令和4年−厚年法・問10−D「障害厚生年金の額」

  • 2023.08.23 Wednesday
  • 04:00

 

今回は、令和4年−厚年法・問10−D「障害厚生年金の額」です。

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障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の例により計算した額と
なるが、被保険者期間については、障害認定日の属する月の前月までの被保険者
期間を基礎とし、計算の基礎となる月数が300に満たないときは、これを300
とする。

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「障害厚生年金の額」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H18−2−A 】
障害厚生年金の額については、老齢厚生年金の額の規定の例により計算した
額とし、当該障害年金の支給事由となった障害に係る初診日の属する月後に
おける被保険者であった期間は計算の基礎としないが、被保険者期間の月数
が300に満たないときは300として計算する。

【 H22−5−E 】
障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害
に係る障害認定日の属する月の前月までの被保険者であった期間を、その
計算の基礎とする。

【 H15−7−A 】
障害厚生年金の額の計算においては、当該障害厚生年金の支給事由となっ
た障害認定日の属する月の翌月以降における被保険者期間は含めない。

【 H11−7−B 】
障害厚生年金の額については、当該障害年金の支給事由となった障害に
係る障害認定日の属する月の前月までを計算の基礎とする。ただし、当該
障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満た
ない場合を除く。

【 H29−7−E 】
傷病に係る初診日が平成27年9月1日で、障害認定日が平成29年3月
1日である障害厚生年金の額の計算において、平成29年4月以後の被保
険者期間はその計算の基礎としない。なお、当該傷病以外の傷病を有しな
いものとする。

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「障害厚生年金の額」に関する問題です。
障害厚生年金の額を計算する際の被保険者期間、これが論点です。

まず、【 H18−2−A 】では、「障害に係る初診日の属する月後における
被保険者であった期間は計算の基礎としない」としています。
つまり、「初診日の属する月」まで含めるといっています。
これに対して、
【 R4−10−D 】、【 H22−5−E 】、【 H15−7−A 】、【 H11−7−B 】
では「障害認定日」という言葉が出てきます。
【 H15−7−A 】では「障害認定日の属する月の翌月以降における被保険者
期間は含めない」とあり、
【 R4−10−D 】、【 H22−5−E 】、【 H11−7−B 】では「障害認定日
の属する月の前月まで・・・計算の基礎とする」とあります。
この4問では、障害認定日の属する月を含めるかどうかという点で異なって
います。

正しいのは、【 H15−7−A 】です。

障害認定日の属する月後における被保険者であった期間は含めません。
障害認定日の属する月までを計算の基礎とします。

障害認定日、この日に障害等級に該当する障害状態であれば、受給権が発生
することになるので、そこまでは含めますってことです。
初診日の段階では、支給されるかどうか、未確定ですからね。


それと、【 H29−7−E 】は、年金額の計算の基礎となる期間について
具体的に出題したものです。
前述のとおり、障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の
属する月後における被保険者であった期間は、障害厚生年金の額の計算の
基礎としないので、障害認定日が平成29年3月1日であれば、当該3月まで
を計算の基礎として、平成29年4月以後の被保険者期間は計算の基礎としま
せん。正しいです。

このような具体的な出題もあるので、具体的な出題にも対応できるように
しておきましょう。

 

令和4年−厚年法・問9−E「配偶者に係る加給年金額」

  • 2023.08.18 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和4年−厚年法・問9−E「配偶者に係る加給年金額」です。

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加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給者である夫について、その
加算の対象となっている妻である配偶者が、老齢厚生年金の計算の基礎となる
被保険者期間が240月以上となり、退職し再就職はせずに、老齢厚生年金の
支給を受けることができるようになった場合、老齢厚生年金の受給者である
夫に加算されていた加給年金額は支給停止となる。

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「配偶者に係る加給年金額」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H28−5−B 】
加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その加算の対象となる配偶
者が老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、加給年金額
の部分の支給が停止されるが、この支給停止は当該配偶者の老齢厚生年金の
計算の基礎となる被保険者期間が300か月以上の場合に限られる。

【 H22−2−E[改題]】
老齢厚生年金の加給年金については、加算が行われている配偶者が、その額の
計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月以上である老齢厚生年金の
支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について加算する額に
相当する部分の支給を停止する。

【 H16−6−E 】
老齢厚生年金に加算される配偶者の加給年金額は、配偶者自身が老齢厚生年金
の年金たる給付を受けることができても、被保険者期間の月数が240月未満
であれば停止されることはない。

