
者が65歳に達した日に消滅する。

【 R2−厚年3−オ 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者の障害の状態が障害等級に該当しなく
なったため、当該障害厚生年金の支給が停止され、その状態のまま3年が経過
した。その後、65歳に達する日の前日までに当該障害厚生年金に係る傷病に
より障害等級3級に該当する程度の障害の状態になったとしても、当該障害
厚生年金は支給されない。

【 H20−国年8−B 】
障害基礎年金の受給権者が63歳の時点で、厚生年金保険法に規定する障害等級
に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して3年を経過し
ていたときは、その時点で当該障害基礎年金の受給権が消滅する。

【 H17−国年3−D 】
障害の程度が厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級に該当しなく
なって、3年経過したときはすべて障害基礎年金の受給権は消滅する。

【 H19−国年2−D 】
61歳の障害基礎年金の受給権者であって国民年金法の規定による障害等級に
該当する程度の障害の状態に該当しなくなってから3年を経過した者について
は、障害の状態に該当しなくなってから3年を経過した日の翌日に障害基礎
年金の受給権は消滅する。

【 H26−国年7−B 】
障害基礎年金の受給権は、厚生年金保険の障害等級3級以上の障害状態にない
者が、その該当しなくなった日から、障害等級3級以上の障害状態に該当する
ことなく5年を経過したとき消滅する。ただし、5年を経過した日においてその
者が65歳未満であるときを除く。

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障害基礎年金と障害厚生年金の失権事由は、同じです。
ですので、国民年金法、厚生年金保険法、それぞれから同じような内容の出題
があります。

障害基礎年金・障害厚生年金は、併合認定が行われれば、先発の年金の受給権は
消滅します。年金の受給権をいくつも持たせておくというのは、管理するほうも
大変ですから、併せて1つにしちゃうんですよね。
それと、受給権者が死亡したとき、これは、当然、もらう人がこの世にいなくなる
ので、失権します。
これらの失権事由も出題されることがありますが、試験によく出るのは、もう1つ
の失権事由です。
障害状態に不該当となった場合です。
この障害状態というのは、厚生年金保険法に規定する障害等級3級以上の状態で、
この状態に該当しなくなった場合、受給権が消滅するための要件の一部を満たす
ことになります。
厳密にいえば、該当しなくなり、そのまま3年が経ったという場合です。
でも、該当しなくなって、そのくらいの期間で失権では、再発したらどう
なるんだという問題があるので、65歳までは失権させないのです。
65歳になれば、老齢基礎年金がもらえるようになるので、障害基礎年金や
障害厚生年金がなくても大丈夫ってことになりますから。
つまり、障害状態に該当しなくなり3年が経ったというのと65歳になった
というのと、比べて、遅いほうで失権です。

【 H21−厚年9−C 】では、「どちらか早い日」としているので、誤りです。

【 H12−国年7−D 】は、正しいです。

【 H30−厚年4−ウ 】と【 H27−厚年4−E 】では、具体的な年齢を挙げて
いますが、いずれも65歳に達した時点では、3年を経過していないので、失権は
しません。
そのため、【 H30−厚年4−ウ 】は正しいですが、【 H27−厚年4−E 】は
誤りです。

【 R2−厚年3−オ 】は、3年が経過しているけれど、65歳に達する日の前日
までなので、失権はしていない状況です。
しかし、「支給されない」とあるので、誤りです。

【 R3−国年10−D 】も65歳に達する前に受給権は消滅するとしているので、
誤りです。

【 H20−国年8−B 】は、「63歳の時点で・・・受給権は消滅する」とあり
ますが、63歳の時点では失権しないので、誤りです。

【 H17−国年3−D 】は、「3年経過したときはすべて」とありますが、それ
だけでは失権しないので、誤りです。

【 H19−国年2−D 】は、3年経過したときに65歳になっていません。
なので、この場合は失権しません。誤りです。
それと、この問題・・・「国民年金法の規定による障害等級に該当する程度の
障害の状態に該当しなくなって」とあります。国民年金法の規定による障害等級
は1級と2級です。
そのため、これらに該当しなくても、もし3級に該当しているのであれば、
1級又は2級に不該当となって何年経過したとしても、失権しませんので。
この点も、注意です。

