令和5年−労基法・問3−B「産前産後」

  • 2023.09.29 Friday
  • 03:30

 

今回は、令和5年−労基法・問3−B「産前産後」です。

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女性労働者が妊娠中絶を行った場合、産前6週間の休業の問題は発生しないが、
妊娠4か月(1か月28日として計算する。)以後行った場合には、産後の休業
について定めた労働基準法第65条第2項の適用がある。

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「産前産後」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 R3−6−A 】
労働基準法第65条の「出産」の範囲は、妊娠4か月以上の分娩をいうが、
1か月は28日として計算するので、4か月以上というのは、85日以上と
いうことになる。

【 H29―選択 】
産前産後の就業について定める労働基準法第65条にいう「出産」について
は、その範囲を妊娠( C )以上(1か月は28日として計算する。)の
分娩とし、生産のみならず死産も含むものとされている。

【 H25−4−イ 】
使用者は、妊娠100日目の女性が流産した場合については、労働基準法第
65条に規定する産後休業を与える必要はない。

【 H18―3−B 】
産前産後休業に関する労働基準法第65条でいう「出産」とは、妊娠4か月
以上(1か月は、28日として計算する。)の分娩(生産のみならず死産を
も含む。)をいうとされているところから、使用者は、妊娠100日目の女性
が分娩した場合については、同条に規定する産後休業を与えなければならない。

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「「出産」の範囲」に関する問題です。

「労働基準法第65条」というのは、「産前産後」の規定で、第1項において
「使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する
予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない」
と規定しています。
ここに掲げた問題は、この規定の「出産」の範囲を論点としています。
この規定は、女性労働者の母性保護上重要な産前産後の休業期間を定めたもの
で、産前についていえば、医学的にみると妊娠末期には胎児の成長が著しく、
そのため母体の負担が大きく、また後期妊娠中毒症のような疾病を起こしやすく、
早産の危険性も高くなるため、出産前の一定期間は休養をとる必要があること
から設けられたものです。
このような趣旨から、産前産後休業の対象となる出産とは、妊娠4か月以上の
出産をいい、ここでいう「1か月」は、「28日」として計算するので、日数
でいうと、「85日(28日×3+1日)」以上の出産ということです。

ですので、【 R3−6−A 】は正しいです。
【 H29−選択 】の答えは、 C:4か月  です。

【 H25−4−イ 】と【 H18―3−B 】は、具体的に「100日目」とした
出題ですが、これは85日以上なので、産後休業を与えなければなりません。
したがって、【 H25−4−イ 】は誤りで、【 H18−3−B 】は正しいです。

また、ここでいう「出産」は、生産のみならず死産をも含み、妊娠中絶であっ
ても妊娠4か月以後に行った場合には、産後の休業の規定が適用されます。
そのため、【 R5−3−B 】も正しいです。

なお、妊娠中絶とは、胎児が母体外において生存を続けることのできない
時期に胎児及びその附属物を人工的に母体外に排出させることであり、産前
6週間の休業の問題は発生しません。
産前6週間の期間は自然の分娩予定日を基準として計算するものであり、
産後8週間の期間は現実の出産日を基準として計算するものです。

ちなみに、健康保険法に規定する「出産」も同様に、妊娠4か月(85日)
以上の出産をいうので、併せて押さえておきましょう。

 

 

令和5年−労基法・問2−ウ「休憩時間の利用」

  • 2023.09.22 Friday
  • 03:00

 

今回は、令和5年−労基法・問2−ウ「休憩時間の利用」です。

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休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせるのは、事業場内において
自由に休息し得る場合には必ずしも本条第3項(休憩時間の自由利用)に違反
しない。

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「休憩時間の利用」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H24−5−B 】
労働基準法第34条に定める休憩時間の利用について、事業場の規律保持上
必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない。

【 H20−4−C 】
使用者は、労働基準法第34条第3項に基づき、休憩時間を自由に利用させ
なければならないこととされており、使用者がその労働者に対し休憩時間内
に職場内で政治活動を行うことを禁止することは許されないとするのが最高
裁判所の判例である。

【 H28−4−E 】
労働基準法第34条に定める休憩時間は、労働者が自由に利用することが認め
られているが、休憩時間中に企業施設内でビラ配布を行うことについて、就業
規則で施設の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定める
ことは、使用者の企業施設管理権の行使として認められる範囲内の合理的な
制約であるとするのが、最高裁判所の判例である。