【 H26−5−C 】
加給年金額の対象となる配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給して
いる場合であっても、加給年金額は支給停止されない。

【 R3−8−D 】
老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となる配偶者が、障害等級
1級若しくは2級の障害厚生年金及び障害基礎年金を受給している間、
当該加給年金額は支給停止されるが、障害等級3級の障害厚生年金若しく
は障害手当金を受給している場合は支給停止されることはない。

【 H28−5−A 】
配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その対象と
なる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者
については65歳に達したものとみなされ、加給年金額に相当する部分が支給
されなくなる。

【 H15−3−A 】
加給年金額の対象となる配偶者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受けている
場合であっても、当該配偶者に係る加給年金額は支給停止されない。

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「加給年金額」に関する問題です。

老齢厚生年金の受給権者に生計を維持する配偶者や子がいる場合、本来の
年金額では必ずしも生活を営むために十分ではないということが考えられ
ます。
そこで、本来の年金額に加算を行うのが加給年金額です。

そのため、配偶者が、それなりの額の年金の支給を受けられるのであれば、
加給年金額を加算するほどの所得保障を行う必要性に欠けるといえるので、
次の年金給付を受給できるときは、配偶者の加給年金額は支給停止されます。
(1) 老齢厚生年金(被保険者期間の月数が240〔中高齢者の特例に該当する
 ときは、生年月日に応じて定められた期間〕以上)
(2) 障害基礎年金、障害厚生年金
(3) その他の年金たる給付のうち、老齢もしくは退職又は障害を支給事由と
 する給付であって政令で定めるもの

【 H28−5−B 】では、「配偶者の老齢厚生年金の計算の基礎となる被保
険者期間が300か月以上の場合に限られる」とありますが、(1)にあるよう
に、「240月」以上の場合に支給が停止されるので、誤りです。

【 R4−9−E 】と【 H22−2−E[改題]】は、正しいです。

【 H16−6−E 】では、「240月未満」とあるので、通常、支給停止はされ
ませんが、「停止されることはない」とあり、例外なく、支給停止されること
はない表現になっています。

配偶者が「中高齢者の特例」に該当するのであれば、その被保険者期間の月数
が240月とみなされるので、この場合は支給停止となります。
ですので、誤りです。

【 H26−5−C 】では「配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給して
いる」とあり、【 R3−8−D 】では「障害等級3級の障害厚生年金若しく
は障害手当金を受給している」とありますが、障害等級3級であっても、障害
厚生年金の額は、加給年金額が加算されないだけであって、障害等級2級と
同額です。
ということは、加算の必要性に欠けるといえ、支給停止の対象となるので、
「支給停止されない」・「支給停止されることはない」というのは誤りです。

最後の2問の【 H28−5−A 】と【 H15−3−A 】は、配偶者が繰上げ
支給の老齢基礎年金を受けている場合です。繰上げ支給の老齢基礎年金を受け
ると、65歳に達していると扱われることがありますが、この加給年金額の規定
においては、そのような扱いをしません。
そのため、配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていたとしても、加給
年金額が加算されなくなったり、支給が停止されたりすることはありません。

ということで、【 H28−5−A 】は誤りで、【 H15−3−A 】は正しいです。

加給年金額は、どのような場合に支給が調整されるのか、いろいろな
パターンで出題されているので、調整される場合、調整されない場合、
整理しておきましょう。

 

令和4年−厚年法・問3−A「被保険者期間の算定」

  • 2023.07.28 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和4年−厚年法・問3−A「被保険者期間の算定」です。

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甲は、昭和62年5月1日に第3種被保険者の資格を取得し、平成元年11月
30日に当該被保険者資格を喪失した。甲についての、この期間の厚生年金保険
の被保険者期間は、36月である。

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「被保険者期間の算定」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H9−5−B 】
旧法の厚生年金保険法に規定する第三種被保険者であった期間の被保険者
期間の計算は、昭和61年4月1日前の加入期間を5分の6倍して行う。

【 H12−5−D 】
昭和61年4月1日前の旧船員保険法による船員保険の被保険者であった期間
は、実際の被保険者期間に3分の4を乗じた期間をもって厚生年金保険の
被保険者期間とする。

【 H12−5−C 】
昭和61年4月1日から平成3年3月31日まで第三種被保険者であった期間
は、実際の期間に5分の6を乗じた期間をもって厚生年金保険の被保険者
期間とする。

