令和1年−労基法問7−D「減給の制裁」

今回は、令和1年−労基法問7−D「減給の制裁」です。

 


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就業規則中に、懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件を定める
ことは、労働基準法第91条に違反するものとして許されない。

 


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「減給の制裁」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 H2−6−E 】

 

就業規則中に懲戒処分を受けた場合には昇給させない、という昇給の欠格条項
を定めても、「減給の制裁」には該当しない。

 


【 H11−5−A 】

 

就業規則により出勤停止処分を課す場合、当該出勤停止処分により労働者が出勤
しない期間中の賃金を支払わないことができるが、一賃金支払期における通常
の賃金額の10分の1を超えてはならないこととされている。

 


【 H16−7−B 】

 

就業規則に制裁として出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある
場合において、労働者が、例えば5日間の出勤停止の制裁を受けるに至ったとき
は、当該5日間の賃金を支払わないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果
であって、労働基準法第91条の減給の制裁の制限には関係のないものである。

 


【 H28−5−D 】

 

服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止
期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反と
なる。

 


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「減給の制裁」に関する問題です。

 

減給の制裁とは、本来ならば労働者が受けるべき賃金の中から一定額を差し引く
というものです。
言い換えれば、労働して賃金を受けることができるけど、それを減らしてしまう
というものです。

 

「懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件」というのは昇給させない
だけの取扱いであって、現状の賃金を減額するというものではありません。
ということは、減給制裁に関する規定とは関係なく、「労働基準法第91条に違反
するものとして許されない」とある【 R1−7−D 】は誤りです。
【 H2−6−E 】は、「減給の制裁」には該当しないとしているので、正しいです。

 

それと、「減給の制裁」は、そもそも、労働をせず、賃金の支払を受けることができ
ないというものとも違います。
「出勤停止」というのは、労働することができない状態です。
つまり、就業規則に出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合に
おいて、労働者がその出勤停止の制裁を受けるに至ったとき、出勤停止期間中の賃金
を受けられないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、通常の額以下
の賃金を支給することを定める減給制裁に関する規定とは関係ないということです。

 

ということで、
「出勤停止期間中の賃金を支給しないこと」は労働基準法に違反しないので、
【 H28−5−D 】は誤りです。
また、「支払わないことができる賃金額が10分の1まで」ということもない
ので、【 H11−5−A 】も誤りです。
これらに対して、【 H16−7−B 】は正しいです。

 

「減給の制裁」とはどのようなものなのか、「昇給させないこと」や「出勤停止」
とは異なるということは、理解しておきましょう。
また、「減給の制裁」に関しては、具体的な例を挙げて、該当するのかどうかを
問う出題があるので、そのような具体的な出題にも対応できるようにしておきま
しょう。

 

 


令和1年−労基法問7−C「就業規則の作成手続」

今回は、令和1年−労基法問7−C「就業規則の作成手続」です。

 


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就業規則の作成又は変更について、使用者は、当該事業場の労働者の過半数
で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合には
労働者の過半数を代表する者と協議決定することが要求されている。

 


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「就業規則の作成手続」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 H27−7−C 】

 

労働基準法第90条第1項が、就業規則の作成又は変更について、当該事業場の
過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見
を聴くことを使用者に義務づけた趣旨は、使用者が一方的に作成・変更しうる就業
規則に労働者の団体的意思を反映させ、就業規則を合理的なものにしようとする
ことにある。

 


【 H26−7−オ 】

 

労働基準法第90条に定める就業規則の作成又は変更についての過半数労働組合、
それがない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴取する義務について
は、文字どおり労働者の団体的意見を求めるということであって、協議をすること
まで使用者に要求しているものではない。

 


【 H21−3−D 】

 

使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者
の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織
する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければ
ならない。

 


【 H20−2−B 】

 

就業規則を作成又は変更するに当たっては、使用者は、その事業場に労働者の過半数
で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働
組合がないときは労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。

 


【 H8−6−E 】

 