【 S63−4−A 】
労働基準法第34条第3項は、使用者は休憩時間を自由に利用させなければ
ならないとしているが、休憩時間の利用について事業場の規律保持上休憩
時間中の労働者の外出について許可制を定める就業規則は、必ずしも違法
とはいえない。

【 H21−6−A 】
使用者は、労働者が事業場内において自由に休息し得る場合であっても、
休憩時間中に外出することについて所属長の許可を受けさせてはならない。

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休憩時間は、原則として自由に利用させなければなりません。
ただ、自由利用というのは、あくまでも、時間を自由に利用することが認めら
れるということにすぎません。
ですので、休憩時間といっても、それは拘束時間中の時間ですから、何でも
かんでも好き放題にできるというものではありません。
例えば、事業場内で休憩時間を過ごすのであれば、事業場は企業施設ですから、
使用者の企業施設に対する管理権があり、それが合理的な行使なら、一定の
制約をすることは構いません。

そのため、【 H24−5−B 】にあるように、「事業場の規律保持上必要な制限
を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない」ことになります。
ということで、【 H24−5−B 】は正しいです。

【 H20−4−C 】と【 H28−4−E 】は、この自由利用に関する判例
からの出題です。この判例では、「休憩時間中であっても、企業施設内に
おける演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を行うことは、施設の管理を
妨げるおそれがあり、他の職員の休憩時間の自由利用を妨げひいてはその
後の作業能率を低下させるおそれがあり、その内容いかんによっては企業
の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるから、休憩時間中に
これを行うについても施設の管理責任者の事前の許可を受けなければなら
ない旨を定める就業規則の規定は、休憩時間の自由利用に対する合理的な
制約というべきである」とされています。
つまり、前述したのと同じで、一定の規制をすることは認められるという
ことです。【 H28−4−E 】は正しく、【 H20−4−C 】は誤りです。

最高裁判所の判例は、一度出題されると繰り返し出題される傾向があります。
また、選択式で出題されることもあり得るので、この判例も、選択対策も考え
て、しっかりと確認をしておきましょう。

それと、自由利用という点について、自由に利用できるのですから、外出
することも自由だと考えることができます。
そのため、そのことに対して使用者が制約をする(休憩時間中の外出を許可
制にする)のは自由利用に反するのではないかと思えてしまいますが、事業
場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にはならないとされて
います。
もちろん、許可制をとった場合、使用者は正当な理由なく許可しないことは
できないと解されています。
ということで、【 H21−6−A 】は誤りで、
【 S63−4−A 】と【 R5−2−ウ 】は正しいです。

 

令和4年−労基法問7−E「年次有給休暇」

  • 2022.10.21 Friday
  • 04:00


今回は、令和4年−労基法問7−E「年次有給休暇」です。

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年次有給休暇の権利は、「労基法39条1、2項の要件が充足されることに
よつて法律上当然に労働者に生ずる権利ということはできず、労働者の請求
をまつて始めて生ずるものと解すべき」であり、「年次〔有給〕休暇の成立
要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』
を要する」とするのが、最高裁判所の判例である。

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「年次有給休暇」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H20−5−A 】
年次有給休暇の権利は、労働基準法第39条所定の要件を満たすことによって
法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずる
ものではないとするのが最高裁判所の判例である。

【 H22−6−B 】
労働者の時季指定による年次有給休暇は、労働者が法律上認められた休暇日数
の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をし、使用者がこれ
を承認して初めて成立するとするのが最高裁判所の判例である。

【 H23−選択 】
「〔年次有給〕休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を
( B )として発生するのであって、年次休暇の成立要件として、労働者に
よる「休暇の請求」や、これに対する使用者の「承認」の観念を容れる余地は
ないものといわなければならない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

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「年次有給休暇」に関する問題です。
いずれも「白石営林署事件」という判例からの出題です。