【 H15−1−A 】
昭和61年4月1日から平成3年3月31日まで第三種被保険者であった者
の被保険者期間は、実期間を5分の6倍して計算される。

【 H25−選択 】
厚生年金保険法に規定する第3種被保険者の被保険者期間については、昭和
61年4月1日から( A )4月1日前までの被保険者期間について、当該
第3種被保険者であった期間に( B )を乗じて得た期間をもって厚生年金
保険の被保険者期間とする。

【 H20−5−D 】
昭和61年4月1日に第3種被保険者の資格を取得し、平成2年11月30日に
当該資格を喪失した者については、66月をもって、この期間の厚生年金保険
の被保険者期間とされる。

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「被保険者期間の算定の特例」に関する問題です。
現実の期間をそのまま被保険者期間とするのではなく、プラスアルファした
期間にしましょうという規定ですが、規定そのものは、難しくはないですよね。
そこで、
【 H9−5−B 】:誤り。
「5分の6倍」ではなく、「3分の4倍」です。
【 H12−5−D 】:正しい。
旧船員保険法による船員保険の被保険者であった期間は、旧厚生年金保険法
の第3種被保険者であった期間と同様の取扱いをします。
【 H12−5−C 】:正しい。
【 H15−1−A 】:正しい。
この間が「5分の6倍」です。「3分の4倍」は廃止することにしたけど、
5年間は経過的に「5分の6倍」にしたというものです。

ですので、【 H25−選択 】の答えは、
A:平成3年
B:5分の6
です。

【 H20−5−D 】と【 R4−3−A 】は、応用問題で、具体的な期間を
計算する必要があります。
【 H20−5−D 】の場合、昭和61年4月から平成2年10月までの期間は
4年7か月(55月)です(11月は被保険者期間には入りませんからね)。
で、この期間、第3種被保険者期間ですので、5分の6倍することになり、
55月×5分の6=66月となります。正しいです。
【 R4−3−A 】の場合、昭和62年5月から平成元年(昭和64年相当)
10月までの30か月で、これを5分の6倍した36か月が被保険者期間はと
なります。正しいです。

単純に、「3分の4倍」なのか、「5分の6倍」なのかと問われるのであれば、
簡単ですが、いざ計算をしろということになると、ちょっと焦ってしまうかも
しれません。でも、難しい計算ではありませんから、落ち着いて、正確に計算
しましょう。

ちなみに、この特例は、坑内員と船員は、労働が過酷かつ危険であり、引退
年齢(長期間の就業が困難なので)も早く、また、保険料率が一般の労働者
よりも高く設定されていたことなどから設けられたものですが、船上や炭鉱
内の労働もその後機械化が進み、さほど大変でもなくなったため、新法になっ
た際に廃止することとしました。
しかし、突然廃止するのは激変ですから、改正時の参議院修正において、経過
措置を設けました。
この経過措置が、5年間に限定し、その間は「5分の6倍する」というもの
です。

 

令和3年−厚年法問10−B「障害手当金」

  • 2022.08.26 Friday
  • 04:00


今回は、令和3年−厚年法問10−B「障害手当金」です。

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第1号厚生年金被保険者期間中の60歳の時に業務上災害で負傷し、初診日から
1年6か月が経過した際に傷病の症状が安定し、治療の効果が期待できない状態
(治癒)になった。その障害状態において障害手当金の受給権を取得することが
でき、また、労災保険法に規定されている障害補償給付の受給権も取得すること
ができた。この場合、両方の保険給付が支給される。

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「障害手当金」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H28−2−A 】
障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、当該障害手当金に係る傷病と同一
の傷病により労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付を受ける権利を有する
場合には、その者には障害手当金が支給されない。

【 H25−10−A 】
障害手当金は、障害の程度を定めるべき日において、当該障害の原因となった傷病
について労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を有する者には支給され
ないが、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有する
者には支給される。

【 R1−10−ウ 】
障害厚生年金の支給を受けている者が、当該障害厚生年金の支給要件となった
傷病とは別の傷病により、障害手当金の支給を受けられる程度の障害の状態に
なった場合は、当該障害厚生年金と当該障害手当金を併給することができる。
なお、当該別の傷病に係る初診日が被保険者期間中にあり、当該初診日の前日
において、所定の保険料納付要件を満たしているものとする。

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「障害手当金」に関する問題です。

障害手当金は、その支給要件を満たしたとしても、他に安定した所得保障として
の給付が行われているのであれば、その支給の必要性に欠けるという観点から、
支給をしないようにしています。
ですので、障害手当金に係る障害の程度を定めるべき日において、同一の傷病
について労災保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有する者には、
障害手当金は支給されません。
ということで、【 H28−2−A 】は正しいですが、
【 R3−10−B 】と【 H25−10−A 】は「支給される」とあるので、
誤りです。