就業規則が法令又は労働協約に抵触するため所轄労働基準監督署長がその変更を
命じた場合であっても、使用者は当該就業規則の変更について、当該事業場に労働者
の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数
で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を
聴かなければならない。

 


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「就業規則の作成や変更に際しての手続」に関する問題です。

 

就業規則の作成・変更については、使用者が一方的に行うことができます。
ですので、就業規則を作成する場合、労働者が知らない間に苛酷な労働条件が
定められたり、労働者の知らない規定によって制裁を受けたりしないよう、また、
労働者の団体的意思を反映させ、就業規則を合理的なものにしようという観点
から、使用者は、過半数労働組合等の意見を聴かなければなりません。
 


ということで、【 H27−7−C 】は正しいです。
 


で、この「意見を聴く」とは、諮問をするとの意味であり、労働者の団体的意見
を求めるということであって、協議をすることまで使用者に要求しているもの
ではありません。
ですので、【 H26−7−オ 】も正しいです。
 【 R1−7−C 】は「協議決定することが要求されている」とあるので、誤り
です。

 


【 H21−3−D 】では、就業規則を変更する場合も、作成の際と同様に意見を
聴く必要があるかどうかを論点にしています。
そのとおりですね。
就業規則を変更する場合にも、作成する場合と同様に、過半数労働組合等の意見
を聴かなければなりません。
 


【 H20−2−B 】では、意見を聴くのではなく、「同意を得なければならない」
としています。
就業規則の作成・変更については、同意まで求めていないので、誤りです。

この点は、寄宿舎規則の作成の場合との違いという点で、注意しておく必要がある
箇所です。
 


次に、【 H8−6−E 】ですが、こちらは、「意見を聴かなければならない」と
あります。
ただ、使用者が自らの考えで変更するというのではなく、変更命令があり、それに
より変更するという場合です。
このような場合であっても、やはり、変更の手続にはかわりませんので、意見を聴か
なければなりません。
ですので、正しいです。
 

 

就業規則の作成・変更の手続については、
「意見聴取」なのか、「同意が必要」なのか、
これを論点とすることもありますが、
そのほかにも、「変更命令」があった場合は、どうなのか?
届出の際は、どうするのか?

この辺を論点にしてくることもあるので、あわせて、押さえておきましょう。

 

 


令和1年−労基法問6−C「事業場外労働に関するみなし労働時間」

今回は、令和1年−労基法問6−C「事業場外労働に関するみなし労働時間」
です。

 


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労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制に
関する労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、当該労使
協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。

 


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「事業場外労働に関するみなし労働時間」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 H18−3−A 】

 

労働基準法第38条の2の規定によれば、労働者が労働時間の全部又は一部に
ついて事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、
原則として所定労働時間労働したものとみなされるが、当該業務を遂行する
ためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、
当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものと
みなされる。この場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の
過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織
する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定が
あるときは、その協定で定める時間が、当該業務の遂行に通常必要とされる時間
とされる。

 


【 H5−7−B 】

 

労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合に
おいて労働時間を算定し難いときは、原則として、所定労働時間労働したもの
とみなされる。

 


【 H11−4−A 】

 

労働基準法第38条の2に規定するいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制
について、事業場外での業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働
することが必要となる場合には、当該業務の遂行に通常必要とされる時間を
労使協定で定めることができる。使用者は、この協定を所轄労働基準監督署長
に届け出なければならないが、労使協定で定める時間が法定労働時間を超えない
場合には、届け出る必要はない。

 


【 H12−選択 】

 

労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合に
おいて、労働時間を算定し難いときは、( A )労働時間労働したものと
( B )。ただし、その業務を遂行するためには( C )( A )労働
時間を超えて労働することが必要となる場合は、その業務に関してはその
業務の遂行に( C )必要とされる時間労働したものと( B )。


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「事業場外労働に関するみなし労働時間」に関する問題です。

 

