平成29年−労基法問6−D「賃金全額払」

今回は、平成29年−労基法問6−D「賃金全額払」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


賃金の過払を精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から控除する
ことは、「その額が多額にわたるものではなく、しかもあらかじめ労働者にその
ことを予告している限り、過払のあつた時期と合理的に接着した時期において
されていなくても労働基準法24条1項の規定に違反するものではない。」とする
のが、最高裁判所の判例である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「賃金全額払」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 

 

☆☆======================================================☆☆

 

 

【 18−2−B 】

 

最高裁判所の判例によると、労働基準法第24条第1項本文の定めるいわゆる
賃金全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除すること
を禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を
脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、
使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを
禁止する趣旨をも包含するものであるが、労働者がその自由な意思に基づき当該
相殺に同意した場合においては、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされた
ものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該同意
を得てした相殺は当該規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当で
ある、とされている。

 


【 25−7−エ 】

 

いわゆる全額払の原則の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、
もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすこと
のないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるとするのが、
最高裁判所の判例である。

 


【 26−3−オ 】

 

労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者の
賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって
相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当であるが、
その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因としたものである
場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。

 


【 27−4−B 】

 

過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除する
ことは、その金額が少額である限り、労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれ
がないため、労働基準法第24条第1項に違反するものではないとするのが、最高
裁判所の判例である。

 


【 12−4−C 】

 

最高裁判所の判例によると、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、労働
基準法第24条第1項ただし書によって除外される場合に当たらなくても、その行使
の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められ
ないものであれば同項の禁止するところではない。

 


【 21−選択 】

 

賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払
われるべき賃金から控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段
たる相殺は、〔…(略)…〕その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の
( B )との関係上不当と認められないものであれば、同項(労働基準法第24条
第1項)の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが最高裁判
所の判例である。

 

 

☆☆======================================================☆☆

 


いずれも「賃金全額払」に関する最高裁判所の判例からの出題です。

 

で、【 18−2−B 】【 25−7−エ 】【 26−3−オ 】の3問の判例は、
使用者が一方的に賃金を控除することは禁止されており、労働者に対して有する
債権と労働者の賃金債権とを使用者側が一方的に相殺することは認めないという
ことをいっています。

 

ただ、相殺について例外もあり、【 18−2−B 】にあるように、
「労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合」には可能となります。

 

ですので、【 18−2−B 】と【 25−7−エ 】は正しいです。

 

そこで、【 26−3−オ 】で、「この限りでない」と相殺が許される記述があります。
【 18−2−B 】の場合とはまったく異なる場合になりますが、この場合は、
相殺は認められません。

 

最高裁判所の判例では、
「労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権を
もって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当である。
このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変りはない」
としています。


つまり、労働者の不法行為を理由とする損害賠償債権との相殺の場合であっても、
使用者による一方的な相殺は賃金全額払の原則に違反することになります。

 

とういうことで、【 26−3−オ 】は誤りです。

 

【 29−6−D 】【 27−4−B 】【 12−4−C 】【 21−選択 】は、異なる判例
からの出題です。

 

これらの判例では、使用者側の一方的な相殺は認めないけど、例外もあるという
ことをいっていて、【 12−4−C 】は正しいですが、
【 29−6−D 】と【 27−4−B 】は誤りです。

 

「過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除
すること」、これは、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺のことであり、
【 12−4−C 】にあるように、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者
の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば全額払の原則に
違反しません。


ですので、
「過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期
においてされる」ものであれば、労働基準法24条1項の規定に違反しませんが、
「合理的に接着した時期においてされていなくても」というのでは違反となります。
また、「少額である」ことのみをもって相殺が認められるわけではありません。

 


【 21−選択 】のBには、「経済生活の安定」が入ります。
この言葉は、これらの判例のキーワードといえるでしょう。

 


最近は、択一式、選択式、いずれについても判例が頻出です。
ですので、過去に出題された判例は確実に押さえておきましょう。
1度出題されたもの、繰り返し出題されることが多いですから。

 

 


平成29年−労基法問6−C「端数処理」

今回は、平成29年−労基法問6−C「端数処理」です。

 