【 H26−国年7−B 】は、単純に「3年」が「5年」となっているので、
誤りです。

同じ論点の問題って、文章そのものも同じようなものが出てくることって多いん
ですが、障害基礎年金・障害厚生年金の失権に関する論点は、文章が、その都度、
違っています。
でも、その内容は同じですから、ちゃんと理解しておけば、確実に得点に結びつく
はずです。
 

 

令和3年−国年法問9−B「併給調整」

  • 2022.06.17 Friday
  • 04:00


今回は、令和3年−国年法問9−B「併給調整」です。

☆☆======================================================☆☆

旧国民年金法による障害年金の受給権者には、第2号被保険者の配偶者がいたが、
当該受給権者が66歳の時に当該配偶者が死亡したことにより、当該受給権者に
遺族厚生年金の受給権が発生した。この場合、当該受給権者は旧国民年金法に
よる障害年金と遺族厚生年金の両方を受給できる。

☆☆======================================================☆☆

「併給調整」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H26−厚年10−C 】
障害基礎年金の受給権者である男性が65歳で遺族厚生年金の受給権を得た場合、
それぞれを併給することができる。

【 H20−国年1−D 】
65歳に達している者の老齢基礎年金と遺族厚生年金、老齢基礎年金と障害厚生
年金は、いずれも併給することができる。

【 H28−厚年9−B 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権
を取得したとしても、それらは併給されないため、いずれか一方のみを受給する
ことができるが、遺族厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給
権を取得したときは、それらの両方を受給することができる。

【 H29−国年9−B 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳となり老齢基礎年金及び老齢
厚生年金の受給権を取得した場合、この者は、障害等級3級の障害厚生年金と
老齢基礎年金を併給して受けることを選択することができる。

【 H23−厚年4−A 】
障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに当該障害厚生年金と同一
の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、遺族基礎年金
とは併給できない。

【 H8−国年2−B 】
老齢基礎年金の受給権者であっても、65歳に達していれば遺族厚生年金を併給
することができる。

【 H16−国年1−A 】
65歳以上の老齢基礎年金の受給権者は、遺族厚生年金を併給して受給すること
ができる。

【 H25−国年3−A 】
65歳以上の者に支給される障害基礎年金と老齢厚生年金は併給されるが、
65歳以上の老齢基礎年金の受給権者が遺族厚生年金の受給権を取得したとき
は、併給の調整によりどちらか一方の年金給付は支給停止される。

【 H19−国年3−C 】
65歳未満の繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者が、遺族厚生年金の受給権
を取得した場合には、その翌月から65歳に達するまでの間についても、繰上げ
により減額された老齢基礎年金と遺族厚生年金を併給することができる。

【 H30−国年9−D 】
繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者に遺族厚生年金の受給権が発生した場合、
65歳に達するまでは、繰上げ支給の老齢基礎年金と遺族厚生年金について併給
することができないが、65歳以降は併給することができる。

☆☆======================================================☆☆

「併給調整」に関する問題です。

年金は、原則として1人に1つの年金を支給することになっていますが、
2階建て年金の仕組みなど、例外的な規定がいくつもあります。

そこで、65歳以上の場合、
老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給することができます。
遺族厚生年金というのは、遺族の老後保障を担うという面があるので、老齢
基礎年金との併給を認めています。

また、遺族厚生年金は、受給権者が65歳以上であれば、障害基礎年金との
併給も認められています。同様に、旧国民年金法による障害年金と遺族厚生
年金も併給することができます。

ですので、【 H26−厚年10−C 】と【 R3−国年9−B 】は正しいです。

これらに対して、
【 H20−国年1−D 】と【 H29−国年9−B 】、【 H23−厚年4−A 】
では、「老齢基礎年金と障害厚生年金」を併給することができるとしています。
これらは、併給することはできません。老齢基礎年金は、老齢厚生年金や遺族
厚生年金とは併給されますが、障害厚生年金とは併給されません。

ということで、
【 H28−厚年9−B 】と【 H8−国年2−B 】、【 H16−国年1−A 】
は正しく、
【 H20−国年1−D 】と【 H29−国年9−B 】、【 H23−厚年4−A 】、
【 H25−国年3−A 】は誤りです。
【 H19−国年3−C 】は、65歳未満の場合です。
この場合、老齢基礎年金と遺族厚生年金の併給は認められていません。
どちらか一方を選択して受給することになります。
誤りです。