なお、障害手当金が支給されないのは「同一の傷病」により労災保険法の規定に
よる障害(補償)等給付を受ける権利を有する場合で、異なる傷病によるもので
あれば制限されません。

この点、【 R1−10−ウ 】では、障害厚生年金の支給を受けている者について、
「別の傷病」とあります。
障害厚生年金の場合、労災保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有す
る場合とは違っていて、厚生年金保険法による年金たる保険給付の受給権者(最後
に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害
状態に該当することなく3年を経過した受給権者〔現に障害状態に該当しない者
に限ります〕を除きます)等であるときは、同一の傷病によるものであるか否か
を問わず、障害手当金を支給しないようにしています。
したがって、【 R1−10−ウ 】は誤りです。
支給されないのは、「同一の傷病」の場合に限られるのか、「別の傷病」も含まれ
るのか、この違い注意しておきましょう。

 

 

令和3年−厚年法問8−D「配偶者に係る加給年金額」

  • 2022.08.19 Friday
  • 04:00


今回は、令和3年−厚年法問8−D「配偶者に係る加給年金額」です。

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老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となる配偶者が、障害等級1級
若しくは2級の障害厚生年金及び障害基礎年金を受給している間、当該加給
年金額は支給停止されるが、障害等級3級の障害厚生年金若しくは障害手当金
を受給している場合は支給停止されることはない。

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「配偶者に係る加給年金額」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H28−5−B 】
加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その加算の対象となる配偶者
が老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、加給年金額の
部分の支給が停止されるが、この支給停止は当該配偶者の老齢厚生年金の計算
の基礎となる被保険者期間が300か月以上の場合に限られる。

【 H22−2−E[改題]】
老齢厚生年金の加給年金については、加算が行われている配偶者が、その額の
計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月以上である老齢厚生年金の
支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について加算する額に
相当する部分の支給を停止する。

【 H16−6−E 】
老齢厚生年金に加算される配偶者の加給年金額は、配偶者自身が老齢厚生年金
の年金たる給付を受けることができても、被保険者期間の月数が240月未満
であれば停止されることはない。

【 H26−5−C 】
加給年金額の対象となる配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給している
場合であっても、加給年金額は支給停止されない。

【 H28−5−A 】
配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その対象となる
配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者について
は65歳に達したものとみなされ、加給年金額に相当する部分が支給されなくなる。

【 H15−3−A 】
加給年金額の対象となる配偶者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受けている場合
であっても、当該配偶者に係る加給年金額は支給停止されない。

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「加給年金額」に関する問題です。

老齢厚生年金の受給権者に生計を維持する配偶者や子がいる場合、本来の年金
額では必ずしも生活を営むために十分ではないということが考えられます。
そこで、本来の年金額に加算を行うのが加給年金額です。

そのため、配偶者が、それなりの額の年金の支給を受けられるのであれば、加給
年金額を加算するほどの所得保障を行う必要性に欠けるといえるので、次の年金
給付を受給できるときは、配偶者の加給年金額は支給停止されます。
(1) 老齢厚生年金(被保険者期間の月数が240〔中高齢の期間短縮措置に該当する
 ときは、その期間〕以上)
(2) 障害基礎年金、障害厚生年金
(3) その他の年金たる給付のうち、老齢もしくは退職又は障害を支給事由とする
 給付であって政令で定めるもの

【 H28−5−B 】では、「配偶者の老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者
期間が300か月以上の場合に限られる」とありますが、(1)にあるように、「240月」
以上の場合に支給が停止されるので、誤りです。

【 H22−2−E[改題]】は、正しいです。

【 H16−6−E 】では、「240月未満」とあるので、通常、支給停止はされま
せんが、「停止されることはない」とあり、例外なく、支給停止されることはない
表現になっています。

配偶者が「中高齢の期間短縮措置」に該当するのであれば、その被保険者期間の
月数が240月とみなされるので、この場合は支給停止となります。
ですので、誤りです。

【 H26−5−C 】では「配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給している」
とあり、【 R3−8−D 】では「障害等級3級の障害厚生年金若しくは障害手当
金を受給している」とありますが、障害等級3級であっても、障害厚生年金の額は、
加給年金額が加算されないだけであって、障害等級2級と同額です。
ということは、加算の必要性に欠けるといえ、支給停止の対象となるので、「支給
停止されない」・「支給停止されることはない」というのは誤りです。