 

 

☆☆======================================================☆☆

 

 

 

1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。)に

100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100

に切り上げて支払う事務処理方法は、労働基準法第24条違反としては取り扱わ

ないこととされている。

 

 

☆☆======================================================☆☆

 

 

 

「端数処理」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 

 

 

☆☆======================================================☆☆

 

 

24−1−A 】

 

1カ月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に

生じた千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、労働基準法

24条違反としては取り扱わないこととされている。

 

 

18−5−A 】

 

1カ月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額)に生じた

千円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは、賃金支払の便宜上

の取扱いと認められるから、労働基準法第24条違反としては取り扱わないことと

されている。

 

 

10−4−C 】

 

1時間当たりの割増賃金の額を法定の割増賃金率に従って計算したときに、1円

未満の端数が生じた場合、当該端数について切り捨てたとしても、労働基準法

違反としては取り扱わないものとされている。

 

 

15−3−B 】

 

1カ月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除した額)に

100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100

に切り上げて支払うことは、労働基準法第24条違反としては取り扱わないことと

されている。

 

 

28−3−C 】

 

1カ月における時間外労働の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30

未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる事務処理方法は、労働基準法

24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。

 

 

12−4−D 】

 

割増賃金の計算の便宜上、1カ月における時間外労働、休日労働及び深夜労働の

各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、

それ以上を1時間に切り上げる措置は法違反として取り扱わないこととされている。

 

 

19−3−E 】

 

割増賃金の計算の便宜上、1日における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各

時間数に1時間未満の端数がある場合は、1日ごとに、30分未満の端数を切り捨て、

30分以上の端数を1時間に切り上げて計算する措置は、法違反として取り扱わない

こととされている。

 

 

25−3−B 】

 

1日及び1カ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計

に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を

1時間に切り上げること、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数

が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること

並びに1カ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額

に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円

に切り上げることは、いずれも労働基準法第24条及び第37条違反としては取り

扱わないこととされている。

 

 

☆☆======================================================☆☆

 

 

「賃金全額払の例外」の端数処理に関する問題です。

この端数処理に関する規定は、金額に関するもの、時間に関するもの・・・

といくつかありますが、ぽつぽつと出題されていますね。

 

これら端数処理については、常に労働者の不利となるようなものは認めない

けれど、必ずしもそうではないものは、事務簡素化を図る趣旨から認められて

います。

 

そこで、

 

24−1−A 】と【 18−5−A 】については、かなりの高額を翌月に繰り

越すってものではなく、細かい額、紙幣ではなく、硬貨で払わなければならない額、

これを翌月に支払う程度ですから、労働基準法違反にはなりません。正しいです。

 

10−4−C 】は、常に切り捨てるということなので、労働者に不利になります。

ですから、このような扱いは認められません。誤りです。

ちなみに、50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げるという端数処理は、

認められています。

 

15−3−B 】、これは正しいです。

それぞれ四捨五入のような扱いというのは、認められるんですよね。

単に切り捨てるというのはダメです。

29−6−C 】も同じ端数処理に関する内容ですから、正しいです。

 

 

28−3−C 】と【 12−4−D 】も、常に労働者が不利となるものではない

ので、事務簡素化を目的としたものと認められ、法違反として取り扱われません。

ですので、正しいですね。

 

で、【 28−3−C 】と【 12−4−D 】は1カ月分について、端数処理ができる

としています。

これに対して、【 19−3−E 】は1日ごとに端数処理ができるとしています。

25−3−B 】についても、そのような内容が含まれています。

 

この時間の端数処理、1日単位では認められていません。

これを認めると、労働者にとって極端に不利益になることがあります。

たとえば、1カ月の時間外労働の時間数が40時間25分だったら、この25分が切捨て

になりますよね。

これに対して、ある日の労働時間が8時間20分だったとします。

この20分の切捨てを認めてしまうと・・・

もし、21日分なら、合計で7時間です。

これだけの時間を合法的にカットできるなんてことですと、労働者にとっては、

たまったもんじゃありません。

ですから、「1日単位」での端数処理は認められないのです。

 