しかし、【 H18−3−A 】は極めて長い文章ですね。これで1肢ですから、
驚きです。
労働基準法、ときとして非常に長文の問題が出ることがありますが、その代表的な
問題といえます。

 

ただ、この問題、単に法38条の2の規定の1項と2項をつなぎ合わせたもので、
ほぼ条文に沿った内容(正しい内容)ですから、レベル的には高くはないんですよ。
しかし、文章の長さで、やられてしまうってことはあります。

 

【 H5−7−B 】は、【 H18−3−A 】の前半部分と同じ内容です。
事業場外で業務に従事した場合、労働時間を算定し難いときに限って「みなし
労働時間制」が適用されるので、正しい内容です。

 

【 H11−4−A 】は、【 H18−3−A 】の後半部分に関連する問題です。
同じような内容が含まれていますが、問題の論点は異なります。
【 H18−3−A 】は、「みなし労働時間」、これを労使協定で定めることが
できるかどうかです。
【 H11−4−A 】は、その労使協定の届出が必要かどうかです。
【 R1−6−C 】も、この労使協定の届出が必要かどうかという点が論点です。

 

いずれにしても正しい内容ですが、
これらの論点は今後も出題されるでしょうから、しっかりと確認しておきましょう。
特に、労使協定の届出については、協定で定めた「みなし労働時間」が法定労働を
超える場合について必要になるという点は注意しましょう。

 

ちなみに、「事業場外労働に関するみなし労働時間」の適用には労使協定などは
必要ありませんよ。

 

それと、この規定は選択式でも出題されています。
それも、空欄としているところが、かなり厄介な箇所です。
単語というよりは、文章の一部を抜いているという感じですよね。
労働基準法、労働安全衛生法の選択式は、このような空欄を作ることがあります。
ですので、単に用語だけを押さえるのでは、選択式対策としては不十分です。
択一式で論点とされるところ、それが選択式の論点にもなるのです。
ということで、択一式の問題を解く際には、選択式も意識して解いていきましょう。

 

【 H12−選択 】
A:所定
B:みなす
C:通常

 


令和1年−労基法問5−B「賃金債権の放棄」

今回は、令和1年−労基法問5−B「賃金債権の放棄」です。

 


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賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職金
債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に基づく
ものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該
意思表示は有効であるとするのが、最高裁判所の判例である。

 


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「賃金債権の放棄」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 H22−3−D 】

 

労働基準法第24条第1項の賃金全額払の原則は、労働者が退職に際し自ら賃金
債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、その意思表示の効力を否定する趣旨
のものと解することができ、それが自由な意思に基づくものであることが明確で
あっても、賃金債権の放棄の意思表示は無効であるとするのが最高裁判所の判例
である。

 


【 H25−7−オ 】

 

退職金は労働者にとって重要な労働条件であり、いわゆる全額払の原則は強行的
な規制であるため、労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思表示をしたと
しても、同原則の趣旨により、当該意思表示の効力は否定されるとするのが、最高
裁判所の判例である。

 


【 H27−4−C 】

 

退職金は労働者の老後の生活のための大切な資金であり、労働者が見返りなく
これを放棄することは通常考えられないことであるから、労働者が退職金債権
を放棄する旨の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものである
否かにかかわらず、労働基準法第24条第1項の賃金全額払の原則の趣旨に反し
無効であるとするのが、最高裁判所の判例である。

 


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いずれも「賃金債権の放棄」に関する最高裁判所の判例についての問題です。

まず、退職金について、これは、就業規則において支給条件が明確に規定され、
使用者に支払義務がある場合には、労働基準法にいう「賃金」に該当し、賃金
全額払の原則が適用されます。

 

この賃金全額払の原則は、「賃金の全額を支払うこと」を義務づけたものであり、
労働者が退職に際し自ら退職金債権を放棄する旨の意思表示の効力を否定する
趣旨のものではありません。

 

そこで、最高裁判所の判例では、
「退職金債権放棄の意思表示が労働者の自由な意思に基づくものであると
認めるに足る合理的な理由が客観的に存在していたものということができる
なら、その意思表示の効力は、これを肯定して差支えないというべきである」
としています。