【 H28−5−A 】と【 H15−3−A 】は、配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金
を受けている場合です。繰上げ支給の老齢基礎年金を受けると、65歳に達している
と扱われることがありますが、この加給年金額の規定においては、そのような扱いを
しません。
そのため、配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていたとしても、加給年金額が
加算されなくなったり、支給が停止されたりすることはありません。

ということで、【 H28−5−A 】は誤りで、【 H15−3−A 】は正しいです。

加給年金額は、どのような場合に支給が調整されるのか、いろいろなパターンで
出題されているので、調整される場合、調整されない場合、整理しておきましょう。

 

 

令和3年−厚年法問4−イ「障害厚生年金の併給の調整」

  • 2022.08.12 Friday
  • 04:00


今回は、令和3年−厚年法問4−イ「障害厚生年金の併給の調整」です。

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厚生年金保険法第48条第2項の規定によると、障害等級2級の障害厚生年金の
受給権者が、更に障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたこと
により、同法第48条第1項に規定する前後の障害を併合した障害の程度による
障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の支給は停止する
ものとされている。

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「障害厚生年金の併給の調整」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H27−4−C 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き
障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする。)について、
更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、
前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給され、従前の障害
厚生年金の受給権は消滅する。

【 H29−5−D 】
障害厚生年金の受給権を取得した当時は障害等級2級に該当したが、現在は
障害等級3級である受給権者に対して、新たに障害等級2級の障害厚生年金
を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による
障害厚生年金を支給することとし、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

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「併合認定」に関する問題です。

併合認定は、複数の障害厚生年金を「併せて1つの年金」とするというもので、
複数の障害厚生年金の受給権を持たせないようにするものです。
つまり、併合した場合、先発の障害厚生年金の受給権を消滅させてしまいます。
ですので、「支給は停止する」としている【 R3−4−イ 】は、誤りです。

【 H27−4−C 】は「受給権は消滅する」としていますが、論点は違っていて、
「併合認定」の対象となるかどうかという点です。
併合認定は、権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当し
ない程度の障害の状態(引き続き3級以下の状態)にある受給権者に係る障害
厚生年金は対象となりません。
障害状態が障害等級3級以下であれば、基準障害による障害厚生年金の対象と
なります。
ただ、現在は障害等級3級の障害状態であっても、障害等級の1級又は2級に
該当したことがあるのであれば、対象となります。
【 H27−4−C 】は、「障害等級1級又は2級に該当したことはなかった」
とあるので、併合認定は行われず、従前の障害厚生年金の受給権が消滅すること
もありません。誤りです。
なお、【 H27−4−C 】の場合、基準障害による障害厚生年金の対象となり
得ますが、そうであれば、従前の障害厚生年金の受給権は消滅しません。
【 H29−5−D 】は、正しいです。

基準障害による障害厚生年金、併合認定、その他障害による年金額の改定、
これらは紛らわしい点があるので、その違い、しっかりと確認しておきま
しょう。

 

 

令和3年−厚年法問3−E「脱退一時金の額」

  • 2022.07.29 Friday
  • 04:00


今回は、令和3年−厚年法問3−E「脱退一時金の額」です。

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脱退一時金の額の計算に当たっては、平成15年3月31日以前の被保険者期間に
ついては、その期間の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額を使用する。

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「脱退一時金の額」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H18−4−D 】
厚生年金保険の被保険者であった期間の全部又は一部が平成15年4月1日前
である者に支給する脱退一時金につき、その額を計算する場合においては、同日
前の被保険者期間の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額並びに同日以後
の被保険者期間の各月の標準報酬月額及び標準賞与額を合算して得た額を、被
保険者期間の月数で除して得た額に、被保険者であった期間に応じて、支給率を
乗じて得た額とする。

【 H21−6−B 】
被保険者期間に平成15年4月1日前の被保険者期間がある場合の厚生年金保険
の脱退一時金の額を計算する場合においては、同日前の被保険者期間の各月の
標準報酬月額に1.3を乗じて得た額並びに同日以後の被保険者期間の各月の標準
報酬月額及び標準賞与額を合算して得た額を、被保険者期間の月数で除して得た
額に、被保険者であった期間に応じて、支給率を乗じて得た額とする。