ということで、【 19−3−E 】と【 25−3−B 】は誤りです。

 

とにかく、単位に注意です。

「1カ月」の時間、金額か、「1時間」の金額か、1円単位か、100円単位か、

1,000円単位か・・・

どの規定も、再び出題される可能性があるので、きちんと確認しておきましょう。

 


平成29年−労基法問5−エ「公民権行使の保障」

今回は、平成29年−労基法問5−エ「公民権行使の保障」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


労働者(従業員)が「公職に就任することが会社業務の逐行を著しく阻害する虞れの
ある場合においても、普通解雇に附するは格別、同条項〔当該会社の就業規則に
おける従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の条項〕
を適用して従業員を懲戒解雇に附することは、許されないものといわなければなら
ない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「公民権行使の保障」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 23−1−C 】

 

公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者
を懲戒解雇に付する旨の就業規則条項は、公民権行使の保障を定めた労働基準法
第7条の趣旨に反し、無効のものと解すべきであるとするのが最高裁判所の判例
である。

 


【 16−1−D 】

 

公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害するおそれのある場合においては、
公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を
懲戒解雇に付する旨の就業規則の条項を適用して従業員を懲戒解雇に付することも
許されるとするのが最高裁の判例である。

 


【 9−2−B 】

 

「市議会議員をはじめとする公職に就任しようとするときは、会社の承認を受け
なければならず、これに反して承認を得ずに公職に就任した者は懲戒解雇に付する」
旨の就業規則の規定は、労働基準法第7条の趣旨に反し、無効である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


これらは「公民権行使の保障」に関する最高裁判所の判例からの出題です。

労働基準法、選択式も含めて、判例がかなり出題されています。


しかも、1度出題された判例から繰り返し出題されている、っていうものが
いくつもあります。

 

で、この「公民権行使の保障」に関する判例、ご覧のとおり何度も出題されています。
いずれも択一式からの出題ですが。

 

労働基準法7条で、
「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、
又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んでは
ならない。ただし、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された
時刻を変更することができる」
と規定しています。

 

この規定は、労働時間中の公民権行使及び公の職務の執行を保障したものです。
ですので、公職の就任を使用者の承認によること、すなわち、承認なくして公職に
就任した者を一種の制裁罰である懲戒解雇にするなんていうのは、この規定の趣旨
から考えて、認めるわけにはいきません。

 

ということで、そのような条項は無効となり、その条項を適用して従業員を懲戒解雇
に付することは許されません。

 

【 16−1−D 】は誤りで、そのほかの3問は正しいです。

 

この判例、今後も、繰り返し出題される可能性、高いですから、しっかりと確認
しておきましょう。

 

 

 


平成29年−労基法問2−エ「労働者」

今回は、平成29年−労基法問2−エ「労働者」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、
部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9条
に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「労働者」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 28−労災1−B 】

 

法人のいわゆる重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職
にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて労災保険法が適用される。

 


【 19−労基1−B 】

 

労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用
される者で賃金を支払われる者をいい、法人のいわゆる重役で業務執行権又は
代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、その
限りにおいて同法第9条に規定する労働者である。

 


【 13−労基1−C 】

 

労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず事業又は事務所に使用
される者で賃金を支払われる者をいい、株式会社の取締役である者は労働者に
該当することはない。

 


【 17−雇保1−A 】

 

株式会社の取締役は、同時に会社の従業員としての身分を有している場合で
あっても、役員報酬を支払われている限り委任関係とみなされ、被保険者と
なることはない。

 


☆☆======================================================☆☆

 


労働基準法の「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、
賃金を支払われる者です。


で、労災保険は、労働基準法の災害補償を保険制度化したものですから、その
適用を受ける労働者の範囲は、労働基準法と同じです。


つまり、労働基準法の労働者であれば、労災保険法が適用されるということです。

 

そこで、
法人の代表者等で、事業主体との関係において使用従属の関係に立たないものに
ついては、使用されるものではありませんから、労働者とはなりません。
これに対して、重役等で、業務執行権又は代表権を持たず、工場長や部長等の職
にあって賃金を受ける者は、その限りにおいて、労働基準法の「労働者」に該当
します。