まず、
【 H20−5−A 】は正しく、【 H22−6−B 】と【 R4−7−E 】は誤り、
【 H23−選択 】の答えは、「解除条件」です。

最高裁判所の判例では、年次有給休暇の権利について、
「労働基準法39条1項、2項の要件が充足されることによって法律上当然に
労働者に生ずる権利であって、労働者の請求を待って始めて生ずるものでは
ない」としています。
つまり、年次有給休暇の権利は、労働者が法定の要件を満たせば、法律上当然に
労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって初めて生ずるものではあり
ません。そのため、使用者の承認とかを必要とするものではありません。
ただ、使用者には時季変更権があります。
この部分が【 H23−選択 】で、
「使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件として発生する」
というように出題されました。

年次有給休暇の取得は、労働者の時季指定に基づきます。
とはいえ、使用者側の事情というものもありますから、使用者側にも時季変更権
があり、適法な時季変更権が行使されれば、年次有給休暇の取得時季を変更しな
ければなりませんが、行使がなければ、指定によって年次有給休暇が成立し、
当該労働日における就労義務が消滅することになります。

 

 

令和4年−労基法問5−C「賠償予定の禁止」

  • 2022.10.13 Thursday
  • 04:00


今回は、令和4年−労基法問5−C「賠償予定の禁止」です。

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労働基準法第16 条のいわゆる「賠償予定の禁止」については、違約金又は
あらかじめ定めた損害賠償額を現実に徴収したときにはじめて違反が成立する。

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「賠償予定の禁止」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H23−2−C 】
使用者は、労働契約の締結において、労働契約の不履行について違約金を定める
ことはできないが、労働者が不法行為を犯して使用者に損害を被らせる事態に
備えて、一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定めることはできる。

【 H10−2−C 】
運送会社がトラックの運転手を雇い入れる際、「故意又は重大な過失により会社
に損害を与えた場合、損害賠償を行わせることがある」旨の契約を締結する
ことは、禁止されている。

【 H30−5−B 】
債務不履行によって使用者が損害を被った場合、現実に生じた損害について
賠償を請求する旨を労働契約の締結に当たり約定することは、労働基準法第
16条により禁止されている。

【 H12−2−A 】
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定
する契約をしてはならないが、実際に労働者の債務不履行により被った損害
の賠償を請求することは禁止されていない。

【 H5−4−E 】
使用者は、労働契約の不履行について損害賠償を請求することはできない。

【 H20−1−B 】
使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求しては
ならない。

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「賠償予定の禁止」に関する問題です。

労働基準法16条では、
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定
する契約をしてはならない」
と規定しています。

ということは、「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を
予定する契約」を締結すれば、その時点で、同条違反となります。
つまり、損害賠償額を現実に徴収したときに違反となるのではないので、
【 R4−5−C 】は誤りです。

では、その契約内容について、
【 H23−2−C 】の「一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定める」という
のは、「損害賠償額を予定する契約」ですから、そのような定めをすることは
できません。誤りです。

【 H10−2−C 】の場合は、「損害賠償を行わせることがある」旨の契約を
締結することとあります。
【 H30−5−B 】では、「現実に生じた損害について賠償を請求する」旨を
労働契約の締結に当たり約定することとあります。
これらは、いずれも「額」を定めているのではないので、「損害賠償額を予定
する契約」ではありません。
「賠償予定の禁止」の規定では、「金額を予定すること」を禁止するのであって、
現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止するものではありません。
そのため、これらの事項を労働契約に定めることは禁止されていないので、
いずれも誤りです。

【 H12−2−A 】の「労働者の債務不履行により被った損害の賠償を請求
すること」、これは、「損害賠償額を予定する契約」を締結したのではなく、
損害があったから請求をするというだけですので、禁止されていません。
正しいです。

「損害賠償額を予定する契約」をすると、実損額にかかわらず、その額を賠償
しなければならなくなってしまうので、そのような契約を禁止しています。
一方、現実に生じた損害に対して損害賠償請求をすること、これがダメだという
ことですと、使用者サイドのほうに大きな負担を強いることになってしまいかね
ないので、労働基準法では請求することを禁止していません。
ですので、【 H5−4−E 】と【 H20−1−B 】は、誤りです。
労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求することはできるので。

何ができるのか、何が禁止されているのか、整理しておきましょう。

 