つまり、労働者が退職に際し自ら賃金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、
それが労働者の自由な意思に基づくものであることが明確であれば、賃金債権
の放棄の意思表示は有効であるということです。

 

ですので、【 H30−5−B 】は正しいですが、その他の問題はいずれも誤りです。

 

この判例も、繰り返し出題されています。
そのため、今後も出題される可能性が高いです。
キーワードは、選択式での出題も考えられるので、その対策もしておきましょう。

 

 


令和1年−労基法問5−A「賃金の通貨払の原則」

今回は、令和1年−労基法問5−A「賃金の通貨払の原則」です。

 


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労働基準法第24条第1項は、賃金は、「法令に別段の定めがある場合又は当該
事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者
の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面
による協定がある場合においては、通貨以外のもので支払うことができる。」と
定めている。

 


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「賃金の通貨払の原則」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 H20−3−A 】

 

使用者は、賃金を通貨で支払わなければならないが、当該事業場の労働者の
過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織
する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定が
ある場合においては、通貨以外のもので支払うことができる。

 


【 H4−6−A 】

 

賃金は、原則として通貨で支払わなければならないが、当該事業場の労働者の
過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織
する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定が
ある場合においては、通貨以外のもので支払うことができる。

 


【 H14−3−E 】

 

労働基準法第24条第1項においては、賃金は、通貨で支払わなければならない
と規定されているが、同項ただし書において、法令に別段の定めがある場合、当該
事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者
の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面
による協定がある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法
で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払うこと
ができると規定されている。

 


【 H20−3−E 】

 

使用者は、賃金の全額を支払わなければならないが、労働協約に別段の定めがある
場合に限って、賃金の一部を控除して支払うことができる。

 


【 H18−2−A 】

 

労働基準法第24条第1項本文においては、賃金は、その全額を支払わなければ
ならないと規定されているが、同項ただし書において、法令又は労働協約に別段の
定めがある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができると規定され
ている。

 


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賃金は、原則として通貨で支払わなければなりませんが、例外的に、通貨
以外のもので支払うことができる場合があります。

 

【 R1−5−A 】、【 H20−3−A 】、【 H4−6−A 】、【 H14−3−E 】
は、それがどんな場合か、というのが論点の問題です。

 

いずれも、「事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働
組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表
する者との書面による協定」があれば、賃金を通貨以外のもので支払うことが
できるとしています。

 

「事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働
者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との
書面による協定」というのは、労使協定です。
労使協定の締結では、いわゆる現物による支払はできません。

 

現物で支払うには、「労働協約」に別段の定めが必要です。
労使協定と労働協約は、別物ですからね。

 

ですので、4問とも誤りです。

 

この「通貨払の原則」について、
【 H25−7−ウ 】
いわゆる通貨払の原則は強行的な規制であるため、労働協約に別段の定めがある
場合にも、賃金を通貨以外のもので支払うことは許されない。
という問題があります。

 

この問題は、賃金について、労働協約の別段の定めがある場合に、通貨以外のもので
支払うことができるか否かを論点にしたものです。
で、支払うことができるので、誤りです。
「強行的な規制」ですが、例外があり、それが、「労働協約の別段の定め」ですので。

 


【 H20−3−E 】と【 H18−2−A 】は、「賃金の一部控除」に関する問題です。
いずれも、「労働協約に別段の定めがある場合」は、賃金の一部を控除して支払う
ことができるとしています。

 

誤りですね。
通貨以外のもので支払う場合には、労働協約に別段の定めが必要ですが、賃金の一部
を控除して支払うには、法令に別段の定めがある場合を除き、労使協定の締結が必要
です。労働協約に定めただけでは、賃金の一部を控除して支払うことはできません。

 

通貨払の例外は「労働協約」。
全額払の例外は「労使協定」。

 

この点は、けっこう混同してしまう受験生、多いんですが・・・
基本ですよ。

混同しないようにしましょう。

 