 

ですので、【 29−労基2−エ 】【 28−労災1−B 】【 19−労基1−B 】は
正しいです。

 

【 13−労基1−C 】では
「株式会社の取締役である者は労働者に該当することはない」
としています。前述のとおり、労働者に該当することがあるので、誤りです。

 

それと、雇用保険でも、基本的な考え方は同じです。
従業員としての身分を有しており、報酬支払等の面から労働者的性格が強い者
であって、雇用関係があると認められる者は、雇用保険法が適用されます。
つまり、被保険者となります。
ですので、【 17−雇保1−A 】は誤りです。

 

ということで、取締役が労働者として適用されるかどうかという点については、
横断的に押さえておきましょう。

 


平成29年−労基法問5−ア「均等待遇」

今回は、平成29年−労基法問5−ア「均等待遇」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


労働基準法第3条は、使用者は、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由
として、労働条件について差別的取扱をすることを禁じている。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「均等待遇」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 25−5−D 】

 

労働基準法第3条は、すべての労働条件について差別待遇を禁止しているが、
いかなる理由に基づくものもすべてこれを禁止しているわけではなく、同条で
限定的に列挙している国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみを禁じて
いる。

 


【 23−1−A 】

 

労働基準法第3条は、法の下の平等を定めた日本国憲法第14条と同じ事由で、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地を理由とした労働条件の差別的取扱を
禁止している。

 


【 19−1−E 】

 

均等待遇を定めた労働基準法第3条では、労働者の国籍、信条、性別又は社会的
身分を理由として賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをする
ことは禁止されている。

 


【 14−1−A 】

 

均等待遇を定めた労働基準法第3条では、労働者の国籍、信条又は社会的身分を
理由として賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱をすることは
禁止されているが、性別を理由とする労働条件についての差別的取扱は禁止され
ていない。

 

 

【 61−記述 】

 

使用者は、労働者の( B )、信条又は社会的身分を理由として、賃金、
労働時間その他の( C )について、差別的取扱いをしてはならない。

 

 

☆☆======================================================☆☆

 

 

「均等待遇」に関する問題です。

 

労働基準法3条では、
「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間
その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」
と規定しています。

 

で、ここで挙げた問題は、どのようなことを理由とした差別が禁止なのかを論点
としたものです。


差別を禁止しているのは、「国籍、信条又は社会的身分」だけですね。
労働基準法の制定当時、これらについての差別が多々あったので、
この3つを掲げています。


そこで、
【 25−5−D 】では、「国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみ」
としていますが、これらに限定されているので、正しいです。

 

【 23−1−A 】では、「人種、性別又は門地」という記述が入っています。
これらについては、対象ではありませんから、誤りです。
それと、「国籍」が入っていないという点でも誤りです。

 

【 19−1−E 】と【 29−5−ア 】には、「性別」が入っているので、
やはり誤りです。

 

【 14−1−A 】は、
「性別を理由とする労働条件についての差別的取扱は禁止されていない」
とありますが、そのとおりなので、正しいです。

 

【 61−記述 】の答えは、
B:国籍 C:労働条件
です。

 

ちなみに、職業安定法において、
「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の
組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を
受けることがない」
という規定がありますが、これと混同しないようにしましょう。


それと、「均等待遇」は、この論点のほか、
差別禁止の対象となる「労働条件」に含まれるものは何か?というのを論点に
してくることもあるので、その点もしっかりと確認しておきましょう。

 

 


平成29年−労基法問1−D「休日」

今回は、平成29年−労基法問1−D「休日」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


労働基準法第35条に定める「一回の休日」は、24時間継続して労働義務から解放
するものであれば、起算時点は問わないのが原則である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「休日」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 24−5−C 】

 

労働基準法第35条に定める休日は、原則として暦日を意味するものと解されて
おり、例えば、午前8時から翌日の午前8時までの労働と、同じく午前8時から
翌日の午前8時までの非番とを繰り返す一昼夜交代勤務の場合に、非番の継続24
時間の間労働義務がないとしても、同条の休日を与えたものとは認められない。

 


【 21−6−D 】

 