令和4年−労基法問2−E「労働時間」

  • 2022.10.07 Friday
  • 04:00


今回は、令和4年−労基法問2−E「労働時間」です。

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警備員が実作業に従事しない仮眠時間について、当該警備員が労働契約に基づき
仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに対応することが義務付けら
れており、そのような対応をすることが皆無に等しいなど実質的に上記義務付け
がされていないと認めることができるような事情が存しないなどの事実関係の下
においては、実作業に従事していない時間も含め全体として警備員が使用者の
指揮命令下に置かれているものであり、労働基準法第32 条の労働時間に当たる
とするのが、最高裁判所の判例である。

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「労働時間」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H28−4−A 】
労働基準法第32条の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれて
いる時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の
指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定ま
る」とするのが、最高裁判所の判例である。

【 H20−4−A 】
労働基準法が規制対象とする労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に
置かれている時間をいい、その具体的な判断においては、労働契約、就業規則、
労働協約等の定めに従い決定されるべきであるとするのが最高裁判所の判例で
ある。

【 H14−4−A 】
労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれて
いる時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の
指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定ま
るものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定
されるべきものではない。

【 H22−4−A 】
ビルの巡回監視等の業務に従事する労働者の実作業に従事していない仮眠時間
についても、労働からの解放が保障されていない場合には労働準基法上の労働
時間に当たるとするのが最高裁判所の判例である。

【 H26−5−D 】
労働基準法第32条にいう「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもと
にあることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件
とはしない。したがって、例えば、運転手が2名乗り込んで交替で運転に当たる
場合において運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠をとっているときで
あってもそれは「労働」であり、その状態にある時間は労働基準法上の労働
時間である。

【 H30−1−イ 】
貨物自動車に運転手が二人乗り込んで交替で運転に当たる場合において、運転
しない者については、助手席において仮眠している間は労働時間としないこと
が認められている。

【 R2−6−A 】
運転手が2名乗り込んで、1名が往路を全部運転し、もう1名が復路を全部運転
することとする場合に、運転しない者が助手席で休息し又は仮眠している時間
は労働時間に当たる。

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「労働時間」に関する判例や通達からの出題です。

【 H28−4−A 】、【 H20−4−A 】、【 H14−4−A 】では、労働時間
とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう」としています。
この部分は、そのとおりです。

使用者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間になります。

例えば、就業規則に、始業時刻が9時、終業時刻が18時、12時から13時まで
休憩と定められていた場合、その間の8時間だけが労働時間になる、とは限ら
ないということです。
実際に、その時間を超えて、使用者の指揮命令下に置かれているのであれば、
その超えた時間も労働時間となります。

ですので、
「労働契約、就業規則、労働協約等の定めに従い決定されるべきであるとする」
とある【 H20−4−A 】は、誤りです。

これに対して、
「労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきもので
はない」としている【 H14−4−A 】、
「使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かに
より客観的に定まる」としている【 H28−4−A 】の2問は、いずれも正しい
です。

そこで、
【 H22−4−A 】ですが、
「労働からの解放が保障されていない」場合は、「労働時間に当たる」としています。
「労働からの解放が保障されていない」というのは、使用者の指揮命令下に置かれて
いる状態ですので、やはり、労働時間となります。
したがって、【 H22−4−A 】も正しいです。
ちなみに、仮眠時間って寝ている時間です。
寝ていても労働時間になるというと、違和感を持つ人もいるかもしれません・・・
ただ、この点は、
仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務
づけられているような場合には、仮眠時間は全体として労働からの解放が保障
されているとはいえないので、労働時間に当たるとされています。
【 R4−2−E 】は、これについても含めた内容で、「労働時間に当たる」と
しているので、正しいです。

それと、【 H26−5−D 】では、「労働」とはどういうものなのかを示しつつ、
具体例を挙げていますが、この具体例は、【 H30−1−イ 】と【 R2−6−A 】
でも出題されています。
で、【 H26−5−D 】と【 R2−6−A 】では「労働時間である」としているのに
対して、【 H30−1−イ 】では「労働時間としないことが認められている」として
います。
【 H26−5−D 】と【 R2−6−A 】が正しくて、【 H30−1−イ 】は誤り
です。

「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、必ずしも
現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしていません。
そのため、休息中や仮眠中も、「労働」となり得るのです。

 

令和4年−労基法問1−D「取締役の適用」

  • 2022.09.30 Friday
  • 04:00


今回は、令和4年−労基法問1−D「取締役の適用」です。

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株式会社の代表取締役は、法人である会社に使用される者であり、原則として
労働基準法の労働者になるとされている。