それと、【 H30−国年9−D 】も繰上げ支給の老齢基礎年金に関してで、
65歳に達するまでは、遺族厚生年金と併給することができません。
ただ、65歳に達すれば併給することができます。
したがって、正しいです。

「併給調整」に関しては、いろいろな組み合わせで出題することができるので、
頻繁に出題されています。
特に、65歳以上なのか、65歳未満なのかで併給することができるか否かが
異なる点、ここは、よく狙われます。
1肢は出るだろうと思って、ちゃんと確認をしておきましょう。

 

 

令和3年−国年法問2−B「保険料納付要件」

  • 2022.04.22 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和3年−国年法問2−B「保険料納付要件」です。

☆☆======================================================☆☆

障害基礎年金について、初診日が令和8年4月1日前にある場合は、当該初診
日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの1年間(当該初診日に
おいて被保険者でなかった者については、当該初診日の属する月の前々月以前
における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)に、保険料納付済期間及び
保険料免除期間以外の被保険者期間がなければ保険料納付要件は満たされた
ものとされる。ただし、当該初診日において65歳未満であるときに限られる。

☆☆======================================================☆☆

「保険料納付要件」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H14−国年4−A 】
障害基礎年金については、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月
までに被保険者期間がある者の場合、(1)当該被保険者期間に係る保険料納付
済期間と保険料免除期間とを合算した期間が被保険者期間の3分の2以上で
あること、又は(2)初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料未納期間
がないことが支給要件として必要とされている。

【 H13−厚年6−E[改題]】
令和8年4月1日前に死亡日がある被保険者について、死亡日の属する月の
前々月までに国民年金の被保険者期間があるとき、当該被保険者期間の直近
の1年間に保険料の滞納がない場合には保険料納付要件を満たすことから、
その遺族に遺族厚生年金が支給される。

【 H16−厚年3−B[改題]】
厚生年金保険の被保険者が死亡した場合において、死亡日が令和8年4月1日
前にあり、かつ、死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料納付
済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がなければ、その者の遺族に
遺族厚生年金が支給される。

【 H19−国年6−C[改題]】
初診日が令和8年4月1日前で、当該初診日において65歳未満の被保険者に
ついては、当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの
1年間に保険料未納期間がなければ、障害基礎年金にかかる保険料納付要件
を満たすものとされる。

【 H20−国年10−B[改題]】
被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上
65歳未満の者が、令和8年4月1日前に死亡したとき、当該死亡日の前日に
おいて、当該死亡日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間
に係る月までの1年間のうちに保険料の滞納がなければ、遺族基礎年金の
支給要件のうち保険料納付に係る要件を満たす。

【 H21−厚年5−E[改題]】
65歳未満の被保険者が令和8年4月1日前に死亡した場合であって、当該
死亡日において国民年金の被保険者でなかった者については、当該死亡日
の前日において当該死亡日の属する月の前々月以前における直近の国民年金
の被保険者期間に係る月までの1年間に保険料納付済期間及び保険料免除
期間以外の国民年金の被保険者期間がないときは、当該死亡した者の遺族
に遺族厚生年金が支給される。

☆☆======================================================☆☆

【 H14−国年4−A 】、【 H13−厚年6−E[改題]】、
【 H16−厚年3−B[改題]】の3問、
似たようなことを言っていますが、本試験では、正しい問題とされたものと
誤った問題とされたものがあるという、何とも不思議な話です。

【 H14−国年4−A 】:正しい。
【 H13−厚年6−E[改題]】:誤り。
【 H16−厚年3−B[改題]】:誤り。


保険料納付要件の問題です。保険料納付要件は、原則として「被保険者期間に
係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が被保険者期間の
3分の2以上あること」です。
ただし、特例として、令和8年4月1日前であれば、「初診日(又は死亡日)
の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納期間がない」(保険料納付済
期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がない)ということ
でも要件を満たすことになっています。

でも、この特例は、初診日(又は死亡日)において65歳未満の場合だけに
適用されるものです。誤った問題としたものは、その記述がないからという
のが理由なんです。

とはいえ、他の肢との比較において、【 H14−国年4−A 】のように、その
記述がなくとも正しい肢とされてしまったこともあり、受験生にしてみると、
どっちなんだということになってしまいますよね。