 

 

 


令和1年−労基法問3−ウ「公民権行使の保障」

今回は、令和1年−労基法問3−ウ「公民権行使の保障」です。


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労働基準法第7条に基づき「労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての
権利を行使」した場合の給与に関しては、有給であろうと無給であろうと当事者
の自由に委ねられている。


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「公民権行使の保障」に関する問題です。

次の問題をみてください。


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【 H26−1−C 】

 

労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に、裁判員等の公の職務を執行する
ための必要な時間を請求した場合に、使用者に、当該労働時間に対応する賃金
支払を保障しつつ、それを承認することを義務づけている。

 


【 H24−4−C 】

 

労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に、公民権を行使するために必要な
時間を請求した場合には、使用者はこれを拒んではならないとし、また、当該
時間を有給扱いとすることを求めている。

 


【 H10−1−B 】

 

労働者が労働時間中に選挙権その他公民としての権利を行使するために就業
しなかった場合、使用者は当該就業しなかった時間分の通常の賃金を支払わ
なければならない。

 


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公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するための時間について、賃金
の支払が義務づけられているかどうかという点を論点にした問題です。

 

そこで、「公民権行使の保障」では、
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は
公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではなら
ない。ただし、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻
を変更することができる。
と規定し、その権利を行使するための時間を確保できるようにしているだけの規定
です。

 

ですから、使用者に賃金の支払義務は課されていません。実際に労働している時間
ではないので、もし支払義務を課してしまうと、使用者への負担が大きくなりすぎて
しまいます。有給にするか、無給にするかは当事者間の取決めによります。

 

ということで、【 R1−3−ウ 】は正しく、その他の3問は、賃金の支払を義務
づけている内容なので、誤りです。

 

労働者が労働しない時間については、年次有給休暇のように、賃金の支払が義務づけ
られているもの、使用者の責めに帰すべき事由による休業で休業手当の支払が必要
となる場合と、何らかの支払が必要になるときとそうでないときがあります。
どのような場合に支払が必要になるのか、整理しておきましょう。

 

 


令和1年−労基法問3−イ「強制労働の禁止」

今回は、令和1年−労基法問3−イ「強制労働の禁止」です。

 


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労働基準法第5条は、使用者は、労働者の意思に反して労働を強制してはなら
ない旨を定めているが、このときの使用者と労働者との労働関係は、必ずしも
形式的な労働契約により成立していることを要求するものではなく、事実上の
労働関係が存在していると認められる場合であれば足りる。

 


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「強制労働の禁止」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 H26−1−A 】

 

労働基準法第5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止している
が、必ずしも形式的な労働契約により労働関係が成立していることを要求する
ものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる
場合であれば足りるとされている。

 


【 H13─1−A 】

 

暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって
労働者の意思に反して労働を強制することを禁じる労働基準法第5条の規定の
適用については、同条の義務主体が「使用者」とされていることから、当然に、
労働を強制する使用者と強制される労働者との間に労働関係があることが前提
となるが、その場合の労働関係は必ずしも形式的な労働契約により成立して
いることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在
すると認められる場合であれば足りる。

 


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労働基準法5条は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束
する手段をもって労働者の意に反する労働を強制する強制労働を禁止することを
規定していますが、これは、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止して
いるものです。

 

ですので、労働を強制する使用者と強制される労働者との間に労働関係がある
ことが前提となります。

 

そこで、この場合の労働関係は、必ずしも形式的な労働契約により成立している
ことを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると
認められる場合であれば足りるとされています。
つまり、契約書などが整っていなくとも、実態として使用者と労働者との関係が
あれば、労働関係が存在することになり、そのような状況にある場合に 使用者
が暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、
労働者の意思に反して労働を強制することを禁止しています。

 

ということで、いずれも正しいです。
これまでは、このようにすべて正しい肢として出題されていますが、今後は、誤り
の肢としてどこか違えて出題してくるということもあるので、そのような場合でも、
ちゃんと対応することができるようにしておきましょう。