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「取締役の適用」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H29−労基2−エ 】
株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、
部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法第9
条に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。

【 H19−労基1−B 】
労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に
使用される者で賃金を支払われる者をいい、法人のいわゆる重役で業務執行権
又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、
その限りにおいて同法第9条に規定する労働者である。

【 H13−労基1−C 】
労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず事業又は事務所に使用
される者で賃金を支払われる者をいい、株式会社の取締役である者は労働者に
該当することはない。

【 H28−労災1−B 】
法人のいわゆる重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の
職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて労災保険法が適用される。

【 H30−雇保2−C 】
株式会社の取締役であって、同時に会社の部長としての身分を有する者は、
報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者であって、雇用関係があると
認められる場合、他の要件を満たす限り被保険者となる。

【 H17−雇保1−A 】
株式会社の取締役は、同時に会社の従業員としての身分を有している場合で
あっても、役員報酬を支払われている限り委任関係とみなされ、被保険者と
なることはない。

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労働基準法の「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、
賃金を支払われる者です。
そうすると、法人の代表者等で、事業主体との関係において使用従属の関係に
立たないものについては、使用されるものではありませんから、労働者とは
なりません。
これに対して、重役等で、業務執行権又は代表権を持たず、工場長や部長等の
職にあって賃金を受ける者は、その限りにおいて、労働基準法の「労働者」に
該当します。

したがって、
【 R4−労基1−D 】は誤りで、
【 H29−労基2−エ 】、【 H19−労基1−B 】は正しいです。

【 H13−労基1−C 】では
「株式会社の取締役である者は労働者に該当することはない」
としています。
前述のとおり、労働者に該当することがあるので、誤りです。

では、労災保険ではどうかといえば、労災保険は、労働基準法の災害補償を保険
制度化したものですから、その適用を受ける労働者の範囲は、労働基準法と同じ
です。
つまり、労働基準法の労働者であれば、労災保険法が適用されるということです。
ですので、【 H28−労災1−B 】は、正しいです。

それと、雇用保険でも、基本的な考え方は同じです。
従業員としての身分を有しており、報酬支払等の面から労働者的性格が強い者
であって、雇用関係があると認められる者は、雇用保険法が適用されます。
つまり、所定の要件を満たせば、被保険者となります。
したがって、【 H30−雇保2−C 】は正しく、
【 H17−雇保1−A 】は誤りです。

ということで、取締役が労働者として適用されるかどうかという点については、
横断的に押さえておきましょう。

 

令和4年−労基・選択「解雇予告」

  • 2022.09.23 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和4年−労基・選択「解雇予告」です。

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労働基準法第20条により、いわゆる解雇予告手当を支払うことなく9月30日
の終了をもって労働者を解雇しようとする使用者は、その解雇の予告は、少な
くとも( A )までに行わなければならない。

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「解雇予告」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H12−3−C 】
解雇予告期間の30日は労働日ではなく暦日で計算され、その間に休日や休業日
があっても延長されないから、5月31日の終了をもって解雇の効力を発生させ
るためには、遅くとも5月1日には解雇の予告をしなければならない。

【 H26−2−E 】
平成26年9月30日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇
しようとする使用者が同年9月1日に当該労働者にその予告をする場合は、
労働準基法第20条第1項に抵触しない。

【 H24−3−ウ 】
使用者は、ある労働者を8月31日の終了をもって解雇するため、同月15日に
解雇の予告をする場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わな
ければならない。

【 H18−7−B 】
使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法第20条第1項
の規定により、少なくともその30日前にその予告をしなければならないが、
その予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数
を短縮することができる。例えば、8月27日をもって労働者を解雇しようと
する場合において、8月14日に解雇の予告をしたときは、少なくとも平均賃金
の17日分の解雇予告手当を支払わなければならない。

【 H16−3−E 】
使用者は、ある労働者を5月31日をもって解雇するため、5月13日に解雇
予告をする場合には、平均賃金の12日分の解雇予告手当を支払わなければ
ならない。

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解雇予告に関しては、原則として、
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前
にその予告をしなければならない」と、30日前予告を義務づけています。

