令和5年−労基法・問3−B「産前産後」
- 2023.09.29 Friday
- 03:30
今回は、令和5年−労基法・問3−B「産前産後」です。
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女性労働者が妊娠中絶を行った場合、産前6週間の休業の問題は発生しないが、
妊娠4か月(1か月28日として計算する。)以後行った場合には、産後の休業
について定めた労働基準法第65条第2項の適用がある。
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「産前産後」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 R3−6−A 】
労働基準法第65条の「出産」の範囲は、妊娠4か月以上の分娩をいうが、
1か月は28日として計算するので、4か月以上というのは、85日以上と
いうことになる。
【 H29―選択 】
産前産後の就業について定める労働基準法第65条にいう「出産」について
は、その範囲を妊娠( C )以上(1か月は28日として計算する。)の
分娩とし、生産のみならず死産も含むものとされている。
【 H25−4−イ 】
使用者は、妊娠100日目の女性が流産した場合については、労働基準法第
65条に規定する産後休業を与える必要はない。
【 H18―3−B 】
産前産後休業に関する労働基準法第65条でいう「出産」とは、妊娠4か月
以上(1か月は、28日として計算する。)の分娩(生産のみならず死産を
も含む。)をいうとされているところから、使用者は、妊娠100日目の女性
が分娩した場合については、同条に規定する産後休業を与えなければならない。
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「「出産」の範囲」に関する問題です。
「労働基準法第65条」というのは、「産前産後」の規定で、第1項において
「使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する
予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない」
と規定しています。
ここに掲げた問題は、この規定の「出産」の範囲を論点としています。
この規定は、女性労働者の母性保護上重要な産前産後の休業期間を定めたもの
で、産前についていえば、医学的にみると妊娠末期には胎児の成長が著しく、
そのため母体の負担が大きく、また後期妊娠中毒症のような疾病を起こしやすく、
早産の危険性も高くなるため、出産前の一定期間は休養をとる必要があること
から設けられたものです。
このような趣旨から、産前産後休業の対象となる出産とは、妊娠4か月以上の
出産をいい、ここでいう「1か月」は、「28日」として計算するので、日数
でいうと、「85日(28日×3+1日)」以上の出産ということです。
ですので、【 R3−6−A 】は正しいです。
【 H29−選択 】の答えは、 C:4か月 です。
【 H25−4−イ 】と【 H18―3−B 】は、具体的に「100日目」とした
出題ですが、これは85日以上なので、産後休業を与えなければなりません。
したがって、【 H25−4−イ 】は誤りで、【 H18−3−B 】は正しいです。
また、ここでいう「出産」は、生産のみならず死産をも含み、妊娠中絶であっ
ても妊娠4か月以後に行った場合には、産後の休業の規定が適用されます。
そのため、【 R5−3−B 】も正しいです。
なお、妊娠中絶とは、胎児が母体外において生存を続けることのできない
時期に胎児及びその附属物を人工的に母体外に排出させることであり、産前
6週間の休業の問題は発生しません。
産前6週間の期間は自然の分娩予定日を基準として計算するものであり、
産後8週間の期間は現実の出産日を基準として計算するものです。
ちなみに、健康保険法に規定する「出産」も同様に、妊娠4か月(85日)
以上の出産をいうので、併せて押さえておきましょう。