平成30年−労基法問6−E「休業手当」

今回は、平成30年−労基法問6−E「休業手当」です。

 


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労働安全衛生法第66条による健康診断の結果、私傷病のため医師の証明に
基づいて使用者が労働者に休業を命じた場合、使用者は、休業期間中当該
労働者に、その平均賃金の100分の60 以上の手当を支払わなければなら
ない。

 


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「休業手当」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 23−6−A 】

 

労働安全衛生法第66条による健康診断の結果、私傷病を理由として医師の証明
に基づき、当該証明の範囲内において使用者が休業を命じた場合には、当該休業
を命じた日については労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による
休業」に該当するので、当該休業期間中同条の休業手当を支払わなければならない。

 


【 15−3−E 】

 

労働安全衛生法第66条の規定による健康診断の結果に基づいて、使用者が、ある
労働者について、私傷病のため、同法第66条の5第1項の定めるところに従い、
健康診断実施後の措置として労働時間の短縮の措置を講じて労働させた場合には、
使用者は、当該労働者に対し、労働の提供のなかった限度において賃金を支払わ
なくても差し支えない。

 


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「休業手当」に関する問題です。

 

休業手当は、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」があった場合に、
使用者に支払が義務づけられているものです。

 

この休業手当については、具体例を挙げて、支払が必要かどうかを問うことが
あります。


ここに挙げた問題もそうで、いずれも労働安全衛生法による健康診断の結果に
基づいて行った休業や労働時間の短縮の措置について、「使用者の責めに帰す
べき事由による休業」かどうかを論点にしたものです。

 

そこで、これらの休業等は、いずれについても、法に基づく措置を講じただけ
ですから、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」には該当しません。
「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当しないのであれば、その
休業や短縮した時間について、休業手当を支払う必要はありません。
また、これらの措置により労働させなかった場合には、使用者は労働の提供の
なかった限度において賃金を支払わなくても差し支えないとされています。

 

ということで、
「支払わなければならない」とある【 30−6−E 】と【 23−6−A 】は、
誤りです。


「賃金を支払わなくても差し支えない」とある【 15−3−E 】は、正しいです。

 

休業手当に関しては、これらの場合以外にも具体例を挙げて、支払が必要かどうか
を判断させる問題がたくさん出題されているので、どのような場合に「使用者の
責めに帰すべき事由による休業」に該当するのか、判断できるようにしておきま
しょう。

 


平成30年−労基法問6−B「賃金の全額払」

今回は、平成30年−労基法問6−B「賃金の全額払」です。

 


☆☆======================================================☆☆

 


使用者が労働者の同意を得て労働者の退職金債権に対してする相殺は、当該
同意が「労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる
合理的な理由が客観的に存在するときは」、労働基準法第24条第1項のいわ
ゆる賃金全額払の原則に違反するものとはいえないとするのが、最高裁判所の
判例である。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「賃金の全額払」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


☆☆======================================================☆☆

 


【 18−2−B 】

 

最高裁判所の判例によると、労働基準法第24条第1項本文の定めるいわゆる
賃金全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除する
ことを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済
生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべき
であるから、使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権
と相殺することを禁止する趣旨をも包含するものであるが、労働者がその
自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合においては、当該同意が労働者
の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が
客観的に存在するときは、当該同意を得てした相殺は当該規定に違反する
ものとはいえないものと解するのが相当である、とされている。

 


【 25−7−エ 】

 

いわゆる全額払の原則の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを
禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活
を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきで
あるとするのが、最高裁判所の判例である。

 


【 26−3−オ 】

 

労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者
の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって
相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当であるが、
その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因としたものである
場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。

 


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いずれも「賃金全額払」に関する最高裁判所の判例からの出題です。

 

で、【 18−2−B 】【 25−7−エ 】【 26−3−オ 】の3問の判例は、
使用者が一方的に賃金を控除することは禁止されており、労働者に対して
有する債権と労働者の賃金債権とを使用者側が一方的に相殺することは
認めないということをいっています。