で、この予告については、
予告した日の翌日から30日経過すると解雇が成立することになるので、解雇
予告は少なくとも暦日で30日前にしなければなりません。
例えば、解雇予告手当を支払うことなく9月30日に解雇しようというのであれば、
8月31日までに予告をしなければなりません。
【 H26−2−E 】では、当日から30日となっていて、1日足りないので、
誤りです。
【 H12−3−C 】は、正しいです。
【 R4−記述 】の答えは、「8月31日」です。

そこで、これに関連して、
「予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を
短縮することができる」
という規定があります。
これは、いわゆる解雇予告手当を支払った日数分、予告の日数を減らすことが
できるという規定です。

後の3問は、これを論点にしています。
それぞれについて見ると、

【 H24−3−ウ 】は、
8月31日に解雇、8月15日に解雇予告、平均賃金の14日分の支払
としています。
【 H18−7−B 】は、
8月27日に解雇、8月14日に解雇予告、平均賃金の17日分の支払
としています。
【 H16−3−E 】は、
5月31日に解雇、5月13日に解雇予告、平均賃金の12日分の支払
としています。

いずれも正しい内容ですが、この組み合わせが正しいかどうか・・・
難しく解説すれば、難しくもなりますが、簡単に考えると
「8月31日−8月15日」=16日(解雇予告日数)
30日−16日=14日なので、解雇予告手当は14日分ということです。
「8月27日−8月14日」=13日(解雇予告日数)
30日−13日=17日なので、解雇予告手当は17日分ということです。
「5月31日−5月13日」=18日(解雇予告日数)
30日−18日=12日なので、解雇予告手当は12日分ということですね。
【 H12−3−C 】は、解雇予告のみですが、前述の考え方を使うと
「5月31日−5月1日」=30日
30日−30日=0で、解雇予告手当は必要なしってことになります。
【 H26−2−E 】は、
「9月30日−9月1日」=29日なので、解雇予告手当が必要になるって
ことです。

この論点、いろいろな組合せを作れるため、これからも出題されるでしょう
から、どのような組合せであっても、正確に正誤の判断ができるようにして
おきましょう。

 

 

令和3年−労基法問7−D「「減給の制裁」

  • 2021.11.12 Friday
  • 04:00

 

今回は、令和3年−労基法問7−D「「減給の制裁」です。

☆☆======================================================☆☆

就業規則中に懲戒処分を受けた場合は昇給させないという欠格条件を定める
ことは、労働基準法第91条に違反する。

☆☆======================================================☆☆

「減給の制裁」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H14−6−E 】
就業規則で、労働者が遅刻をした場合にその時間に相当する賃金額を減額する
制度を定める場合には、減給の制裁規定の制限に関する労働基準法第91条の
規定の適用を受ける。

【 R2−7−E 】
労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働
基準法第91条による制限を受ける。

【 H11−5−A 】
就業規則により出勤停止処分を課す場合、当該出勤停止処分により労働者が出勤
しない期間中の賃金を支払わないことができるが、一賃金支払期における通常
の賃金額の10分の1を超えてはならないこととされている。

【 H16−7−B 】
就業規則に制裁として出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある
場合において、労働者が、例えば5日間の出勤停止の制裁を受けるに至ったとき
は、当該5日間の賃金を支払わないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果
であって、労働基準法第91条の減給の制裁の制限には関係のないものである。

【 H28−5−D 】
服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止
期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反
となる。

【 H2−6−E 】
就業規則中に懲戒処分を受けた場合には昇給させない、という昇給の欠格条項
を定めても、「減給の制裁」には該当しない。

【 R1−7−D 】
就業規則中に、懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件を定める
ことは、労働基準法第91条に違反するものとして許されない。

☆☆======================================================☆☆

「減給の制裁」に関する問題です。

これらの問題は、どのような場合が「減給の制裁」に該当するのかを論点にして
います。

「減給の制裁」とは、職場規律に違反した労働者に対する制裁として、本来ならば
労働者が受けるべき賃金の中から一定額を差し引くというものです。
言い換えれば、労働して賃金を受けることができるけど、それを減らしてしまうと
いうものです。

したがって、遅刻、早退又は欠勤に対して労働の提供のなかった時間に相当する
賃金だけを差し引くことは、そのような賃金制度のもとにおける一つの賃金計算
方法であって、制裁としての減給に該当するものではありません。