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「脱退一時金の額」に関する問題です。

脱退一時金の額は、被保険者であった期間に応じて、その期間の平均標準報酬
額に支給率を乗じて得た額です。
この「平均標準報酬額」について、被保険者であった期間の全部又は一部が平成
15年4月1日前にある場合は、平成15年4月1日前と平成15年4月1日以後
で、その扱いが異なります。
これは、平成15年4月より総報酬制(毎月の給与に加えボーナスからも保険料
を負担し、将来の給付にも反映させる仕組み)が導入されたためで、その前の期間
に係る標準報酬月額を総報酬制導入後の価額に換算するため、「各月の標準報酬
月額に1.3を乗じて得た額」とします。
つまり、平均標準報酬額の算定において、
(1) 平成15 年4月1日前の被保険者期間については、「各月の標準報酬月額×1.3
 の合算額」
(2) 平成15年4月1日以後の被保険者期間については、「各月の標準報酬月額及び
 標準賞与額の合算額」
を用います。

ということで、3問とも正しいです。

ちなみに、「1.3」というのは、月給1年分とボーナスの割合が10:3と想定した
ためで、ボーナスが含まれていなかった当時のものを1.3倍することで、含まれて
いたとしたらという額に換算したのです。
 

 

令和3年−厚年法問2−E「高齢任意加入被保険者の資格喪失の届出」

  • 2022.07.22 Friday
  • 04:00


今回は、令和3年−厚年法問2−E「高齢任意加入被保険者の資格喪失の届出」
です。

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老齢厚生年金の受給権を取得することにより、適用事業所に使用される高齢任意
加入被保険者が資格を喪失した場合には、資格喪失の届出は必要ない。

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「高齢任意加入被保険者の資格喪失の届出」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H21−2−B 】
適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者が、老齢基礎年金
の受給権を取得したために当該被保険者の資格を喪失したときは、当該高齢
任意加入被保険者の資格喪失の申請書を提出しなくてもよい。

【 H27−2−B 】
適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者が、老齢基礎年金
の受給権を取得したために資格を喪失するときは、当該高齢任意加入被保険者
の資格喪失届を提出する必要はない。

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高齢任意加入被保険者となるための要件の1つとして、
「老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給
事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないこと」
があります。
そのため、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を得たので
あれば、その資格を喪失します。
この場合に何らかの届出が必要かどうかというのが、これらの問題の論点です。

高齢任意加入被保険者が老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を
得たということは、実施主体が、それを把握しているので、わざわざ届出をして
もらう必要はありません。
つまり、資格喪失届の提出など資格喪失に関する手続は必要ありません。
これは、適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者であっても、適用事業所
以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者であっても同じです。
ということで、いずれの問題も正しいです。

資格喪失に関する手続が必要ない場合として、適用事業所に使用される高齢任意
加入被保険者であれば、保険料(初めて納付すべき保険料を除きます)を滞納し、
督促状の指定の期限までに、その保険料を納付しないことにより資格を喪失した
とき等もあるので、今後、受給権の取得以外の場合を出題してくることもあり得え
ます。
どのような場合、資格喪失に関する手続が必要ないのか、確認しておきましょう。

 

 

令和3年−厚年法問1−A「中高齢の寡婦加算」

  • 2022.07.08 Friday
  • 04:00


今回は、令和3年−厚年法問1−A「中高齢の寡婦加算」です。

☆☆======================================================☆☆

夫の死亡により、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期
要件に該当する遺族厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が
240以上であるものとする。)の受給権者となった妻が、その権利を取得した
当時60歳であった場合は、中高齢寡婦加算として遺族厚生年金の額に満額の
遺族基礎年金の額が加算されるが、その妻が、当該夫の死亡により遺族基礎年金
も受給できるときは、その間、当該加算される額に相当する部分の支給が停止
される。

☆☆======================================================☆☆

「中高齢の寡婦加算」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H17−7−A 】
遺族厚生年金に加算される中高齢の寡婦加算の額は、生年月日等にかかわらず
老齢基礎年金の額の4分の3相当額であり、経過的寡婦加算の額は中高齢寡婦
加算の額から老齢基礎年金の満額にその妻の生年月日に応じた率を乗じて得た
額を控除した額である。

【 H15−4−D 】
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算額は、老齢基礎年金の年金額の3分の2に相当
する額になっている。

【 H29−選択 】
遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の額は、国民年金法第38条に規定
する遺族基礎年金の額に( B )を乗じて得た額(その額に50円未満の端数
が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、
これを100円に切り上げるものとする。)として算出される。

【 H21−5−D 】
遺族厚生年金の受給権者である妻で一定の要件を満たす者に加算される中高齢
寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出されるが、経過的寡婦
加算の額は、当該妻の生年月日にかかわらず、一定の金額とされている。