1)番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度
として運用されていること、及び2)各番方の交替が規則的に定められている
ものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないことの要件を
満たす8時間3交替制勤務の事業場において、使用者が暦日ではない、継続24
時間の休息を与えても、労働基準法第35条の休日を与えたことにはならない。

 

【 13−7−B 】

 

労働基準法上使用者が労働者に与えるべき休日は、午前零時から午後12時までの
暦日でなければならず、どのような場合であっても、2暦日にまたがる連続24時間
を休日とすることは認められていない。

 

 

☆☆======================================================☆☆

 


「休日の付与」に関する問題です。

 

労働基準法において、使用者が労働者に与えるべき休日は、
原則として「午前0時から午後12時までの暦日」でなければなりません。


ただ、絶対に暦日で与えなければならないことになると、うまく与えることが
できなくなってしまうってことが起き得ます!?


8時間3交替で操業しているような場合で、たとえば、A班、B班、C班という
3つのグループが、週ごとに、就業時間を入れ替えて操業をするようなとき、
週休制ですと、どうしてもバランスよく暦日による休日を確保できないところが
出てくるってことがあり得るのです。


ですので、
● 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度
として運用されていること
● 各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその
都度設定されるものではないこと
という要件を満たす8時間3交替制勤務の事業場においては、暦日ではない、継続
24時間の休息を与えれば、休日を与えたこととするようにしています。


【 21−6−D 】は、この点を出題しており、
「与えたことにはならない」とあるので、誤りです。

 

【 13−7−B 】は、「どのような場合であっても、2暦日にまたがる連続24時間
を休日とすることは認められていない」とあるので、誤りですね。

 

【 29−1−D 】では、「24時間継続して労働義務から解放するものであれば、起算
時点は問わない」とありますが、休日は、原則として午前0時を起算点とする「暦日」
でなければならないので、やはり、誤りです。

 

【 24−5−C 】は、「一昼夜交代勤務」に関する内容ですが、
これは、前述の「8時間3交替制勤務」とは異なります。
そのため、「非番の継続24時間の間労働義務がない」ということでは、休日を与えた
ものとは認められません。正しいです。

 


「交替制勤務の場合の休日」については、
このような具体的な内容で、複雑な部分がありますが・・・出題実績があるので、
基本的な考え方はつかんでおいたほうがよいでしょう。

 

 


平成29年−労基法問1−C「休憩」

今回は、平成29年−労基法問1−C「休憩」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 

 

労働基準法第34条に定める休憩時間は、労働基準監督署長の許可を受けた場合
に限り、一斉に与えなくてもよい。

 


☆☆======================================================☆☆

 

 

「休憩」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 23−4−A 】

 

当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその
労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の
過半数を代表する者との書面による協定があるときは、使用者は、その定めに
基づき、労働基準法第34条第1項に定める休憩時間を一斉に与えなくてもよい。

 


【 21−6−C 】

 

建設の事業の事業場においては、所轄労働基準監督署長の許可を受けなければ、
労働者に一斉に休憩を与えなければならない。

 


【 63−4−B 】

 

交替制によって労働させる場合は、所轄労働基準監督署長の許可を受ければ、
休憩時間を一せいに与えなくてもよい。

 


【 3−7−D 】

 

休憩時間は、労使協定がある場合には、行政官庁の許可がなくても一せいに
与えないことができる。

 


【 15−6−A 】

 

保健衛生の事業については、労働者に休憩を一斉に与える必要はないので、
満18才に満たない労働者についても、特段の手続をしなくとも、休憩時間
を一斉に与える必要はない。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「休憩を交替制で与える場合の手続」に関する問題です。

 

休憩は一斉に与えることが原則です。


で、休憩を一斉に与えなければならない事業場において、一斉に休憩を与えない
こととするためには、労使協定を締結しなければなりません。

 

【 23−4−A 】では、
「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者
の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者と
の書面による協定」
という記述があります。
これは、労使協定のことですから、休憩時間を一斉に与えなくてもよいことになる
ので、正しいです。

 

【 3−7−D 】も、「労使協定がある場合」としているので、正しいです。

 