【 H14−6−E 】と【 R2−7−E 】では、遅刻・早退をした場合に、その
時間に対する賃金額を減給することが減給の制裁の規定の適用を受けるとしてい
ますが、前述のとおり、そもそも減給の制裁ではないので、減給の制裁の規定の
適用は受けません。誤りです。

また、就業規則に出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合に
おいて、労働者がその出勤停止の制裁を受けるに至ったとき、出勤停止期間中の
賃金を受けられないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、通常の
額以下の賃金を支給することを定める減給制裁に関する規定とは関係ありません。
ということで、
「出勤停止期間中の賃金を支給しないこと」は、労働基準法に違反しないので、
【 H28−5−D 】は誤りです。
それと、「支払わないことができる賃金額が10分の1まで」ということもない
ので、【 H11−5−A 】も誤りです。
これらに対して、【 H16−7−B 】は正しいです。

【 H2−6−E 】、【 R1−7−D 】、【 R3−7−D 】は、その他の問題
と少し違っていて、働かなかったというのではなく、昇給の欠格条項が「減給の
制裁」には該当するか否かを論点にしています。
「懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件」というのは昇給させ
ないだけの取扱いであって、現状の賃金を減額するというものではありません。
ということは、減給制裁に関する規定とは関係なく、「労働基準法第91条に
違反する」とある【 R1−7−D 】と【 R3−7−D 】は誤りです。
【 H2−6−E 】は、「減給の制裁」には該当しないとしているので、正しい
です。

「減給の制裁」とはどのようなものなのか、「遅刻、早退又は欠勤」や「出勤
停止」、「昇給させないこと」とは異なるということは、理解しておきましょう。 
また、「減給の制裁」に関しては、具体的な例を挙げて、該当するのかどうかを
問う出題があるので、そのような具体的な出題にも対応できるようにしておきま
しょう。
 

 

令和3年−労基法問6−A「「出産」の範囲」

  • 2021.11.04 Thursday
  • 04:00

 

今回は、令和3年−労基法問6−A「「出産」の範囲」です。

☆☆======================================================☆☆

労働基準法第65条の「出産」の範囲は、妊娠4か月以上の分娩をいうが、1か月
は28日として計算するので、4か月以上というのは、85日以上ということになる。

☆☆======================================================☆☆

「「出産」の範囲」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H25−4−イ 】
使用者は、妊娠100日目の女性が流産した場合については、労働基準法第65条
に規定する産後休業を与える必要はない。

【 H18―3−B 】
産前産後休業に関する労働基準法第65条でいう「出産」とは、妊娠4か月以上
(1か月は、28日として計算する。)の分娩(生産のみならず死産をも含む。)を
いうとされているところから、使用者は、妊娠100日目の女性が分娩した場合に
ついては、同条に規定する産後休業を与えなければならない。

☆☆======================================================☆☆

「「出産」の範囲」に関する問題です。

「労働基準法第65条」というのは、「産前産後」の規定で、第1項において
「使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定
の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない」
と規定しています。
ここに掲げた問題は、この規定の「出産」の範囲を論点としています。

この規定は、女性労働者の母性保護上重要な産前産後の休業期間を定めたもので、
産前についていえば、医学的にみると妊娠末期には胎児の成長が著しく、そのため
母体の負担が大きく、また後期妊娠中毒症のような疾病を起こしやすく、早産の
危険性も高くなるため、出産前の一定期間は休養をとる必要があることから設け
られたものです。

このような趣旨から、産前産後休業の対象となる出産とは、妊娠4か月以上の出産
をいい、ここでいう「1か月」は、「28日」として計算するので、日数でいうと、
「85日(28日×3+1日)」以上の出産ということです。

ですので、【 R3−6−A 】は正しいです。

【 H25−4−イ 】と【 H18―3−B 】は、
具体的に「100日目」とした出題ですが、これは85日以上なので、産後休業を与え
なければなりません。
したがって、【 H25−4−イ 】は誤りで、【 H18―3−B 】は正しいです。

ちなみに、健康保険法に規定する「出産」も同様に、妊娠4か月(85日)以上の
出産をいうので、併せて押さえておきましょう。
 

 

令和3年−労基法問4−D「休業手当・使用者の責に帰すべき事由」

  • 2021.10.28 Thursday
  • 04:00

 