【 H4−9−D 】
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算額(子のない妻が40歳から65歳未満になる
までの間に加算される額)は、65歳までとなっており、65歳以降は、その
加算額と老齢基礎年金との差額が遺族厚生年金に加算される。

【 H8−3−B[改題]】
厚生年金保険の被保険者期間を25年以上有する夫が死亡したことにより支給
される遺族厚生年金は、夫の死亡当時、40歳以上65歳未満で子のない妻には、
その者が40歳以上65歳未満である間、遺族厚生年金の額に583,400円が加算
される。

【 H15−10−A[改題]】
遺族厚生年金に加算される経過的寡婦加算額は、妻の生年月日が昭和31年4月
1日以前であるときは、生年月日に応じて最低33,100円から最高583,400円
までの額として加算される。

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中高齢の寡婦加算の額と経過的寡婦加算の額の問題です。
出題頻度は、それほど高いわけではないのですが、これらに関する問題は、
けっこう嫌なところを突いてくるんですよ。

それでは、まず、【 H17−7−A 】、これは誤りです。
「老齢基礎年金の額の4分の3」とありますが、「遺族基礎年金の額の4分の3」
です。このような箇所は、見逃しがちです。

【 H15−4−D 】も「老齢基礎年金の年金額」とありますが、こちらは
「3分の2」としている点も誤りですから、まだ正誤の判断がしやすい問題です。
「老齢基礎年金」という誤りの作り方、中高齢の寡婦加算って、遺族基礎年金が
支給される人とそうではない人との格差是正という考えで支給されるというこ
とがわかっていれば、額の計算の基礎は遺族基礎年金だってことで見つけられる
はずですが・・・実際、解いてみるとね。

【 R3−1−A 】は、「満額の遺族基礎年金の額」としていますが、そうでは
ないので、誤りです。

【 H29−選択 】の答えは、「4分の3」です。
これら2問は、確実に正解しないといけないレベルです。

次の【 H21−5−D 】は・・・【 H17−7−A 】と比べてみて下さい。
【 H21−5−D 】では、「中高齢寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じ」、
「経過的寡婦加算の額は、当該妻の生年月日にかかわらず、一定の金額」として
います。【 H17−7−A 】とまったく逆のことをいっています。
誤りです。

経過的寡婦加算というのは、強制加入期間が30年未満の妻(昭和31年4月1日
以前生まれ)が65歳以降において、中高齢の寡婦加算の額より低額の老齢基礎
年金を受けることになってしまうことがあり得るので、年金額の低下を防止する
ために支給しようというものです。
そのため、生年月日に応じて支給額が異なっています。
【 H21−5−D 】は、誤りです。

【 H4−9−D 】は、実は正しい肢として出題されたのです!
経過的寡婦加算の額、「加算額と老齢基礎年金との差額」なんて表現、
厳密には正しくないです。それに生年月日の要件も記述がないし・・・
年金系の問題は、このように曖昧でも正しいと判断しなければという問題、
ときどきあるので、5肢から正答を見つける力が重要になります。

【 H8−3−B[改題]】は、正しい問題です。加算額は現在のもの
(令和4年度価額)に改題していますが。
ただ、この問題は、加算額そのものは論点ではありませんので。

では、【 H15−10−A[改題]】といえば、加算額が論点です。それも微妙な違い。
「33,100円」から583,400円とありますが、「19,495円」から583,400円なので
誤りです。

そこで、このような金額って細かく覚えておく必要があるかというと、意外とそう
でもないのです。
大まかな年金額とか加算額とかを知っていたとします・・・
「33,100円」って、特別加算に出てくる額では?と推測できませんか。
つまり、100円、200円違えて誤りにしたというのではなく、まったく違う金額
を持ってきて、置き換えて、誤りにした問題です。
年金額や加算額の出題、誤りの場合は、このように明らかに別の金額を持ってくる
って手法ですからね。
100円やそこらの違いまで細かく覚えていなくとも、正誤の判断ができるはずです。

しかし、最初にもいいましたが、嫌な論点が多いので、出題されたら細心の注意を
払ってください。
 

 

令和3年−厚年・選択「適用事業所の一括」

  • 2021.09.24 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和3年−厚年・選択「適用事業所の一括」です。

☆☆======================================================☆☆

厚生年金保険法第8条の2第1項の規定によると、2以上の適用事業所( ( D )
を除く。)の事業主が同一である場合には、当該事業主は、( E )当該2以上の
事業所を1の事業所とすることができるとされている。