 

ただ、相殺について例外もあり、【 18−2−B 】にあるように、「労働者
がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合」、つまり、労働者自身が
納得した上での相殺であれば、禁止することはないだろうということで、
相殺が可能となります。

 

ですので、
【 30−6−B 】と【 18−2−B 】、【 25−7−エ 】は正しいです。

 

そこで、【 26−3−オ 】で、「この限りでない」と相殺が許される記述が
あります。
【 18−2−B 】の場合とはまったく異なる場合ですが、この場合は、相殺は
認められません。

 

最高裁判所の判例では、
「労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する
債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが
相当である。このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても
変りはない」
としています。


つまり、
労働者の不法行為を理由とする損害賠償債権との相殺の場合であっても、
使用者による一方的な相殺は賃金全額払の原則に違反することになります。

とういうことで、【 26−3−オ 】は誤りです。

 

賃金との相殺に関しては、ここに掲げた問題の判例とは異なる判例からの出題
もあり、かなり頻繁に出題されているので、しっかりと確認をしておきましょう。

 

 


平成30年−労基法問5−B「賠償予定の禁止」

今回は、平成30年−労基法問5−B「賠償予定の禁止」です。

 


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債務不履行によって使用者が損害を被った場合、現実に生じた損害について
賠償を請求する旨を労働契約の締結に当たり約定することは、労働基準法
第16条により禁止されている。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「賠償予定の禁止」に関する問題です。

 

次の問題をみてください。

 


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【 23−2−C 】

 

使用者は、労働契約の締結において、労働契約の不履行について違約金を定める
ことはできないが、労働者が不法行為を犯して使用者に損害を被らせる事態に
備えて、一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定めることはできる。

 


【 10−2−C 】

 

運送会社がトラックの運転手を雇い入れる際、「故意又は重大な過失により会社
に損害を与えた場合、損害賠償を行わせることがある」旨の契約を締結すること
は、禁止されている。

 


【 12−2−A 】

 

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定する
契約をしてはならないが、実際に労働者の債務不履行により被った損害の賠償
を請求することは禁止されていない。

 


【 5−4−E 】

 

使用者は、労働契約の不履行について損害賠償を請求することはできない。

 


【 20−1−B 】

 

使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求してはなら
ない。

 


☆☆======================================================☆☆

 


「賠償予定の禁止」に関する問題です。

 

労働基準法16条では、
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定
する契約をしてはならない」
と規定しています。

 

【 23−2−C 】の「一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定める」という
のは、「損害賠償額を予定する契約」ですから、そのような定めをすることは
できません。誤りです。

 

【 10−2−C 】では、「損害賠償を行わせることがある」旨の契約を締結
することとあります。
【 30−5−B 】では、「現実に生じた損害について賠償を請求する」旨を
労働契約の締結に当たり約定することとあります。
これらは、いずれも「額」を定めているのではありません。
「賠償予定の禁止」の規定では、金額を予定することを禁止するのであって、
現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止するものではありません。
そのため、これらの事項を労働契約に定めることは禁止されていないので、
誤りです。

 

次に【 12−2−A 】ですが、この問題にある
「労働者の債務不履行により被った損害の賠償を請求すること」、
これは、「損害賠償額を予定する契約」を締結したわけではなく、損害があったら
請求をするというだけですので、禁止されていません。正しいです。

 

「損害賠償額を予定する契約」をすると、実損額にかかわらず、その額を賠償し
なければならなくなってしまうので、そのような契約を禁止しています。
これに対して、現実に生じた損害に対して損害賠償請求をすること、これがダメ
だということですと、使用者サイドのほうに大きな負担を強いることになって
しまいかねないので、労働基準法では請求することを禁止していません。


ですので、【 5−4−E 】と【 20−1−B 】は、誤りです。


労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求することはできるので。

何ができるのか、何が禁止されているのか、きちんと整理しておきましょう。

 


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