今回は、令和3年−労基法問4−D「休業手当・使用者の責に帰すべき事由」
です。

☆☆======================================================☆☆

親会社からのみ資材資金の供給を受けて事業を営む下請工場において、現下の
経済情勢から親会社自体が経営難のため資材資金の獲得に支障を来し、下請工場
が所要の供給を受けることができず、しかも他よりの獲得もできないため休業
した場合、その事由は労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」とは
ならない。

☆☆======================================================☆☆

「休業手当・使用者の責に帰すべき事由」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H22−2−B 】
使用者が労働基準法第20条の規定による解雇の予告をすることなく労働者を
解雇した場合において、使用者が行った解雇の意思表示が解雇の予告として
有効であり、かつ、その解雇の意思表示があったために予告期間中に解雇の
意思表示を受けた労働者が休業したときは、使用者は解雇が有効に成立する
までの期間、同法第26条の規定による休業手当を支払わなければならない。

【 H9−4−D 】
使用者が解雇予告をせずに即時解雇の通知をしたため、労働者がこれを誤信
して予告期間中に休業して就職活動をした場合には、その即時解雇の通知が
解雇予告として有効と認められるときであっても、使用者は、解雇が有効に
成立するまでの期間について、休業手当を支払う必要はない。

【 S61−2−B 】
使用者は、円の急騰による輸出不振のため一時休業する場合には、労働者に
労働基準法第26条の規定による休業手当を支払わなければならない。

【 H22−3−E 】
労働基準法第26条に定める休業手当は、使用者の責に帰すべき事由による
休業の場合に支払が義務付けられるものであり、例えば、親工場の経営難に
より、下請工場が資材、資金を獲得できず休業した場合、下請工場の使用者は
休業手当の支払義務を負わない。

【 H26−4−C 】
労働基準法第26条にいう「使用者の責に帰すべき事由」には、天災地変等の
不可抗力によるものは含まれないが、例えば、親工場の経営難から下請工場が
資材、資金の獲得ができず休業した場合は含まれる。

【 H27−5−E 】
休電による休業については、原則として労働基準法第26条の使用者の責に
帰すべき事由による休業に該当しない。

☆☆======================================================☆☆

これらの問題は「休業手当」に関するもので、具体例を挙げて、支払が必要か
どうかを問うものです。

【 H22−2−B 】と【 H9−4−D 】では、
「即時解雇の通知が解雇予告として有効と認められるとき」に、労働者が、
その間、休業をした場合は、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に
該当するかどうかというのが論点です。
このような場合、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」となります。
労働者が勝手に休んだのではありませんから。
ですので、使用者は、解雇が有効に成立する日までの期間、休業手当を支払わ
なければなりません。
【 H22−2−B 】は正しく、【 H9−4−D 】は誤りです。

【 S61−2−B 】では、「輸出不振のため一時休業」の場合、休業手当の支払
が必要としています。
これは、「使用者の責めに帰すべき事由」に該当するので、正しいです。

【 H22−3−E 】と【 H26−4−C 】では、
「親工場の経営難により、下請工場が資材、資金を獲得できず休業した」場合
とあり、
【 R3−4−D 】では
「親会社自体が経営難のため資材資金の獲得に支障を来し・・・休業した」場合
とあり、いずれにしても状況は同じといえます。

しかし、【 H22−3−E 】では「支払義務を負わない」、【 R3−4−D 】では
「「使用者の責に帰すべき事由」とはならない」とする一方で、【 H26−4−C 】
は「使用者の責に帰すべき事由」に含まれるとしています。
この場合は、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当します。
したがって、休業手当の支払が必要なので、【 H22−3−E 】と【 R3−4−D 】
は誤りで、【 H26−4−C 】は正しいです。

【 H27−5−E 】は、「休電による休業」とあります。
これは、使用者としてはいかんともしがたい不可抗力によるものです。
そのため、使用者の責めに帰すべき事由による休業ではなく、休業手当を支払う
必要はありません。正しいです。

このように具体例を挙げて、支払が必要かどうかを判断させる問題、これだけ出題
されているので、今後もいろいろなパターンで出題されるでしょう。

ということで、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当するのかどうか、
判断できるようにしておきましょう。

 

 

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