☆☆======================================================☆☆

「適用事業所の一括」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H17−厚年2−C[改題]】
同一の事業主による二以上の適用事業所(船舶を除く。)は厚生労働大臣の承認を
受けて一の適用事業所となることができるが、この承認があったときは、当該二
以上の事業所は適用事業所ではなくなったとみなされる。

【 H25−厚年5−D 】
2以上の適用事業所(船舶を除く。)の事業主が同一である場合には、当該事業主
は、厚生労働大臣に届け出れば、当該2以上の事業所を1つの適用事業所とする
ことができる。

【 H9−厚年−記述 】
2以上の適用事業所(( D )を除く。)の事業主が同一である場合には、当該
事業主は、( E )の承認を受けて、当該2以上の事業所を一の適用事業所と
することができる。

【 H30−厚年1−A 】
2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶を1つの
適用事業所とすることができる。このためには厚生労働大臣の承認を得なければ
ならない。

【 H25−厚年5−E 】
2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶は、1つ
の適用事業所とする。この場合において、当該2以上の船舶は、厚生年金保険法
第6条に定める適用事業所でないものとみなす。

【 H11−厚年10−B 】
二以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該二以上の船舶は、一の
適用事業所とするが、この場合、当該二以上の船舶についても、それぞれ厚生
年金保険法第6条の適用事業所とみなす。

【 H9−厚年1−D 】
一括適用事業所として承認された会社内で、A県の工場からB県の工場へ転勤
したときは、A県で被保険者資格を喪失し、B県で新たに資格を取得する。この
場合は、資格喪失日と取得日が同日付となる。

【 H17−健保2−C 】
二以上の適用事業所の事業主が同一であって、当該事業主が厚生労働大臣の
承認を受けて、当該二以上の事業所を一の適用事業所としている場合であって
も、一括適用となっている二以上の事業所の従業員である被保険者が都道府県
をまたいで転勤したときは、被保険者資格の取得・喪失の手続きが必要である。

☆☆======================================================☆☆

「適用事業所の一括」に関する問題です。

厚生年金保険の適用は、事業所を単位にしています。つまり、事業所ごとに適用
します。
ただ、事業主の事務処理の便宜などを考慮して、同一事業主の適用事業所であれば、
まとめて1つの適用事業所とすることができます。
で、この扱いは例外ですから、当然に行われるものではなく手続が必要となります。
その手続、単に届け出るということでは、認められません。
厚生労働大臣の承認が必要となります。
ですから、【 H17−厚年2−C[改題]】は正しく、【 H25−厚年5−D 】は誤り
です。

この手続に関して、船舶は一般の事業所と異なっています。
そのため、これらの問題文に「船舶を除く」とあります。
船舶は、そもそも船員保険法で適用を受けていたという経緯があるので、それを
引き継ぎ、一般の事業所とは異なる扱いをしているのです。
船舶の場合、特段の手続をすることなく、一括されます。
この点、【 H30−厚年1−A 】は、「厚生労働大臣の承認を得なければなら
ない」としているので、誤りです。

そこで、一括された場合ですが、すべての事業所をまとめて1つの適用事業所
とします。つまり、個々の事業所は適用事業所ではなくなります。
この点は、船舶も同一です。
現実的にいえば、ある企業の所有する船舶は、全部で1つの適用事業所として
しまいますということです。
したがって、【 H25−厚年5−E 】は正しいのですが、【 H11−厚年10−B 】
の後段部分は誤りです。
全部まとめて1つの事業所なので、個々の船舶については、適用事業所とは
扱いません。
ちなみに、労働保険徴収法の継続事業の一括は、ある1つの事業に保険関係を
集約するという考え方を採っているので、「一括」といっても、考え方が違い
ます。

【 H9−厚年−記述 】の答えは、
D:船舶  
E:厚生労働大臣 
です。

【 R3−厚年−選択 】の答えは、
D:船 舶
E:厚生労働大臣の承認を受けて、 
です

【 H9−厚年1−D 】と【 H17−健保2−C 】は、一括適用に関する応用
問題ですが、いずれも誤りです。
厚生年金保険も健康保険も同じ考え方で、一括された場合、現実には転勤で
異なる事業所へ異動したことになっても、法律上、同じ事業所内の異動にしか
ならないので、どんなに遠くの事業所へ転勤しても、資格の取得や喪失の手続は
必要ありません。
「全部で1つ」という考えがわかっていれば、大丈夫ですね。

 

 

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