これらに対して、
【 29−1−C 】と【 21−6−C 】では、
「労働基準監督署長の許可」を受けるとしています。
誤りですね。

 

【 63−4−B 】でも、「所轄労働基準監督署長の許可を受け」としています。
実は、【 63−4−B 】は、現在では誤りですが、出題当時は正しい肢でした。
これに対して、【 3−7−D 】は、出題当時は誤りだったのですが、現在では
正しくなります。

 


休憩時間を一斉に与えないこととする場合、もともと、所轄労働基準監督署長の
許可を必要としていました。


現在は、労使協定を締結すれば、交替制で休憩を与えることができるようになっています。
ですので、このような出題があるのです。


現在は、「労使協定」ですから、間違えないようにしましょう。

 


それと、【 15−6−A 】ですが、この論点も、注意しておく必要がありますね。

 

「運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便通信業、保健衛生業、
接客娯楽業、官公署の事業」については、労使協定を締結しなくても、休憩を
交替制で与えることができますが、年少者には、この特例、適用されません。
ですので、保健衛生の事業であっても、年少者に交替制で休憩を与えるには、
労使協定の締結が必要になり、「特段の手続をしなくとも」とあるのは、誤りです。

 

ってことで、この点も、あわせて押さえておきましょう。

 


平成28年−労基法問7−D「年次有給休暇」

今回は、平成28年−労基法問7−D「年次有給休暇」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


育児介護休業法に基づく育児休業申出後には、育児休業期間中の日について年次
有給休暇を請求する余地はないが、育児休業申出前に育児休業期間中の日について
時季指定や労使協定に基づく計画付与が行われた場合には、当該日には年次有給
休暇を取得したものと解され、当該日に係る賃金支払日については、使用者に所要
の賃金支払いの義務が生じるものとされている。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「年次有給休暇」に関する問題です。

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 9−5−D 】

 

労働者の育児休業の申出の前に、育児休業期間中の日について労使協定に基づく
いわゆる年次有給休暇の計画的付与が行われた場合には、当該日については、当該
労働者は年次有給休暇を取得したものと解される。

 


【 17−5−C 】

 

年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できるものであるから、育児
休業申出後には、育児休業期間中の日について年次有給休暇を請求する余地はない。
また、育児休業申出前に育児休業期間中の日について、労働基準法第39条第6項の
規定に基づく年次有給休暇を与える時季に関する定めをした場合においても、同様に、
当該日には年次有給休暇を取得したものとは解されない。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「年次有給休暇の計画的付与と育児休業等との関係」に関する問題です。

 

労働基準法には、「休日」に関する規定と「休暇」に関する規定とがあります。


このうち「休日」とは、労働契約において「労働の義務がない」とされている日
をいい、「休暇」とは、本来は働かなければならない日の「労働の義務が免除」
される日をいいます。

 

つまり、「休暇」を取得することができるのは、そもそも「働かなければならない日」
があることが前提になります。

 

そのため、育児休業期間中は労働の義務がなくなっているので、年次有給休暇を
取得することはできません。

 

ただ、育児休業の申出より前に育児休業期間中の日について時季指定や労使協定
に基づく計画付与が行われた場合には、それが優先されます。

労働の義務がなくなる前に、時季指定をしたのであれば、そちらが優先される
ということです。

 

ですので、
「休暇を取得したものと解され…賃金支払いの義務が生じる」とある【 28−7−D 】
「年次有給休暇を取得したものと解される」とある【 9−5−D 】
は正しく、
「年次有給休暇を取得したものとは解されない」とある【 17−5−C 】は誤りです。

 

「年次有給休暇の計画的付与」と「育児休業等との関係」については、
育児休業申出と休暇の時季指定等のどちらが先に行われたのかというのがポイントで、
先に行われたほうが優先されます。

 

 

 


平成28年−労基法問5−D「減給の制裁」

今回は、平成28年−労基法問5−D「減給の制裁」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止
期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反と
なる。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「減給の制裁」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 11−5−A 】

 