【 H19−国年6−C[改題]】、【 H20−国年10−B[改題]】、
【 R3−国年2−B 】、【 H21−厚年5−E[改題]】では、
「65歳未満」、「60歳以上65歳未満の者」、「65歳未満であるときに限られる」、
「65歳未満」と、きちんと記述してあります(いずれも正しい内容です)。
このように記述されていれば、素直に正しいと判断できるのですが・・・・
結局、5肢択一の問題の正誤の判断は、1つの肢ではできないということなの
です。

他の肢との比較の中で、「より正しいもの」や「より誤ったもの」があれば、
それが正解の肢。そういう肢がなければ、こちらが正解の肢ということです。

受験生泣かせの問題ですが、5肢の中から1つを選ぶ力をしっかり身に付ける
ことができれば、このような問題があったとしても大丈夫です。

ちなみに、【 H14−国年4−A 】のような出題が、再びあった場合ですが、
まず、誤りだという方向で、他の肢を解いていくようにしましょう。
 

 

令和2年−厚年法問9−E「脱退一時金」

  • 2021.08.13 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和2年−厚年法問9−E「脱退一時金」です。

☆☆==========================================☆☆

障害厚生年金の支給を受けたことがある場合でも、障害の状態が軽減し、脱退
一時金の請求時に障害厚生年金の支給を受けていなければ脱退一時金の支給
を受けることができる。

☆☆==========================================☆☆

「脱退一時金」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==========================================☆☆

【 H26−厚年4−C 】
障害手当金の受給権を有したことがある場合であっても、脱退一時金を請求する
ことができる。

【 H24−国年6−E 】
障害基礎年金の受給権を有したことがあるときは支給されない。

【 H30−国年10−B 】
障害基礎年金の受給権者であっても、当該障害基礎年金の支給を停止されている
場合は、脱退一時金の支給を請求することができる。

☆☆==========================================☆☆

「脱退一時金」に関する問題です。

脱退一時金は、保険料の掛け捨て防止のために設けられたものです。
そのため、何らかの給付を受けていれば、保険料の納付がその受給権の取得に
つながったことになるので、脱退一時金は支給されません。
この考え方は、国民年金法、厚生年金保険法共通です。

そこで、厚生年金保険法の脱退一時金の場合は、障害厚生年金その他政令で
定める保険給付の受給権を有したことがあるときは請求することができません。
この政令で定める保険給付は、次の保険給付です。
● 障害手当金及び特例老齢年金
● 旧法による障害年金及び障害手当金
● 旧船員保険法による障害年金及び障害手当金

例えば、障害厚生年金(国民年金法の脱退一時金なら、障害基礎年金)の支給を
受けたことがある場合は、障害の状態が軽減し、現に支給されていない状態と
なっても、支給を請求することができません。また、受給権を有したのであれば、
その支給が停止されていても支給を請求することができません。

ということで、【 H24−国年6−E 】は正しいですが、他の3問は誤りです。

そうそう、遺族基礎年金(母子福祉年金等から裁定替えされたものを除きます)
や遺族厚生年金の受給権を有したことがあっても、それは、自ら納付した保険料
が反映されたものではないので、脱退一時金の支給は制限されないので、間違え
ないように。
 

 

 

令和2年−厚年法問8−B「所在不明による支給停止」

  • 2021.07.29 Thursday
  • 05:00

 

今回は、令和2年−厚年法問8−B「所在不明による支給停止」です。

☆☆==========================================☆☆

死亡した被保険者の2人の子が遺族厚生年金の受給権者である場合に、その
うちの1人の所在が1年以上明らかでないときは、他の受給権者の申請に
よってその所在が明らかでなくなった時にさかのぼってその支給が停止さ
れるが、支給停止された者はいつでもその支給停止の解除を申請すること
ができる。

☆☆==========================================☆☆

「所在不明による支給停止」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==========================================☆☆

【 H30−国年5−ア 】
遺族基礎年金の受給権を有する子が2人ある場合において、そのうちの1人
の子の所在が1年以上明らかでないとき、その子に対する遺族基礎年金は、
他の子の申請によって、その申請のあった日の属する月の翌月から、その支給
を停止する。

【 H22−国年10−C[改題]】
遺族基礎年金の受給権者である配偶者の所在が1年以上明らかでないとき
は、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によって、申請した日の属する
月の翌月から、その支給が停止される。

【 R1−厚年7−D 】
配偶者に対する遺族厚生年金は、その配偶者の所在が1年以上明らかでない
ときは、遺族厚生年金の受給権を有する子の申請によって、申請の日からその
支給を停止する。

【 H28−厚年6−E 】
配偶者以外の者に対する遺族厚生年金の受給権者が2人いる場合において、
そのうちの1人の所在が1年以上明らかでない場合は、所在が不明である
者に対する遺族厚生年金は、他の受給権者の申請により、その申請のあった
日の属する月の翌月から、その支給が停止される。

【 H9−厚年2−E[改題]】
配偶者及び子が受給権を有する遺族厚生年金は、配偶者が受給する間は、
子に対する支給は停止となるが、配偶者の所在が1年間不明であった場合、
子による申請後の支給分からは子に対して支払われる。

【 H15−国年7−E 】
1年以上の所在不明によって遺族基礎年金の支給を停止された妻又は子は、
それぞれの支給停止につき、いつでもその解除の申請をすることができる。

☆☆==========================================☆☆

遺族基礎年金・遺族厚生年金の「所在不明による支給停止」に関する問題です。

遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給を受けることができる遺族が、もし所在
不明となってしまったら、その遺族に年金を支給することができません。
ただ、他に受給権者である遺族がいるのであれば、その遺族に支給することは
できます。
そこで、遺族が所在不明となった場合には、他の受給権者である遺族の申請に
より、所在不明となった遺族への年金の支給を停止して、他の遺族に、その
年金を支給します。
そして、このような場合、いつから、所在不明の遺族への支給を停止するのか
といえば、所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、支給を停止します。
申請をした時点では、すでに所在が不明になっているのですから、その時点で
はなく、所在不明となった時点までさかのぼります。

ということで、
「申請のあった日の属する月の翌月から」としている【 H30−国年5−ア 】
「申請した日の属する月の翌月から」としている【 H22−国年10−C[改題]】
「申請の日から」としている【 R1−厚年7−D 】
「申請のあった日の属する月の翌月から」としている【 H28−厚年6−E 】
「申請後の支給分から」としている【 H9−厚年2−E[改題]】
いずれも、誤りです。

【 R2−厚年8−B 】は、支給停止の解除申請についても含めた出題ですが、
支給停止については、「所在が明らかでなくなった時にさかのぼって」とあり、
正しいです。
支給停止の解除申請に関しては、【 H15−国年7−E 】でも出題されていて、
いつでも行うことができるので、【 R2−厚年8−B 】は、この点も正しく、
【 H15−国年7−E 】も正しいです。

この規定は、
遺族基礎年金と遺族厚生年金とで同じ仕組みで、どちらからも出題があり得る
ので、あわせて押さえておきましょう。

 

 

令和2年−厚年法問3−オ「障害厚生年金の失権」

  • 2021.06.24 Thursday
  • 05:00

今回は、令和2年−厚年法問3−オ「障害厚生年金の失権」です。

☆☆==========================================☆☆

障害等級3級の障害厚生年金の受給権者の障害の状態が障害等級に該当しなく
なったため、当該障害厚生年金の支給が停止され、その状態のまま3年が経過
した。その後、65歳に達する日の前日までに当該障害厚生年金に係る傷病に
より障害等級3級に該当する程度の障害の状態になったとしても、当該障害
厚生年金は支給されない。

☆☆==========================================☆☆

「障害厚生年金の失権」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==========================================☆☆

【 H21−厚年9−C 】
障害厚生年金の受給権は、障害等級3級以上の障害の状態に該当しなくなり、
そのまま65歳に達した日又は障害の状態に該当しなくなった日から起算して
そのまま該当することなく3年経過した日のどちらか早い日に消滅する。

【 H12−国年7−D 】
障害基礎年金の受給権は、厚生年金保険の障害等級3級に該当しない者が
65歳に達したとき、又はその障害等級3級に該当しなくなった日から該当
しないまま3年を経過したときのいずれか遅いほうが到達したとき消滅する。

【 H30−厚年4−ウ 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者であった者が、64歳の時点で障害
等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったために支給が停止
された。その者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しないまま
65歳に達したとしても、その時点では当該障害厚生年金の受給権は消滅
しない。

【 H27−厚年4−E 】
障害等級3級の障害厚生年金の支給を受けていた者が、63歳の時に障害
の程度が軽減したためにその支給が停止された場合、当該障害厚生年金
の受給権はその者が65歳に達した日に消滅する。

【 H14−国年1−E 】
63歳の障害基礎年金受給権者が、厚生年金保険法の障害等級1級から3級
までの程度に該当しなくなり、そのまま65歳に達したとき、その受給権
は消滅する。

【 H20−国年8−B 】
障害基礎年金の受給権者が63歳の時点で、厚生年金保険法に規定する障害
等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して3年
を経過していたときは、その時点で当該障害基礎年金の受給権が消滅する。

【 H17−国年3−D 】
障害の程度が厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級に該当しなく
なって、3年経過したときはすべて障害基礎年金の受給権は消滅する。

【 H19−国年2−D 】
61歳の障害基礎年金の受給権者であって国民年金法の規定による障害等級
に該当する程度の障害の状態に該当しなくなってから3年を経過した者に
ついては、障害の状態に該当しなくなってから3年を経過した日の翌日に
障害基礎年金の受給権は消滅する。

【 H26−国年7−B 】
障害基礎年金の受給権は、厚生年金保険の障害等級3級以上の障害状態にない
者が、その該当しなくなった日から、障害等級3級以上の障害状態に該当する
ことなく5年を経過したとき消滅する。ただし、5年を経過した日において
その者が65歳未満であるときを除く。

☆☆==========================================☆☆

障害基礎年金と障害厚生年金の失権事由は、同じです。
そのため、国民年金法、厚生年金保険法、それぞれから同じような内容の
出題があります。

そこで、障害基礎年金・障害厚生年金は、併合認定が行われれば、先発の
年金の受給権は消滅します。
年金の受給権をいくつも持たせておくというのは、管理するほうも大変です
から、併せて1つにしちゃうんですよね。
それと、受給権者が死亡したとき、これは、当然、もらう人がこの世にいなく
なるので、失権します。

これらの失権事由も出題されることがありますが、試験によく出るのは、もう
1つの失権事由です。障害状態に不該当となった場合です。
この障害状態というのは、厚生年金保険法に規定する障害等級3級以上の状態
で、この状態に該当しなくなった場合、失権要件の一部を満たすことになり
ます。
厳密にいえば、該当しなくなり、そのまま3年が経ったという場合です。
でも、該当しなくなって、そのくらいの期間で失権では、再発したらどうなる
んだという問題があるので、65歳までは失権させないのです。
65歳になれば、老齢基礎年金がもらえるようになるので、障害基礎年金や
障害厚生年金がなくても大丈夫ってことになりますから。
つまり、障害状態に該当しなくなり3年が経ったというのと65歳になった
というのと、比べて、遅いほうで失権です。

【 H21−厚年9−C 】では、「どちらか早い日」としているので、誤りです。
【 H12−国年7−D 】は、正しいです。
【 H30−厚年4−ウ 】、【 H27−厚年4−E 】と【 H14−国年1−E 】
では、具体的な年齢を挙げていますが、いずれも65歳に達した時点では、
3年を経過していないので、失権はしません。
ですので、【 H30−厚年4−ウ 】は正しいですが、【 H27−厚年4−E 】
と【 H14−国年1−E 】は誤りです。

【 R2−厚年3−オ 】は、3年が経過しているけれど、65歳に達する日
の前日までなので、失権はしていない状況です。しかし、「支給されない」と
あるので、誤りです。

【 H20−国年8−B 】は、「63歳の時点で・・・受給権は消滅する」とあり
ますが、63歳の時点では失権しないので、誤りです。

【 H17−国年3−D 】は、「3年経過したときはすべて」とありますが、それ
だけでは失権しないので、誤りです。

【 H19−国年2−D 】は、3年経過したときに65歳になっていませんよね。
なので、この場合は失権しません。誤りです。
それと、この問題・・・「国民年金法の規定による障害等級に該当する程度の
障害の状態に該当しなくなって」とあります。
国民年金法の規定による障害等級は1級と2級です。そのため、これらに該当し
なくても、もし3級に該当しているのであれば、1級又は2級に不該当となって
何年経過したとしても、失権しませんので。
この点も、注意です。

【 H26−国年7−B 】は、単純に「3年」が「5年」となっているので、
誤りです。

同じ論点の問題って、文章そのものも同じようなものが出てくることって多いん
ですが、障害基礎年金・障害厚生年金の失権に関する論点は、文章が、その都度、
違っているんですよ。
でも、その内容は同じですから、ちゃんと理解しておけば、確実に得点に結びつく
はずです。

 

 

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