就業規則により出勤停止処分を課す場合、当該出勤停止処分により労働者が出勤
しない期間中の賃金を支払わないことができるが、一賃金支払期における通常の
賃金額の10分の1を超えてはならないこととされている。

 


【 16−7−B 】

 

就業規則に制裁として出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある
場合において、労働者が、例えば5日間の出勤停止の制裁を受けるに至った
ときは、当該5日間の賃金を支払わないことは、制裁としての出勤停止の当然
の結果であって、労働基準法第91条の減給の制裁の制限には関係のないもの
である。

 


☆☆======================================================☆☆


「減給の制裁」に関する問題です。

 

減給の制裁とは、本来ならば労働者が受けるべき賃金の中から一定額を差し引く
というものです。
言い換えれば、労働して賃金を受けることができるけど、それを減らしてしまう
というものです。

 

ですので、そもそも、労働をせず、賃金の支払を受けることができなというものとは
違います。

つまり、就業規則に出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合に
おいて、労働者がその出勤停止の制裁を受けるに至った場合、出勤停止期間中の
賃金を受けられないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、通常の
額以下の賃金を支給することを定める減給制裁に関する規定とは関係ないという
ことです。

 

ということで、
「出勤停止期間中の賃金を支給しないこと」は労働基準法に違反しないので、
【 25−5−D 】は誤りです。


また、「支払わないことができる賃金額が10分の1まで」ということもないので、
【 11−5−A 】も誤りです。

 

これらに対して、【 16−7−B 】は正しいです。

 

「減給の制裁」に関しては、具体的な例を挙げて、該当するのかどうかを問う出題が
あるので、そのような具体的な出題にも対応できるようにしておきましょう。

 

 

 


平成28年−労基法問4−E「休憩時間の利用」

今回は、平成28年−労基法問4−E「休憩時間の利用」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


労働基準法第34条に定める休憩時間は、労働者が自由に利用することが認められ
ているが、休憩時間中に企業施設内でビラ配布を行うことについて、就業規則で
施設の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定めることは、使用者
の企業施設管理権の行使として認められる範囲内の合理的な制約であるとするのが、
最高裁判所の判例である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「休憩時間の利用」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 20─4−C】

 

使用者は、労働基準法第34条第3項に基づき、休憩時間を自由に利用させなければ
ならないこととされており、使用者がその労働者に対し休憩時間内に職場内で政治
活動を行うことを禁止することは許されないとするのが最高裁判所の判例である。

 


【 24−5−B 】

 

労働基準法第34条に定める休憩時間の利用について、事業場の規律保持上必要な
制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない。

 


☆☆======================================================☆☆


「休憩時間の利用」に関する問題です。

 

休憩時間は、原則として自由に利用させなければなりません。

ただ、自由利用というのは、あくまでも、時間を自由に利用することが認められる
ということにすぎません。


ですので、休憩時間といっても、それは拘束時間中の時間ですから、何でもかんでも
好き放題にできるというものではありません。

 

たとえば、事業場内で休憩時間を過ごすのであれば、事業場は企業施設ですから、
使用者の企業施設に対する管理権があり、それが合理的な行使なら、一定の制約を
することは構いません。

 

そのため、【 24−5−B 】にあるように、
「事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し
支えない」
ことになります。
ということで、【 24−5−B 】は正しいです。

 

【 28─4−E】と【 20─4−C】は、この自由利用に関する判例からの出題です。

 

この判例では、
休憩時間中であっても、企業施設内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等
を行うことは、施設の管理を妨げるおそれがあり、他の職員の休憩時間の自由利用
を妨げひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあり、その内容いかんに
よっては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるから、休憩時間中
にこれを行うについても施設の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨
を定める就業規則の規定は、休憩時間の自由利用に対する合理的な制約というべき
であるとされています。

 

つまり、前述したのと同じで、一定の規制をすることは認められるということです。

 

【 28─4−E】は正しく、【 20─4−C 】は誤りです。

 

最高裁判所の判例は、一度出題されると繰り返し出題される傾向があります。
また、選択式で出題されることもあり得るので、この判例も、選択対策も
考えて、しっかりと確認をしておきましょう。

 

 

 


calendar
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recommend
recommend
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM